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vol.59

難易度の高い目標実現を目指して

前戦から2週連続開催となった第6戦イギリスGP。土曜の予選は、低い気温と路面温度ながらドライコンディションで行われましたが、日曜日は早朝から雨が続き、フルウエットの難しいコンディションになりました。レースは、この困難な状況を完全にコントロールしきって最後まで高水準のタイムをキープしたRepsol Honda Teamのケーシー・ストーナーが優勝。シーズン3連勝を達成して今季4勝目となり、ポイントランキングでも首位に立ちました。また、チームメートのアンドレア・ドヴィツィオーゾも2位でチェッカー。第4戦フランスGPに続く、今季2回目のRepsol Honda Team1−2フィニッシュとなりました。厳しいレースウイークを戦い抜いたHonda勢の第6戦を、HRCチーム代表の中本修平が振り返ります。

「今回のケーシーは、本当によくがんばってくれました。『レース序盤の5周は特にグリップが悪かったけれども、それでもなんとかいいペースで走ることができました。エッジグリップを十分に引き出せなかった一方、トラクションはよかった』と、レース後に話していました。特に序盤周回の難しいところでは、彼のラップタイムは図抜けていましたね」

−日曜の雨は天気予報でも予測されていたとはいえ、予選からガラリとコンディションが変わり、準備が大変だったのではないですか。

「これだけ雨が降ってしまえば、かえって大変ではなくなるものです。雨が降ったらこうしよう、晴れた場合にはああしよう、というプランはあらかじめ立ててあるので、それに従って状況に合うマシンも用意していくことは、それほど大変な作業ではありませんでした」

−とはいうものの、かなりの雨量で路面にも水が多く、ストーナー選手は『かなり気をつかって走行しなければならなかった』とコメントをしていました。

「朝からずっと雨が降り続いて、午前のウオームアップよりも決勝時刻のほうが雨脚が強くなりました。その結果、コース上のあちらこちらに水たまりができて、その上を走行するとハイドロプレーニングが発生するためにフロントもリアも滑ってしまいます。また、わずかな挙動からフロントが切れこみそうにもなってしまいます。したがって、選手たちは細心の注意を払いながら走行を続けなければならなかったのです」

−その状況を完全にコントロールして優勝。ランキングでも首位に立ち、ストーナー選手にとって、いい流れといえそうですか?

「そうですね。この調子でシーズン最後まで進んでくれればうれしいのですが、そう簡単に事が運ぶほどレースの世界が甘いものではないことも、我々は十分に認識しております」

−ドヴィツィオーゾ選手は2位でした。スタートに成功し、1周目でトップに立ったものの、その後、2番手の位置につけてからはストーナー選手と離れて単独走行する展開になりました。

「後続を走る選手がいなくなったために、途中からアンドレアは単独走行になりました。そこからは、最後まで自分のペースをキープしながらチェッカーを受ける展開でした。アンドレア自身も、難しいコンディション下でリスクを大きくするようなこともなく、1−2フィニッシュを実現するように心がけて走ってくれました。表彰台独占にならなかったという意味では残念ですが、ぜいたくをいえばきりがないので、今日の結果には満足をしています」

−シモンチェリ選手は、3位表彰台を獲得するかに見えたものの、転倒リタイア。予選までのセッションで速さは十分に発揮しているのですが、その割に結果がついてこない、という印象もあります。

「ちょうど先ほど、レースを終えた彼と話をしていたところです。『<速さ>と<強さ>は違う』という私の考えを話したのですが、マルコもチャンピオン経験者だけあって、しっかりと理解をしてくれたようでした。各セッションのパフォーマンスも大切なのですが、肝心なのは一戦一戦のレースです。そして、そのレースは、シーズン18戦の中でひとつまたひとつと結果を積み上げてゆく戦いなのです。チャンピオンを取るためには、まずはポイントを獲得しなければ何も始まりません。我々がマルコに期待しているのは、1勝や2勝をしてくれることではく、あくまでもチャンピオンです。マルコは、それを成し遂げてくれるライダーだと我々は考えています。MotoGPでは、125ccや250ccでがむしゃらにチャンピオン争いを繰り広げていた頃よりもさらに高い水準を目指すように心がけてほしい、と話すと、マルコも真剣に耳を傾けてくれました」

−チャンピオンシップといえば、ドヴィツィオーゾ選手は今回の2位により、ランキング2位も手に届くところまで来ました。

「数字だけ見れば確かにそうなのですが、ランキング2位は簡単に達成できるものではないでしょう。アンドレアは予選でこそ図抜けたタイムを出さないものの、レースになるとしぶとい走りで上位につけるのが持ち味の選手です。今後のレースでも、毎戦高ポイントを獲得し続けてくれればいいのですが、何といっても相手はチャンピオンのロレンソ選手ですからね。彼を毎戦押さえこむのは、アンドレアほどの選手でも厳しいのではないでしょうか。もちろん、いくつかのレースでは達成してくれるでしょうが、逆にロレンソ選手が上回ることだってあるでしょう。アンドレアは、ポイントランキングでロレンソ選手を追いかけて追い越していかなければならない立場です。つまり、ロレンソ選手に勝つ回数が、負けるのよりも多くなければいけない、ということです。そう考えると、今後はかなり厳しい戦いが待ち受けていることがわかります。とはいえ、それを実現していくことは、今の彼にとって重要な課題です」

−次の第7戦も、昨年はライバル陣営に敗れたレースです。今回のイギリスGPでストーナー選手が勝利したように、次のレースにも期待は高まります。

「もちろん、次のオランダGPでも勝ちたいと考えています。我々の気持ちとしては残りのレース全部で勝ちたいと思っており、そのつもりで毎戦臨んでいます。しかし実際には、レースでは何があるかわからないので、こればかりはやってみないとなんともいえません。ケーシーが3連勝しており、我々にとっていい流れになっている、と見ていただけることもあるようですが、流れというものはほんのわずかのきっかけでガラリと変わってしまいます。だから、一瞬たりとも気を緩めることは許されません」

−ところで、この2戦を欠場したペドロサ選手は、次のレースで復帰するのでしょうか?

「その方向で考えています。次戦オランダGPの決勝は土曜日なので、ダニと相談のうえで早く正式に結論を出したいと思っています。復帰といっても、ただ走るだけでは意味がありません。表彰台を確実に狙える体調でレースに臨みたい、というのが、ダニと我々の考えです」

−では、次のオランダGPでは表彰台独占を実現できそうでしょうか。

「是非とも達成したいですね。とはいえ、先ほども言ったように、そう簡単に事が運ばないのがレースの世界です。だからこそレースを戦う我々も、そこにやりがいを感じているのです。簡単に達成できてしまう目標など、面白味も手応えもありません。難易度の高いことをクリアできたときにこそ、満足感や達成感を味わえるのです。そのためにも、我々は今後も全力を尽くして戦います。皆様も、応援をよろしくお願いいたします」