vol.99 | マルケスが今季2勝目でランキング首位に |
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vol.99 | マルケスが今季2勝目でランキング首位に |
シーズンも中盤の第8戦を迎え、チャンピオン争いはさらに激しさを増しつつあります。毎年、大勢の観客を集めるザクセンリンクで行われたドイツGPは、今年も3日間合計で20万人を超えるファンが詰めかけました。大観衆が見守る中、土曜午後の予選でポールポジションを獲得したマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、決勝レースでもルーキーとは思えぬ安定したレース運びで優勝。第2戦に続く今季2勝目を達成しました。一方、チームメートで昨年のドイツGP覇者、ダニ・ペドロサは、土曜のプラクティスで転倒。日曜午前のウォームアップ走行前のメディカルチェックで一度はOKが出たものの、痛み止めの処方時に不調を訴え、医師団の判断により、残念ながら決勝走行を見合わせました。その結果、ポール・トゥ・ウインで優勝したマルケスは25ポイントを加算してランキング首位に立ち、ペドロサはレースを欠場したものの2点差でランキング2位につけています。各セッションを一つひとつ大切に積み上げて、最高の結果をつかみ取ったマルケスと、予想外の出来事に見舞われたペドロサのそれぞれの週末を、チーム代表のリビオ・スッポが振り返り、解説します。
「今回のレースウイークは、まさに『悲喜こもごも』とでも言うべきでしょうか。ウイーク中には数名の選手が転倒し、ダニと(ホルヘ)ロレンソ選手(ヤマハ)もケガを負ってしまいました。2人とも、一刻も早く回復してレースに復帰してくれることを祈っています。一方、マルクは金曜の走り出しからすべてのセッションを順調に進め、決勝レースで優勝という成果に結びつけてくれました。レースをリードしながら、後続ライダーたちとの差を上手にコントロールするところなどは、もはや百戦錬磨の選手という趣すらありましたね」
「申し上げた通り、マルクとチームは一丸となって全セッションを順調に進めてきました。土曜午後のフリープラクティス4回目は、マルクはこのセッションを通じてずっと同じタイヤの組み合わせだったのですが、最後にセッション中の自己ベストタイムを記録しました。このときの内容を見ても、日曜は勝てそうな手応えでしたが、日曜の決勝本番では、そんなプレッシャーさえもはねのけて優勝を勝ち取ってくれました。すばらしい走りでしたね」
「マルクが速いことは、最初のテストでRC213Vに乗ってもらったときから十分に分かっていましたよ。でも、ここまでの安定度をみせてくれるとは、さすがに予想できませんでしたね。しかも、ムジェロ(第5戦イタリアGP)で2番手走行中のレース終盤に転倒リタイアを喫してしまった以外では、毎戦表彰台を獲得してくれていることなどを考えると、とてもルーキーとは思えません」
「日曜の早朝、ダニはウォームアップ走行前のメディカルチェックで、決勝の走行は差し支えないという許可が下り、その段階では体調もよかったのですが、その後、痛み止めの処置の際、ダニは目まいを訴えました。土曜の転倒直後のときのように、血圧が降下していたのです。それで、医師団は、ダニの決勝参加を認めないと判断したのです。つまり、欠場の理由は鎖骨の負傷ではなく、全体的な体調不良というものです。ダニ自身は、そのあとしばらくして気分がよくなってからもう一度検査をし、レース参戦の可否を判断してほしい、と願っていたのですが、医師団の判断は、前日からの体調の推移を考えると、決勝レース走行を許可することはできない、というものでした。とても残念でしたが、医師団の決定は受け入れざるを得ませんでした」
「レース翌日の月曜朝は、元気になっていました。十分な睡眠を取ったので、目まいは感じていません。水曜には、ラグナセカ(第9戦アメリカGP)に向けて出発する予定です。今回の悔しさを埋め合わせるくらい、きっといいレースをしてくれるに違いありません」
「レース結果を予想するのは難しいです。ダニに関しては、まずは左肩の様子を見ることになると思います。左コーナーの多いコースなので、肩には少し厳しいかもしれませんが、大きな問題にはならないことを願っています。また、マルクは今回がラグナセカ初体験です。オースティン(第2戦アメリカズGP)では急速にコースに順応していきましたが、おそらく今回も同様に、あっという間にサーキットを攻略してしまうのではないでしょうか。次のレースはシーズン前半の締めくくりです。我々はこの第9戦に向け、最高の形でサマーブレイクを迎えられるように全力で戦います。皆さまも、この夏の暑さに負けないくらいの熱い応援をぜひともよろしくお願いします」