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vol.66

いよいよ一戦も気の抜けない終盤5戦へ

第13戦サンマリノGPは、イタリア有数の保養地、アドリア海沿岸のリミニからわずかに内陸側に入ったミサノ・サーキットで開催されました。MotoGPの開催される時期に好天に恵まれることの多い当地は、今年も晴れわたった空の下で金曜のフリープラクティスが始まりました。日本の夏のような強い日差しと高い湿度のコンディションで推移したレースウイークは、日曜になってわずかに日差しが弱まり、MotoGPクラスのレース開始時刻にはごくわずかな降雨に見舞われるトリッキーなコンディションになりました。この微妙な路面変化に対し、Repsol Honda Teamのダニ・ペドロサは途中まで3番手につけるものの、終盤に逆転して2位フィニッシュ。ペドロサにかわされたチームメートのケーシー・ストーナーは、3位でチェッカー。自身の連続表彰台記録を11に更新しました。難しいレースを乗りきったHonda勢の戦いとシーズン終盤戦への展望を、HRCチーム代表の中本修平が語ります。

「ダニはスタートでクラッチ滑りが出てしまったために、一番得意な逃げきりパターンのレースができませんでした。ただ、レース全体として見ると、優勝したロレンソ選手に少しアドバンテージがあったのだと思います。昨日までのタイムに対して、今日のレースは全体的に遅くなっていますが、たとえばロレンソ選手が彼らの持ちタイムに対して0.2秒落ちていたのに対して、ダニのほうは0.3秒落ちています。これが、周回を重ねる中で徐々に離れていく結果につながった、という展開でした。路面コンディションが変わって、全選手のタイムが落ちていたのは明らかなのですが、ヤマハのマシンと比較した場合、我々のマシンは路面状況の変化に対してやや敏感なのかもしれません。あるいはライダーの繊細さなのかもしれませんが、いずれにせよ、昨日までの状況に対して路面温度が変わったことによるラップタイムの落ち方の影響はロレンソ選手は小さくて、ダニの方がちょっと大きかった、ということです」

−ペドロサ選手は、決勝に向けたセットアップの詰めが思ったほどうまくいかなかった、とレース後に話していました。

「もちろん、100%の準備ができていれば、多少の路面温度の変化にも十分に対応できるのですが、セットアップというものは、なかなか100点や90点にはいかないものです。実際のところは80点くらいの状況でレースを迎えるのですが、今日のダニは彼の体感的に70点程度のセットアップでレースをしていたようです」

−一方、ストーナー選手はセットアップ面では満足、という話でしたが。

「ケーシーの場合、マシンは十分戦えるレベルで、ウイークの流れで考えるとよくまとまっていると感じて決勝レースを迎えたようですが、途中から疲れが出てしまいました」

−疲れが出た、というのは、どういうことですか?

「第7戦のアッセンで転倒したときに首を痛めて、その影響で十分なトレーニングができないんです。首に衝撃がかかるためにランニングも医師から止められており、今でも実はまだ多少の痛みを抱えています。その影響で体力作りが万全ではない中で、この連戦で時差のあるアメリカへ行って帰ってくるというハードスケジュールでした。レースに間隔が開くと身体を休ませながら徐々にトレーニングを再開し、体力を維持しながら疲れを取っていくこともできるのですが、今回はそのチャンスもなく疲れが残った状態で決勝を迎えました。レース前半はその状態でもがんばれたのですが、後半はさすがに消耗してしまいました」

−5位のドヴィツィオーゾ選手は、燃費が厳しかったということですが。

「彼の場合、燃費を稼ぐためにさまざまなことに取り組み、エンジン制御を100%使える状態ではありませんでした。普段なら減速時のファイアリングなども有効に使いながらコントロールしていくのですが、今回はその方法もあまり使えませんでした。このような場合にはクラッチをコントロールしながら対応するのですが、レース序盤はそのコントロールがややぎこちない状態で推移しました。やがてうまくコントロールできるようになって追撃しはじめたのですが、すでに前との差がかなり開いていました」

−彼の場合、燃費への影響は、乗り方から来ているのでしょうか。

「そうですね。燃費は、選手によって差があるんです。アンドレアとマルコは悪いほうですが、ケーシーはそれほどでもありません。今回のミサノ・サーキットは、フルパワーではなくリーン気味にセッティングするのですが、それもあってアンドレアは少し苦戦したかもしれません」

−そのドヴィツィオーゾ選手に勝って4位でフィニッシュしたことが、シモンチェリ選手にはとてもうれしかったようです。

「そのようですね。ただ、今日のレースはトップ3がいて、そこからかなり離れてセカンド3がいて、という展開だったので、アンドレアも含めてもう少しトップグループについていってほしかったと思います」

−以前は議論のあった彼のオーバーテイクですが、あやうさはかなり減ってきたといえそうでしょうか?

「今回のレースでは息詰まるシーンも数回ありましたが、ここはコース特性上きわどいオーバーテイク合戦になるのは仕方ないでしょうね。そんな中でもマルコは無理矢理ぶつけて入っていったわけではないので、クリーンなファイトだったと思いますよ」

−ところで、日本GPが近づいてきましたが、チェコGPの事後テストの際に中本さんが記者会見で発言した内容が一部で誤解を招いているようです。

「あの会見では、今年の日本GPを鈴鹿に移す可能性はあるのか、という質問に対して『その可能性はありません』と答えました。これには2つの理由があって、ひとつはFIM(国際モーターサイクリズム連盟)が鈴鹿に対して発行しているホモロゲーション(認証)が、世界グランプリを開催できるグレードのものではないので、MotoGPを開催しようがないのです。もうひとつは、現在の10月2日に決勝レースを行う日程で鈴鹿に移すと仮定しても、翌週はF1の日本グランプリがあります。F1は準備に2週間ほどかかるので、準備中に他のイベントを開催できる可能性はないんですよ。つまり、レギュレーション面でもスケジュール面でも、鈴鹿でのMotoGP開催はできません、とお答えしたんです。
 そして次の質問で、『もてぎと鈴鹿とどっちが好きですか』と訊ねられたので、あくまで個人的な意見として、鈴鹿が好きです、とお答えしました。ハイスピードコーナーやスローコーナー、S字等々の多彩なコーナーとアップダウンがあって、コースレイアウトとしては鈴鹿のほうが好きです、と。あと、8耐やF1で何度も訪れている場所なので、その意味でも鈴鹿のほうが好きです、と言いました。以上が私の回答内容です。それがなぜ、一部のメディアで『私が鈴鹿への移転を認めた』という誤った翻訳になってしまったのか、理解に苦しみます。質疑応答を正確に翻訳していただけていれば、そのような内容にはならなかったはずだと思います」

−では、次のアラゴンGPに向けた意気込みを聞かせてください。

「昨年はケーシーが1位でダニが2位でした。2人とも、アラゴンでは強さを発揮してくれるでしょう。また、ロングストレートのあるコースでHondaの特性を生かせるので、なんとかして勝ちたいと思います」

−チャンピオンシップポイントでは、ストーナー選手と2位のロレンソ選手の差は35点です。

「残り5戦でわずか35点差なので、決して安穏としていられる状況ではありませんが、まだ我々が優位には立っています。今後のレースではとりこぼしのないよう、しっかり気持ちを引きしめて戦ってゆきます。みなさまも応援をよろしくお願いいたします」