HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート
vol.108

今季10度目のダブル表彰台とチームタイトル獲得

日本のレースファンが待ちに待った第17戦日本GPが、栃木県・ツインリンクもてぎで開催されました。しかし、折あしく日本列島に接近した台風27号と28号の影響で、北関東一帯は週末にかけて悪天候になりました。レースウイークのスケジュールは降雨と濃霧の影響により、金曜全日と土曜午前の走行がキャンセル。それにともない、土曜午後以降の走行時間を延長する形でスケジュールが組み直されました。決勝レースが行われた日曜は一転して秋晴れの好天に恵まれ、Repsol Honda Teamのマルク・マルケスとダニ・ペドロサは2位と3位を獲得。Hondaのホームグランプリで今季10度目となるダブル表彰台を達成しました。走行スケジュールが切り詰められる厳しい状況と、ウエットの予選からドライの決勝というコンディション変化を、ライダーとスタッフのチーム全員が心を一つにして乗りきり、過酷な週末を戦い抜きました。その一部始終を、チーム代表のリビオ・スッポが明らかにします。

−マレーシア、オーストラリア、日本と続いた3週連続のレースを終え、マルケス選手はホルヘ・ロレンソ選手(ヤマハ)に対して13ポイントのリードで最終戦バレンシアGPを迎えることになりました。マルケス選手は、オーストラリアGPと日本GPで、30ポイント分詰め寄られたことになりますが、この現在の状況をどのように捉えていますか?

「長いシーズンの中でもこの3連戦は常に過酷で、今年の場合は特に、オーストラリアと日本の2戦がそれぞれに特殊な状況下で尋常ではない問題が発生したため、とても難しいレースになってしまいました。これが普通の状況下であったならば、マルクはアドバンテージをさらに伸ばしていたと思います。いずれにせよ、MotoGPルーキーのマルクが、これだけの有利な点差で最終戦に臨めるのですから、全力を尽くして戦います」

−ロレンソ選手は、ライバル陣営ながらツインリンクもてぎで完ぺきなレース運びで勝利を収めました。マルケス選手は無理をせずに2位で20ポイントを獲得する戦略に切り替えたようですが、彼がこのような守りの走りをみせたのはこれが初めてだったかもしれません。また、ロレンソ選手はソフト側、マルケス選手はハード側という2人のリアタイヤ選択の違いが、レース結果を大きく左右したのでしょうか?

「その判断は難しいところですが、ロレンソ選手がレースで装着したエクストラソフトコンパウンドは、彼にはぴったりの選択だったようですね。日曜午前の45分という限られたフリープラクティスの中で、我々はこのエクストラソフトコンパウンドを十分にテストするだけの時間がなく、ダニとマルクはともに、フィーリングがよかったソフトコンパウンドでレースに臨みました。このレースで負けても失うものがない状態のロレンソ選手は、大きなかけに出て、それが見事にうまくいきました。マルクは、ドライコンディションのツインリンクもてぎで、MotoGPマシンを走行する時間がたった45分しかない状態であったにもかかわらず、表彰台を獲得してくれました。ルーキーとしては、上々の結果だと思います」

−ペドロサ選手は3位表彰台を獲得しましたが、これにより年間総合3位が確定しました。また、今回のレース結果でRepsol Honda Teamは今年のチームタイトル獲得が決定しました。

「ダニは残念ながらリアグリップに課題を抱えてしまい、あれ以上のアタックができませんでした。セットアップなどの方向性を見極める上で、ドライセッションが日曜午前の45分間しかなかったことは、ダニに対しても大きく影響を及ぼしてしまいました。とはいえ、そのような厳しい状態でも両選手が最善を尽くしてともに表彰台を獲得してくれたことに、とても感謝をしています。この両選手の奮闘のおかげで、我々はチームタイトルを獲得することができました」

−アルバロ・バウティスタ選手(GO & FUN Honda Gresini)とステファン・ブラドル選手(LCR Honda MotoGP)は、4位と5位でフィニッシュし、Honda勢はトップ5のうち4台を占めました。最終戦のバレンシアGPでは、コンストラクターズタイトルの獲得も、目標の一つですね。

「今回は優勝こそ逃しましたが、トップ5のうち4台をHondaが独占できたのは、うれしい結果でした。ダニは昨年と一昨年に日本GPで優勝していますので、今年も同様のリザルトを望んでいたのですが、悪天候に翻ろうされ、走行時間の短縮に翻ろうされる結果になってしまいました。第18戦のバレンシアGPは、ライダーズタイトルとコンストラクターズタイトルのかかった最終決戦になります。この両タイトルをなんとしてもこの手に勝ち取るべく、我々は選手とチームが一丸となって、最終ラップの最終コーナーまで全力を尽くして戦い抜きます。皆さまからも我々に力をお与えください。熱烈な応援を是非ともよろしくお願い申し上げます」