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vol.67

Repsol Honda 100勝達成。
Honda8台体制で目指す必勝の日本GPに向けて

シーズンもいよいよ終盤の佳境へとさしかかりつつあります。第14戦アラゴンGPは、シーズン3度目のスペインで開催されるグランプリ。戦いの舞台モーターランド・アラゴンは昨年からグランプリカレンダーに加わったサーキットで、周辺一帯は砂漠のような風景が広がります。Repsol Honda Teamのケーシー・ストーナーとダニ・ペドロサは、ともにこのコースを得意としていますが、今年のレースでもストーナーが完ぺきなレース運びでポール・トゥ・フィニッシュの今季8勝目。ペドロサも3戦連続の2位表彰台を獲得しました。何度かの突発的な状況変化に見舞われながらも万全の体制で乗りきった今回の舞台裏と、いよいよ次戦に迫った日本GPに向けた意気込みを、HRCチーム代表の中本修平が語ります。

「優勝を飾ったケーシーは、マシン面について我々の立場から言うと、もっと改良したい部分、あるいは彼の立場でも、もっと改良をしてほしい部分、というものは実はいくつもあります。とはいえ、トータルパッケージとして全体がうまくまとまっているので、決勝レースでも1コーナーでライバル勢に少し先行されても1周目のうちに抜き返してトップに立ち、最後までレース全体をコントロールして優勝することができました。今回のケーシーは、完勝、といっていいと思います」

−決勝日のコンディションは、昨日の土曜までと比較すると、路面も大気も温度が低くなり、風もありました。そのあたりの影響はどうだったのでしょうか?

「風対策としては、ケーシーは小さな仕様のカウリングを使いました。昨日の予選まではストレートで首が振られることへの対策として大きなものを使用していたのですが、今日は風が強いので小さいのに戻しています。次に、温度に対してですが、ここはもともと午前中は気温も路面温度も低いので、そのときにタイヤの耐久性は確認しており、ハード側のタイヤを選ぶことは決めていました。あとはそのタイヤをどれだけマネージできるか、長持ちさせるかが勝負になります。それについても、最初のうちに一本のタイヤでレースディスタンスを走りきっているんです。金曜の午前のうちに20ラップを走行し、土曜の午前の冷たいコンディションでさらに5ラップを走って計25ラップ。これで耐久性の確認も終わっているので、ケーシーに関しては、ほとんど何も心配をしていなかった、というのが本当のところです」

−ペドロサ選手に関しては、そのあたりはどうだったのですか?

「ダニは、しっかりとグリップを出すことができれば抜群に速さを発揮する選手です。ただし、グリップを出せないときは、体格的にごまかしようのない部分があるので、グリップの出ないサーキットではいつも苦労をします。そんな中でも、今回は予選で昨年よりも1秒詰めているし、レース中のタイムも昨年より速くて、このようなコンディションの中でとてもよくがんばってくれたと思います。ただ、今回はケーシーのほうがさらに一枚上だった、ということでしょうね」

−ウイーク中のペドロサ選手の言葉の端々からも、セットアップに苦労しているような様子はうかがえました。

「なかなかグリップを出せないというので、車体のセットアップでいろんなことを試みました。そうやって少しずつよくなり、これで追いつけるかなと思っていても、ケーシーはケーシーでセットアップを順調に進めているからタイムがどんどん上がっていくじゃないですか。苦労をしていた、というのはそういう意味ですね」

−今回のレースでは、タイヤの初期作動は良好だったようで、ストーナー選手は4周目、ペドロサ選手も2周目にそれぞれ自己ベストタイムを記録しています。その後の周回でのタイヤマネージメントが勝負を分けた、ということになるのでしょうか。

「ケーシーは、あれよりも速いタイムで走れたのですが、後続とのギャップを見ながら調整している状況でした。ただ、1周だけすごく遅い周回があったでしょう。あれは実は、くしゃみをしてヘルメットのバイザーが曇ってしまい、前が見えなくなってコースアウトしそうになった、というのが真相のようです(笑)。優勝した総レースタイムを見ると、昨年よりも1秒ほど遅いのですが、後続との距離を見極めながら調整し、レースをコントロールした結果の数字です。昨年は終始ダニに追いかけられっぱなしで、最後まで全力疾走に近い状態だったので、それと比較すれば、今年は早くマージンを築いて距離を見ながら自分のレースができたといえるでしょうね」

−ドヴィツィオーゾ選手は、午前中のウオームアップ走行で非常に苦労をしていたように見えました。

「現在、その理由を調査しているところです。今朝はアンドレアだけがユーズドタイヤでスタートしました。すでに10ラップ程度走行したものでしたが、まったくグリップせずタイムも上がらないということで、タイヤ表面も非常に摩耗した状態でピットへ戻ってきました。データを見ても、加速側でも減速側でも実際にグリップしていません。レースは当然新品タイヤで臨んだのですが、残念な結果になりました」

−スタート直後の2コーナー、最初の右コーナーで転倒。

「あのとき、2コーナーの進入でヘイデン選手にイン側をねじ込まれたために、アンドレアはラインを外れて路面の汚れた部分を走行しています。その際にリアが滑って、フロントへの荷重が強くなった瞬間にタイヤがまだ冷えた状態でグリップせずに転倒してしまいました。彼にとっては、非常にアンラッキーなレースでした」

−ともあれ、今回のストーナー選手の優勝でRepsol Hondaは100勝目を飾りました。

「そういう面では、今回は運のいい偶然だったともいえますね。今回は、もともとこのレースにあわせてスペシャルカラーリングを用意していました。100勝記念Tシャツは、実は前戦のサンマリノGPですでに準備をしていたのです。それが今回に持ち越しとなったために、2つの偶然が重なることになりました。結果的に、スペインの会社がスペインのサーキットで、しかもスペシャルカラーリングで100勝を祝うことができたのですから、Repsol YPF社にとって絶好のタイミングになりました」

−次の第15戦は、ようやく日本GPです。

「ツインリンクもてぎは、第12戦チェコGPのブルノサーキットと同じく、2004年以降勝てていなかったコースです。それだけに、なんとかして勝ちたいと考えています」

−今年の日本は、3月の東日本大震災を経ているだけに、重要なレースなのではないですか。

「それはHondaだけではなく、ヤマハにとってもスズキにとってもそうだと思います。ドゥカティ以外の日本企業は、皆が同様の思いで第15戦に臨むでしょう。そのような状況で、我々は2004年から勝っていないので、だからこそ今年はなんとしてでも勝ちたいと思っているのです」

−今回のレースウイークでは、伊藤真一選手と秋吉耕佑選手も参戦し、Hondaは計8台体制で臨むことも発表になりました。

「伊藤と秋吉という経験豊富な両名の走りを通じて、<がんばろう日本!>というエールを送ることができればうれしいですね。1人でも多くの方々にサーキットに来ていただいて、彼らの、そして我々のメッセージを受け止めていただければと思います」

−優勝に向けた自信はいかがですか?

「自信なんてありませんよ。一戦一戦を確実に戦っていくのみです。チャンスはあると思っていますが、一瞬の出来事で明暗を分かつのがレースの世界です。わずかの隙も見せないよう、気を引き締めて万全の体制で日本GPに備えます。我々は勝利を目指して全力で戦います。皆様も、応援をよろしくお願いいたします」

※チームスポンサー「Repsol」の社名