HRC総監督 山野一彦の現場レポート

−サテライト勢では、特にTeam San Carlo Honda Gresiniの両選手に改善の兆しが見えてきたようです。

「メランドリは、チームの用意したセットアップがカタールよりはうまく機能した状態で、チームとライダーの努力がうまくまとまってセッションに挑んでいました。彼はもともとヘレスを得意にしている選手なので、そのライディングスキルとセットアップがうまく噛み合ってきた印象がありますね。だからレースを楽しみにしていたのですが、結果は8位。彼とチームの実力からすれば決して満足のできるリザルトではありませんが、前戦のカタールよりはいいレースになってきているし、上昇傾向にあるといっていいでしょう。マシンに対するコンプレインも徐々に少なくなってきています。エンジン領域では『もう少しコントロール性を上げていきたい。セッティングを進めていけば、きっと向上する』と、本人もチームも言っているので、テストの結果を踏まえて、いい状態で次のルマンに挑めると思います。
 シモンチェリの場合、今シーズン序盤は、MotoGPのマシンに慣れ、自分の力を発揮するためにどういう形で取り組めばいいか、ということを試みています。そのために、最低限クラッシュせずにレースを完走する、しかも、完走したうえで得られた結果をさらに伸ばす、ということを課題にしています。スペインGPでは、レースの序盤中盤でバトルができて、ライディング上でも得られることがあったし、マシンに関してもどこをどうセットアップすれば彼に合うかということをチームも把握してきています。11位という今回の結果は喜ばしいことではありませんが、今回の結果は必ず今後に生かせるという意味で、ポジティブなレースだったと思います」

−総じて、今回のスペインGPでのHonda勢のレース内容は、どんなふうに結論づけられるでしょうか。

「前回のカタールGP同様、今回も6名全員が完走を果たしています。ワークスチームであろうがサテライトであろうが、全員が1位を目指して戦うのは当然なんですが、しかし、現実はときとして厳しい結果も受け入れなければならない場合があります。そのなかでも今回は全ライダー全チームが自分たちの果たすべき仕事をしっかりとやってくれたので、次につながる内容だったといえるでしょう。最終的には1位から6位までHonda勢で独占したいという目標を掲げているものの、ライバル陣営が強力なので現実的にはなかなか厳しいでしょうから、シーズンが終わったときに10位までに6人が入ってくれることを目標にしたいと思っています。その意味では、まだまだやらなければいけないことはたくさんありますが、目標に向かってしっかりと動いている手応えを掴んでいます。Hondaの6選手、全チームが勝利を目指しています。そのために総合力を上げて目標へ向けて進んでゆく勢いを全員から感じます。次のレースではこの勢いを加速させ、さらに好成績を納められるようにがんばりたいと思います。

 そういえば、ダニに話が戻るのですが、『ヘレスのレースではコーナーごとにたくさんのファンの方々が応援してくれたおかげで、レース中に単独でトップを走っているときでもペースをしっかりと作り上げていくことができた。応援してくださる姿を見ると、頑張らなきゃと思って気持ちが引き締まり、すごく幸せだった』と話していました。その意味では、6名の選手全員がファンの方々の応援でエキサイティングなレースをできたと思います。全力で取り組めば必ず結果は得られる、と我々は信じています。次のルマンGPは、ランディのホームグランプリなので、彼もきっと大活躍してくれるでしょう。今後ともHonda勢6選手全4チームへの応援を、よろしくお願いいたします」
| page1 | page2 |