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日本GPの興奮。

移り変わるマシン、変わらない戦い

乗り越えるべき最後の壁(2010)

好調を実現したニューエンジン

この年からMotoGPクラスでは再びレギュレーション変更があり、シーズンを通して使用できるエンジンが6基に制限されたことにより、各チームは冬季のテストでパフォーマンスと耐久性の両立に取り組んだ。Hondaは特に出力を落とさずに耐久性を向上させるという課題に挑み、ほぼ新設計ともいえるニューエンジンを完成させたのだった。

そのポテンシャルはシーズン序盤から発揮され、日本GPまでの13戦を終了した時点で、優勝4回、ポールポジション4回、ファステストラップが7回という、例年にない戦績を実現。Repsol Honda Teamのダニ・ペドロサ、アンドレア・ドヴィツィオーゾのどちらかが、常に表彰台に上るシーズンとなっていた。

特に第8戦で2勝目を挙げ、第11戦、第12戦で2連勝したペドロサはシーズン後半で高い安定感を実現しており、予選トップからファステストラップをたたき出して独走優勝というパターンに加え、トップを追い上げて優勝を奪うというパターンも実現。シリーズは、ほぼペドロサとヤマハのホルヘ・ロレンソが優勝を分け合う形で進んでいた。

第13戦終了時で、ペドロサはロレンソに56ポイントの差をつけられたランキング2位。転倒による2つのノーポイトが惜しまれるものの、残り5戦での逆転の可能性を追い続ける、さらにドヴィツィオーゾがランキング3位で後ろに控えている。これは、800cc4年目に訪れた好機だった──そんな、シチュエーションで、この年の第14戦日本GPは開催された。

本来は、4月の第2戦に予定されていた日本GPは、アイスランドの火山噴火の影響により、10月の第14戦に延期されていた。これによって、シーズン終盤にさしかかっての激しいチャンピオン争いが期待され、あるいはRC212Vの日本における初勝利も期待できると思われた。

チャンピオン争いの結末

だが、しかし。先が見えないのがレースの常である。注目を集めたペドロサは、なんと初日のフリー走行で転倒、鎖骨を骨折してしまいあっけなく戦列を去ってしまったのだ。

代わってRC212Vのポテンシャルを証明したのは、ポールポジションを獲得したドヴィツィオーゾだった。これが、MotoGPクラスで自身初のポールポジションであり、このあとにはヤマハのバレンティーノ・ロッシ、ドゥカティのケーシー・ストーナー、ロレンソが、0.205秒差に並ぶというまれに見る大接戦の結果だった。

決勝は、そのドヴィツィオーゾとストーナーが好スタートを切り、この2人が一気に後続のライダーを引き離すペースで周回を重ね、序盤にして早くも一騎打ちが展開されることになった。

欠場したペドロサに代わりHondaナンバー1ライダーとして奮起したドヴィツィオーゾ。MotoGPクラスにおける自身初のポールポジションを実現 欠場したペドロサに代わりHondaナンバー1ライダーとして奮起したドヴィツィオーゾ。MotoGPクラスにおける自身初のポールポジションを実現

逃げるストーナーを追うドヴィツィオーゾ。終盤まで続いた追走劇だったが、結果的にドヴィツィオーゾはタイヤの消耗もあってややペースを落としてしまい、ストーナーは一度もトップの座を譲ることなくそのまま逃げきりに成功したのである。ドヴィツィオーゾは約3秒8遅れての2位。

「序盤からプッシュしたが、今日のケーシーは速かった。タイヤの温度が十分に上がらず、ケーシーのペースが速かったので、今日は厳しい戦いになると思った。優勝を狙っていたし、2位という結果は少し残念だが、表彰台に立ててうれしい」と、日本で好結果を残したドヴィツィオーゾ。

フルバンクのスリリングな戦い。ドヴィツィオーゾは最後までストーナーとトップ争い続けた

そこから、2秒ほど遅れての3位はロッシ。実はトップ争いの後方で、ロッシとロレンソのヤマハ同士による激しい3位争い展開された。序盤に先行するロレンソをロッシが捕えると、最終ラップまでテール・トゥ・ノーズの戦いを続け、最後はロッシがロレンソを抑え切ったのだった。

また、マルコ・シモンチェリ6位、MotoGPにステップアップした青山博一が10位となるなど、出場したHonda勢の5選手すべてがポイントを獲得した。

第5戦で脊椎を骨折し以後5戦を欠場した青山博一。復帰4戦目のもてぎでは、予選14番手からスタートし10位でフィニッシュした

2戦連続で4位でゴールしたロレンソだったが、ペドロサの欠場でチャンピオン争いの状況はかなり有利になっていた。実質的にはここでタイトルの行方は決まったといってもいいだろう。

その後、第16戦までペドロサは欠場。ドヴィツィオーゾは上位を走り続け、ランキング5位でフィニッシュ。最終戦でケガを押して出場したペドロサは7位でフィニッシュし、シリーズランキング2位を死守した。

新クラスMoto2

この年からスタートしたMoto2クラスは、Hondaの市販車であるCBR600RRをベースに開発した専用エンジンが全チームに供給され、タイヤもUKダンロップのみを使用するというワンメイクのレースとなった。

これにより、日欧の多くのフレームビルダーやマシンコンストラクターが参戦。日本からはモリワキとTSR、ヨーロッパからはスッターやFTR、Tech3が、さらにはビモータやハリスもマシンを投入するなど、このクラスの見どころの1つとなっている。

ライダーも250と125の両クラスから流れ込んでおり、開幕戦から40台を超えるマシンがグリッドに並んだのである。その中で注目された日本人ライダーは高橋裕紀と富沢祥也だった。そして、開幕戦を制したのはGP参戦2年目の富沢であり、続く第2戦でも2位に入るという活躍を見せ、世界中のレースファンの注目を集めることになった。

中盤戦になると、ト二・エリアスが3連勝を飾るなど、チャンピオンシップを一歩リードする。だが、第12戦ではエリアスが4連勝目を挙げるものの、決勝レース中に転倒した富沢が後続車にひかれ帰らぬ人となってしまったのだ。

そこまで、優勝を含む2度の表彰台、2回のポールポジション、82ポイント獲得。シーズンの中心人物の一人と目された富沢は、わずか19歳だった。その、あまりにも早すぎる夭逝は大きな悲しみを生んだ。シリーズランキング13位、彼の着けたゼッケン48はこのクラスの永久欠番となった。

コンマ数秒の接戦

そして、悲劇を乗り越える形で開催された日本GP。マシン性能が拮抗しているこのクラス、予選はトップから1秒以内に16台が並ぶという大激戦となり、フリアン・シモンがポールポジション、2番手にはスコット・レディング、高橋が3番手に並んだ。

決勝では高橋が好スタートを切ったが、すぐにエリアスとシモンが高橋をかわす。この2台は、周回を重ねるごとに3番手以下との差は広げながら、テール・トゥ・ノーズのトップ争いを展開し、サーキットをわかせた。

なんとかエリアスをかわしたいシモンは執拗にチャージを続けるが、エリアスは最後までトップを譲ることなくゴールした。シモンは0.3秒差の2位でゴール。3位はそこから10秒近く遅れたカレル・アブラハム。序盤、3位を走っていた高橋は、15周目にアレックス・デ・アンジェリス、さらにアブラハム、スコット・レディングに抜かれての6位に終わる。

チェッカーまで激しいバトルを展開した、モリワキに乗る#24エリアス、スイスのスッターに乗る#60シモン

独走するトップ2台の後方では激しいポジション争いが展開され、4位のデ・アンジェリスから8位のトーマス・ルティまで、僅差でゴールになだれ込んでくるという見応えのあるレースとなった。

なお、日本GPでの7勝目を「富沢に捧げる」とコメントしたエリアスは、次のマレーシアGPで初代Moto2チャンピオンを獲得した。

初代moto2チャンピオンを獲得したエリアス。今年は再びMotoGPクラスへ戻り、Honda RC212Vを走らせている

2010年10月3日世界選手権第14戦・第29回日本GP結果

■125cc(15周)
1位 マルク・マルケス デルビ 39分46秒937
2位 二コラス・テロール アプリリア 39分49秒549
3位 ブラッドリー・スミス アプリリア 39分55秒333
4位 ポル・エスパルガロ デルビ 40分05秒810
5位 アルベルト・モンカヨ アプリリア 40分18秒910
6位 エステベ・ラバト アプリリア 40分19秒076
7位 ダニー・ウェッブ アプリリア 40分33秒653
8位 ルイス・サロン アプリリア 40分36秒381
9位 アンドレア・マーティン アプリリア 40分36秒804
10位 ヨハン・ザルコ アプリリア 40分42秒849

■250cc(23周)
1位 トニ・エリアス モリワキ 43分50秒930
2位 フリアン・シモン スーター 43分51秒245
3位 カレル・アブラハム FTR 44分00秒769
4位 アレックス・デ・アンジェリス モトビ 44分01秒108
5位 スコット・レディング スーター 44分02秒167
6位 高橋裕紀 テック3 44分03秒708
7位 ステファン・ブラドル スーター 44分08秒214
8位 トーマス・ルティ モリワキ 44分08秒822
9位 ロベルト・ロルフォ スーター 44分10秒165
10位 アレックス・デボン FTR 44分10秒498

■MotoGP(24周)
1位 ケーシー・ストーナー ドゥカティ 43分12秒266
2位 アンドレア・ドヴィツィオーゾ Honda 43分16秒134
3位 バレンティーノ・ロッシ ヤマハ 43分17秒973
4位 ホルヘ・ロレンソ ヤマハ 43分18秒487
5位 コーリン・エドワース ヤマハ 43分39秒358
6位 マルコ・シモンチェリ Honda 43分42秒287
7位 アルバロ・バウティスタ スズキ 43分44秒092
8位 ベン・スピーズ ヤマハ 43分47秒838
9位 ランディ・デ・ピュニエ Honda 43分59秒830
10位 青山博一 Honda 44分01秒864

覇を競う2大メーカー

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