vol.85 | ペドロサが今季4勝目を獲得! |
モータースポーツ > ロードレース世界選手権 > HRCチーム代表 中本修平 現場レポート > vol.85
vol.85 | ペドロサが今季4勝目を獲得! |
第14戦アラゴンGPは、予選2番手から決勝に挑んだダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が、ポールポジションからスタートしたホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)を7周目にかわしトップに浮上し、快調にラップを刻んで独走しました。23周のレースを終えてチェッカーを受けたときには、2位のロレンソに6.472秒の大量リード。ペドロサにとっては今季4勝目。HondaとしてはアラゴンGP2連覇を達成しました。これで総合首位のロレンソとのポイント差は、38点から33点へ。前戦サンマリノGPで不運のリタイアを喫したペドロサですが、そのばん回に向けて、一歩前進しました。そのほかのHonda勢は、予選12番手から追い上げのレースをしたアルバロ・バウティスタ(Team San Carlo Honda Gresini)が6位。ケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)の代役として2戦目を迎えるジョナサン・レイが7位。予選5番手から序盤3番手に浮上したステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)は転倒リタイアと残念な結果となりました。
「まず、ダニの走りですが、我々が想定していた通りのもので、特別よかったということはありません。予定通りのペースで走ったというレースでしたね。正直、あんなにリードを広げられるとは思ってもいなかったですし、そういう意味では、我々がよかったというよりも、ホルヘのタイムが予想より伸びなかったんじゃないかと思いますね。今回も天候が不安定で、フリー走行はすべてウエット。予選とウオームアップだけがドライコンディションになったのですが、ダニは、ウエットもドライもまずまずの走りでした。予選ではセッション序盤に転倒するハプニングがあってリズムを崩し、セッション終盤にはクリアラップが取れず2番手でしたが、おおむね順調でした。決勝日のウオームアップでタイムを出さなかったのは、路面温度が低くコンディションがよくなかったので、確認程度の走りをしただけのことです。そういうこともあって、決勝になってどうしてダニがあんなに速くなったんだという声も聞こえますが、我々としては、すべて想定していた通りのレースでした」
「今大会はドライコンディションのデータが少なく、そういう点では、多少、参考になりましたね。決勝の気温、路面温度が9月上旬のテストの午前中のコンディションに近かったですし、それを参考にできましたからね。しかし、あのテストは、ヤマハも参加していますからね。我々だけが特別アドバンテージがあったとは言えないですね。9月上旬のアラゴンテストは、本当にいろいろなテストをやりました。その成果は、アラゴンだけではなく、ほかのサーキットでも大きな効果を発揮できると思っています。我々は、第10戦アメリカGPでニューシャシーとニューエンジンを投入しました。このレースでダニは3位でしたが、第11戦インディアナポリスGP、第12戦チェコGPで優勝することができました。しかし、レースウイークには、セッティングで大きな冒険、チャレンジができないので、ダニにとっては、今までのマシンよりはいい、というくらいの印象だったと思います。しかし、チェコGPのあとにブルノで1日、そしてアラゴンで2日のテストをしました。この3日間のテストで、今までできなかったセッティングにトライして、ダニはいろいろなことを発見したと思います。ダニはセッティングが決まるとびっくりするような速さを見せてくれますが、確実にセッティングの幅は広がったと思いますね。つまり、手持ちの駒が増えたことになります。そういう意味では、前回のサンマリノGPは、グリッド上での不可解なトラブルとレース中にヘクトール・バルベラ(ドゥカティ)に接触されてリタイアするという不運はありましたが、そういうことがなかったら、勝てたんじゃないかと思います。もちろん、これから先のレースでも、アラゴンテストの成果は十分に発揮できると思っています」
「タイヤウオーマーのベルクロをわざと溶かして癒着させてみたり、タイヤのカスをディスクとパッドの間に無理矢理入れてみたり、考えられること、そして通常では考えられないようなこともすべてテストしてみましたが、再現することはできませんでした。もちろん、タイヤウオーマーもすべてチェックしましたが異常はありませんでした。本当に何が起きたのだろうか? と思っています」
「日本GPのツインリンクもてぎは、HondaにとってホームGPですからね。絶対に勝ちたいレースの一つですね。昨年はダニが勝っていますし、今年は2連覇を狙っていきます。とにかく、チャンピオンシップでは、ホルヘと33点差がありますし、残り4戦を自力で逆転するのは厳しい状況です。しかし、前回も言いましたが、レースはなにがあるか分かりませんし、最後まであきらめず、全力でやれることをやるというのが、日本GPと最終戦までの目標になります。14戦を終えた今、Hondaは8勝しています。コンストラクターズタイトルも、チームタイトルも獲得しにいきます。日本GPには、ケーシーも復帰する予定なので、残り4戦、ダニとケーシー、ケーシーとダニで1-2を狙っていきます。我々は、ダニをチャンピオンにするためにチームオーダーを出すことはないですし、ダニにとって、ケーシーの復帰はさらに厳しい戦いになると思いますが、ホルヘだけでなくケーシーにも勝って、ダニがチャンピオンを獲得してくれたら最高だなと思っています」
「ジョニーは、スーパーバイクとの連戦となり、かなりハードだったと思いますね。しかも、サンマリノもアラゴンも天候が悪くて、ドライで走行できる時間があまりにも短かった。そういう点では、ジョニーには本当に厳しい条件になりましたし、その中で、8位、7位としっかり完走してくれたことは評価したいですね。ケーシーのマシンで走るということもあり、彼は転んではいけないと強く思っていたようで、予選も決勝も100%の走りはできなかったと思いますね。でも、アラゴンでは、レース中にトラクションコントロールなど、いろいろなことにトライして、かなりいいポイントを見つけていましたし、なかなかポテンシャルのあるライダーだと思いますね。いいライダーだと思いますし、来年はスーパーバイクでチャンピオンを獲得してほしいです。またチャンスがあればMotoGPにチャレンジさせてあげたいと思ってます」
「正直、予選ではフロントローを獲得できたと思いますし、決勝でも表彰台には立てたんじゃないかと思いますね。そういう意味では、残念というか期待にこたえてくれなかったなという気持ちですね。しかし、今回のレースを見ても分かるように、フロントローも表彰台もすぐそこにきているという感じがしますし、残り4戦、ステファンの走りには期待しています。とにかく、次戦日本GPは、Hondaにとっても、チャンピオンシップにとっても大事なレースになります。Repsol Honda Teamの2人のライダーはもちろんですが、Hondaライダー全員の活躍に期待しています。応援していただいているファンの方々の期待にこたえられるよう、全力で挑みたいと思っています」