HRC総監督 山野一彦の現場レポート

−今年は昨年以上にテスト回数が少ないので、毎回の内容がより重要になってきますね。

「テスト回数が少なくなって厳しい側面もあるのかもしれませんが、その条件の中でどうやってメニューやスケジュールを組み立てて消化していくかということは、そのままチーム力を問われることでもあります。今回は新体制になって最初の始動なので、各チームがうまく機能してくれるかどうかを見極めるという面でも重要なテストでした。走行前にはダニチームのアルベルト・プーチとアンドレアチームのジャンニ・ベルティ両監督が事前に組んできたプランを、レプソル・ホンダ・チーム監督の山路敏幸と私を加えて4名で協議したのですが、このプランニングや協議内容が従来よりも詳細で突っ込んだものになったという手応えを感じましたね。昨年までなら私が両選手のプランニングを立てていたのに対して、今年はそれぞれの監督がひとりの選手に集中してプランを考えてきて、それを4名で多方面から検討するわけですから、充実するのも当然ですよね。今回のテストでは、チームをマネージメントしていくポテンシャルも確認できたので、非常に良かったと思っています」

−今年から、山野監督はサテライトチームも管轄するそうですが、各チームのインプレッションはどうでしたか。

「今回はサテライトチームも、2010年仕様のマシンをシェイクダウンしました。ところが、エルシーアール・ホンダ以外のサンカルロ・ホンダ・グレシーニとインターヴェッテン・ホンダの両チームで電子系のマイナートラブルが発生してしまい、走行時間にわずかながら影響を与えることになってしまったのは申し訳なく思っています。しかし、幸いにも大きくリズムを乱すようなことはなく、ルーキーライダーのマルコ・シモンチェリも青山博一君も、積極的に乗り込んで周回を重ねてくれました。ベテランのマルコ・メランドリやランディ・デ・ピュニエを含め、Honda陣営は全選手が才能あるライダーで、今回は確実にそれぞれの階段を上がってくれたという印象です。マシンに対するインプレッションはいろいろなコメントを出してもらうことができたので、それを受けて次回のセパンテストではさらにモディファイを加えていきたいと思います。第一回のテストとしては、まずまずの内容だったと思います」

−では、今回は総じて密度の濃いテストだった、といえそうですか。

「サテライトチームの各ライダーやチームはとてもフレンドリーで、今まで以上にHonda陣営の一体感を感じます。この雰囲気をさらに強め、勢いをもっと強くして開幕戦に挑みたいですね」

−2010年のチャンピオン奪還に向けて、いい一歩が踏み出せましたか?

「そうですね。たとえ今回が半歩であったとしても、次のセパンではさらに1.5歩を踏み出せます。前進することにより、さらに先へ進むためにどうすればいいかと考えることができますからね。当然、ライバル陣営も前進しているわけですが、そこに近づくために自分たちも前進できたことは大きなプラスだと思っています。我々は、今シーズンこそ王座を奪還する決意で臨んでいます。2010年のレプソル・ホンダ・チーム、そしてHonda陣営全体の活躍にご期待ください。今シーズンも熱い声援をよろしくお願いします」

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