−サテライトチーム勢では、メランドリ選手とデ・ピュニエ選手が激しい4位争いを繰り広げました。
「マルコは、土曜までエンジンのドライバビリティに多少の問題があったようなのですが、決勝日の朝にチームの考えたセッティングがうまく機能し、午後の決勝レースでは全力を集中することができるようになりました。マルコはリアに柔らかい方のコンパウンドを選択していたのですが、レース終盤でもしっかりとタイヤが機能したのは、チームのエンジンセッティングの賜物で、ストーナー選手と4位争いのバトルを展開できたということにもつながったと思います。非常にうれしいですね。
ランディはウィンターテストから調子がよく、開幕戦のカタール以降も大きな乱れがありません。チームオーナーであるルーチョの采配が功を奏し、チーフメカニックのスキルとライダーのチームへの信頼が一体となって、チーム全体が非常によくまとまっています。今年は転倒もなく、彼らのポジティブな結束感が好成績につながっているのだと思います」
−シモンチェッリ選手は、序盤にオーバーランしてしまったのが残念でした。
「序盤の混戦のなかで他の選手と接触をしてしまったようですが、そこからグラベルに出ても幸い転倒をしませんでした。今年は彼にとって経験の年なので、転倒ノーポイントは絶対にナシ、という目標をクリアする走りをしてくれました。しっかりと完走してデータを獲得したのは今後のスキルアップにもつながるし、チームの士気もあがります。また、最後尾からの追い上げでシングルフィニッシュできたのは、彼なりにマシンのコントロール方法をわかってきたという証拠です。今回は、数字的な結果以上に多くのことを学べたと思います」
−青山選手についてはどうでしょうか?
「フリープラクティスから決勝まで、着実にプログラムを消化しながら、ラップタイムをあげてステップアップしてくれました。彼が訴えているマシンの不安定な挙動についても、優秀なチーフメカニックのトムと話し合って我々からの技術サポートも提供しながら、すでにシルバーストーンに向けた取り組みを進めています。そういった取り組みができるのは、マシン状態を正確に伝えることのできる青山君のスキル、コメントの精度の高さがあればこそで、我々としても彼の能力には非常に助けられています」
さて、次戦からは3連戦で、シーズンはいよいよ中盤戦の山場にさしかかります。
「HRC総監督として、私は今季、レースで1〜6位を独占するという目標を掲げています。強力なライバル陣営と戦っていく以上、至難の業であることは充分にわかっていますが、だからこそ挑戦する意義があり、是非とも達成したいと考えています。Honda勢の全チーム全選手は、この目標に向けて頑張っています。序盤4戦を終えた段階で、着実に目標に向かって進んでいる手応えを掴んでいるので、今後もさらにこの挑戦を続けていきたいと思います。次戦のシルバーストーンは未知数のコースとはいえ、6名の選手とチーム全員が高い士気で臨んでいるので、これからの3レースは非常に楽しみです。
ところで、バレンティーノ・ロッシ選手の負傷と欠場は、ライバル陣営の選手であることを抜きにしても、とても寂しく残念に感じています。一日も早く怪我から回復し、ともに戦える場所に帰ってきて欲しいと思っています。ロッシ選手と戦うことは我々にとって名誉なことなのに、そんな彼がサーキットにいないのは私個人としても寂しいし、ファンの方々も寂しく感じていると思います。ムジェロサーキットはロッシ選手のファンが圧倒的に多い会場ですが、そんな中でダニが勝っても、観客の方々は大声で応援してくれました。イタリアGPでは、全力で戦う選手に対してメーカーや国籍という枠を越えて支えてくれる温かい気持ちをすごく感じたので、シルバーストーンでは是非ともその気持ちにお返しできるようなレースをしたいと思っています。今後とも応援をよろしくお願いします」