8番手スタートで決勝を走るもバイブレーションに苦しむ
第14戦アラゴンGP 会場:モーターランド・アラゴン
予選:9番手 決勝:20位
Moto3クラスで戦うHonda Team Asiaの尾野弘樹は、第14戦アラゴンGPの各セッションでチームとともに一つずつ課題をクリアしてステップを上り、今季ベストタイとなる8番グリッドを獲得しました。金曜日最初のFP1は29番手。非常に厳しい出だしに見えましたが、午後のFP2ではセッション開始後10分で2番手タイムを記録。以後も安定して上位タイムを刻み続け、最後は14番手で初日を締めくくりました。苦しい走りにも見えた午前のセッションについて、尾野は次のように説明しました。
「FP1は順位だけを見るとほぼ最下位なのですが、このセッションで僕たちの求めている方向を確認することができたからこそ、FP2の序盤からいいタイムを記録して走ることができました。今日は一度もほかの選手の後ろにつかずに、単独走行を続けてタイムを出すようにしていたので、明日の予選でスリップストリームを利用すれば1分58秒台、うまくすればその前半のタイムを出せるかもしれません」
その言葉の通り、土曜日午後の予選では1分58秒台に入れましたが、タイムは1分58秒943。金曜日に話していた58秒台前半には、やや届きませんでした。
「渋滞を避けようとするあまり、ほぼ単独の走行になってしまい、最後はスリップストリームを利用したタイムアップができませんでした。でも、昨日よりは確実によくなっているので、そういう意味で、今日の9番手は、納得のいくグリッドポジションだと思います」
予選を終えてそう話していましたが、上位タイムを出した選手のマシンにレギュレーション違反が発覚。その選手が後方グリッドへ降格のペナルティーを受けたため、尾野のグリッドは一つ繰り上がって8番手になりました。前戦のサンマリノGPと同じスタート位置で、日曜日の決勝レースを迎えることになったのです。
「アラゴンは、FIM CEVレプソルインターナショナル選手権時代から走り慣れているサーキットです。そういう意味で、僕にとってはサンマリノGPのミサノと似た条件です」
そう話すだけに、サンマリノGPの9位と同等、もしくはそれ以上の結果を目指したいところでしたが、日曜日の決勝レースでは予想外の事態が起こりました。決勝レースの開始直後から、尾野が乗るマシンのフロントに振動が発生したのです。この問題への対応で尾野はタイムアップを図れないまま、完走を目指すのが精一杯、というレースになってしまいました。
「セッティングが原因だと思って、身体の移動などで対応するように努力したのですが、バイブレーションは消える気配がなく、タイムが上がらずに順位を落としてしまいました。転倒しないようにゴールすることで精一杯の、情けないレースになってしまいました」
尾野は悔しそうな表情でそう語りましたが、このバイブレーションはライダーの責任ではありません。チームはレース後にデータを検証し、原因の究明を続けています。
「今回の問題が発生した理由を突き止め、クリアにしてから次の日本GPに向かいたいと思います。ホームグランプリなので、日本のファンの方々の前で今季ベストリザルトを目指します」