IDEMITSU Honda Team Asiaの挑戦

中上貴晶 ラタパーク・ウィライロー カイルール・イダム・パウィ

一歩ずつの積み重ねが好結果につながる

第13戦サンマリノGP  
会場:ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ
予選:8番手  決勝:9位

Honda Team Asiaの尾野弘樹が、第13戦サンマリノGPで9位フィニッシュを果たし、今シーズン2番目の好リザルトを獲得しました。

しかし、尾野とチームの取り組みは最初から万事順調に運んだわけではありません。セッションごとに少しずつ前進をしてゆく地道な努力の結果、勝ち得たトップ10フィニッシュなのです。そんな彼らの戦いを、振り返ってみましょう。

尾野弘樹

第12戦イギリスGPから2週連続開催となった今大会の初日、尾野はトップと1.246秒差の総合18番手につけました。午前も午後もできるだけ単独走行に徹し、セットアップを詰めて一日の走行を終えた尾野は、「大きな問題がないので、今は走りに集中できています。手応えとしては、悪くありません」と話しました。

「セットアップはそんなに大きく変えていませんが、午後の走行では車高を1mm低くして走りました。午前中はブレーキングでリアが浮いてくるのが問題だったのですが、落ち着くようになりました。今の課題は、バックストレート前の8コーナーです。他の選手よりもスロットルを開け遅れているようで、その区間で大きくロスをしています。今年は金曜の調子がよくても予選で調子を崩すことが多いので、明日はしっかりと予選を走りたいと思います」

その言葉通り、土曜午後の予選では今季ベストの8番グリッドを獲得しました。

「初日から取り組んできたことを、予選で形にすることができました。タイムも、昨年の自己ベストを更新できたのでよかったと思います」

少し安堵の表情で、そんなふうに尾野は語りました。

「昨日よりもタイムが上がってきたら、今日は切り返しが重くなってしまったので、昨日下げた車高を元に戻しました。8コーナーの遅れも、まだ若干は残っているのですが、ラインを少し変えてアジャストしてみたら、昨日よりはだいぶ改善できました。今週はここまで着実に前進してきたので、明日の決勝をしっかり終えたいと思います。周囲の選手とのタイム差が接近しており、わずかなミスでも一気に順位が下がってしまうでしょうから、ミスをしないようにいいアベレージタイムを刻む必要がありますね。今季最高位が6位なので、明日はそれを上回るつもりです」

尾野弘樹

日曜の午前に行われる20分のウォームアップでも、尾野は安定した走りを見せ、セッション8番手を記録しました。

午前11時に始まった決勝レースは、スタートを決めて序盤からトップグループにしっかりとついていきました。しかし、レースも終盤に差しかかる17周目、この上位集団の戦いの中で、他車にマシンを当てられて尾野はグループから少し離れてしまいました。その後は単独の9番手で走行を続け、チェッカー。7ポイントを獲得しました。

「今朝のウォームアップでは、ギアレシオを変えてロングの方向に振ってみたところ、感触がよかったので、決勝ではそのままなにも変えずに走りました。12コーナーで接触されて前と離れたあとは、もう一度追いつこうとがんばったのですが、差が縮まらず、そのままゴールすることになりました。今回のレースウイークは転倒もなく、課題だった予選も3列目までに並べたので、3日間通して安定した走りができました。次のアラゴンも走り慣れたコースなので、今週と同じような取り組みを続け、さらにいい結果を目指したいと思います」