IDEMITSU Honda Team Asiaの挑戦

中上貴晶 ラタパーク・ウィライロー カイルール・イダム・パウィ

レース序盤でのポジションアップが課題

第12戦イギリスGP  会場:シルバーストーン・サーキット
予選:19番手  決勝:19位

第12戦イギリスGPのレースで、Honda Team Asiaのライダーである尾野弘樹は19位という最終結果となりました。決勝レースでチェッカーを受けた際は20位でしたが、上位の選手が重量制限違反で失格処分となったため、1つ繰り上がってこのリザルトになりました。

結果が示すとおり、イギリスGPのレースウイークは尾野にとって試練の週末でした。その内容を、セッションの経過とともに振り返ってみましょう。

尾野弘樹

9月上旬という季節ながら、シルバーストーン・サーキット周辺の気温は10℃台半ばから後半、体感的には日本の11月上旬のようなコンディションでした。そんな中始まった金曜のフリープラクティス(FP)で尾野は、午前のFP1こそ19番手でしたが、午後のFP2では9番手にポジションを上げました。

「午後にセットアップを変えていくと、フィーリングがよくなりました。サスペンションを柔らかい方向にすることで、路面のギャップへの追従性がよくなり、タイムを上げることができました。ここのコースはあまりハードブレーキがなく、切り返しが多いので、その特性も自分たちにとってはいい方向に行っていると思います」

その言葉どおり、土曜午前のFP3でも尾野は8番手タイムを記録。順調なセットアップの積み上げとコース攻略を進めていることは、この順位と、昨日から0.5秒詰めたラップタイムが物語っています。

尾野弘樹

午後の予選は雨のウエットコンディションになりました。走行前から降り始めた雨は、40分間の予選の経過とともに少しずつ雨脚が強くなり、その状況変化に足もとをすくわれる格好で尾野は終盤10分に転倒を喫してしまいました。幸い大きな負傷はなかったものの、着地時にヒジを強打し、その痛みにやや表情をしかめながらこのセッションを振り返りました。

「10コーナーになるのかな…。残り10分くらいのところで、セクター2の雨がきつくなっていたので抑えるように心がけたのですが、ハイサイドで急にリアが挙動を変え、修正しきれませんでした」

セッション終盤に大勢の選手がタイムアップを狙うタイミングでの転倒だったため、尾野はタイム更新ならず、日曜のレースは19番手からのスタートになってしまいました。

「ドライコンディションではセッティングがよくなってきて、さらに走りでアジャストできるようになっているので、明日の決勝レースがドライなら、いい勝負ができると思います」

尾野弘樹

日曜日は、気象予報が的中してドライコンディションになりましたが、全17周の決勝レースで尾野は別の試練と戦うことになりました。19番グリッドの尾野は、序盤から集団についていく走りをみせましたが、レース中盤を過ぎたころから少しずつグループと離れはじめ、最後は単独走行になって20番手でチェッカーフラッグを受けました。

「スタートがあまりよくなくて、序盤に遅い集団をパスして前のグループに行けなかったことが、今日のレースの一番の課題です。レース半ばからリアブレーキが機能せず、どんどんストロークしなくなって、フロントブレーキだけで減速とコントロールをする状態になりました。そこで目標を完走に切り替えたのですが、最後まで走りきることで精一杯のレースでした。リアブレーキの件を抜きにして考えると、マシン自体はよかったので、序盤のポジションアップに手こずったことが、やはり今回の自分自身に対する課題でした」

どんなときでも常にその状況でベストを尽くすことを身上としている尾野弘樹は、次のサンマリノGPでこそ、今季のベストリザルトを狙っています。