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vol.64

遂に表彰台を独占!チャンピオン獲得を目指して

サマーブレイクを挟んだシーズン後半戦は、毎年チェコ共和国のブルノ・サーキットから始まります。今年のチェコGPも、3日間総計で約24万人のレースファンが観戦に詰めかけました。大観衆が固唾をのんで見守る中、午後2時に始まったMotoGPクラスの決勝レースは、Repsol Honda Teamのケーシー・ストーナーが序盤にトップグループを抜け出して独走態勢を築き上げ、今季6勝目。2位はチームメートのアンドレア・ドヴィツィオーゾ、3位にはTeam San Carlo Honda Gresiniのマルコ・シモンチェリが入り、Honda勢が表彰台独占を実現しました。プレシーズンに掲げた目標達成の裏に隠された苦しい戦いと、今後さらに厳しさを増すチャンピオン争いに向けた覚悟を、HRCチーム代表の中本修平が語ります。

「このブルノ・サーキットでは、我々は2004年以来ずっと勝つことができませんでした。その会場で勝てたこと、そして、06年のアメリカGP以来となる1−2−3をようやく達成できたこと。さらには、その表彰台独占は800ccレギュレーションになって今回が初めてであること。そういった事柄を考えれば、今回はいいレースだったといっていいでしょう。欲を言えば、ダニが転倒せずに最後まで走りきってくれていれば、おそらくレプソルの1−2−3フィニッシュ、そしてワークスサポートライダーの1−2−3−4フィニッシュ、というこれ以上望めない結果になったのでしょうが、それを達成できなかったのは、少し残念です。とはいえ、それは今後の大きな目標とすることにして、今日の結果は素直にうれしく思っています」

−後半戦のスタートとして、非常に幸先のいいレースだったといえそうですね。

「そうですね。ただ、Honda勢の選手たちは総じてフロントの問題を抱えており、決勝レースではフロント用にソフト側のタイヤを装着する選択肢もあったのですが、そこはがんばって皆で乗りきろう、と決意してハード側を選択したのは、結果的にも正解だったと思います。ロレンソ選手はソフト側を選んだようですが、それがレースで彼を苦しめる展開になったようにも見えました。今回は確かに我々は表彰台を独占しましたが、今後もこのようないい結果がずっと続くとはとても思えません。ライバル陣営が巻き返してくるのは明らかなので、今後も取りこぼしのないよう、さらに気持ちを引き締めてがんばりたいと思います」

―今のお話ですと、フロントタイヤの選択では結構悩んだのですか?

「いや、特に悩みはせず、フロントタイヤはハードでいこうと早めに決めていたのですが、ある選手はチャタリングと表現し、別の選手はバイブレーションと表現していたように、フロントタイヤの問題が発生していました。路面温度がもう少し上がってくれることを期待しているスタート前に、曇ってきたので少しいやな予感もしたのですが、路面温度が30℃と低かった前日の予選でタイヤはしっかり作動していたので、想定範囲内のコンディションだから大丈夫だ、と選手たちを送り出しました。幸いすぐに陽差しは戻ってきました。
 今日のレースでケーシーは勝ってくれましたが、実は今朝のウオームアップ段階の状況だと、フロントは接地感に欠けるしリアのグリップは十分ではないし、いったいどうしたものか……、という状態でした。そこから決勝に向けて調整を図っていったのですが、その調整に加えて路面温度が上がってくれたことも我々に幸いしたと思います。ケーシーはこれで今季6勝目となり、ロレンソ選手とのポイント差も32点としましたが、あれだけ強力な選手なので、このまま単純には終わらせてくれないでしょうね」

―ドヴィツィオーゾ選手については、どうだったのでしょう?

「彼も昨日の予選までは、フロントの切れ込みなどでかなり苦労をしていました。今朝のウオームアップではフロントの切れ込みはなくなったものの、今度は旋回性に問題が出てきてしまったので、その対応として車高を微妙に調整しました。これが功を奏してマシンの状態がよくなり、レース終盤には1分57秒台を維持しながら、しぶとく食い下がってくるマルコを振り切って2位でチェッカーを受けてくれました」

―そのシモンチェリ選手ですが、3位でフィニッシュしてMotoGP2年目の初表彰台獲得です。

「表彰台に上がることができたのは、素直によろこぶべきことだと思います。ただ今日のレースで、もし普通にダニが最後まで走りきり、ロレンソ選手がハードタイヤを選択していれば、おそらく表彰台には上がることができなかったでしょう。そう考えると、表彰台に上がってくれたからこそ、今後はもっと努力をしてほしいな、と期待を込めて強く思いますね」

―さきほどのストーナー選手やドヴィツィオーゾ選手の話ですが、今回のレースウイークでは旋回性とグリップの妥協点に苦労した、ということでしょうか。

「そうですね。エッジグリップも含めればリアのグリップ不足が最大の問題で、ずいぶん四苦八苦しました。そして、それを解決するために路面温度とフロントタイヤの作動温度の領域の合わせ込みにも、苦心しました。トレール量を増やしたり、キャスター角を寝かせたり立てたりなどといろいろトライしてみたのですが、フロントに荷重を移せばリアの荷重がなくなるし、リア荷重にすれば今度はフロントが切れ込むし、という状態でした。こればかりはトレードオフだから、バランスの見極めは難しいですね。レース序盤に転倒してしまったダニも、フロントが切れ込んで転倒しているので、本当に残念でしようがありません」

―とはいえ、そのような舞台裏での苦戦を経て、開幕前から目標にしてきた表彰台独占をようやく今回達成しました。

「その点については、素直にうれしいと思っています。本当はもっと早く実現したかったのですが、11戦目にしてようやく達成できました」

―表彰台独占を実現した次の目標は?

「最大の目標はチャンピオン獲得です。1−2−3フィニッシュを達成したいと言い続けてきたのは、ライダーのモチベーション向上が1つの理由です。また、我々の表彰台独占によって、ライバル陣営のモチベーション低下を狙うことも可能です。そのような観点から、1−2−3はチャンピオン争いにとって非常に重要な戦略なので、早く達成したい、とずっと言い続けてきたのです。だからといって、今後もこれを継続できるかというと、そうは甘くないのがレースの世界です。とはいえ、表彰台独占は今後もぜひ実現したいと思っています」

―では、次戦のインディアナポリスGPに向けた抱負をお願いします。

「あのコースはダニの得意なサーキットです。次のレースまで2週間あるので、気持ちを切り替えてもらって、今度こそダニにすばらしい結果を出してほしいですね。第12戦、そして今後の後半戦も我々は全力で戦いぬき、チャンピオン獲得を目指します。みなさまも応援をどうかよろしくお願いいたします」