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モータースポーツ > ロードレース世界選手権 > MotoGP学科 > 12限目「開催会場の話」

MotoGP学科

開催会場の話

12限目

各サーキットが満たさなければならない基準

ところで、レースを開催するこれらのサーキットは、いずれも一定の基準を満たすことが必要とされている。その基準は、SRRC(FIM Standards for Road Racing Circuits:ロードレースサーキットに関するFIM基準)という規則書の中で各要件が詳細に定められている。ストレートやコーナー、バンク角などのコースレイアウトに関する事項から、ランオフエリアの取り決め、排水、ストローバリアやエアフェンスなどの防護設備、信号と標示、ピットやメディアセンターなどの付帯設備、マーシャルポストとそこに常備しておくフラッグ類や備品、緊急医療施設、消火設備……などなど、この規則書には、健全で安全なレース運営に関わるあらゆる事項について、満たしておくべき基準がこと細かに記載されている。

そして、これらの基準を満たしているかどうかの査察を受けて承認された会場のみが、レースの開催を許可される、というわけだ。

以下で、その具体例をいくつか紹介しておこう。

0.29.2 サーキットのレイアウト
0.29.2.2 サーキットの全長
サーキットの全長は3.5kmから10kmの間でなければならない。
0.29.2.3 ストレート
スタートの区域は、最低250mの長さを持つストレート上に設けることを必須とする。
スタートラインは、最初のカーブから最低200m手前に位置していなければならない。

029.2.2 Length of the circuit
The length of the circuit should be between 3.5 km and 10 km.
029.2.3 Straights
The starting zone must compulsorily be situated on a straight of a minimum length of 250 m.
The starting line must be located at a minimum distance of 200 m from the first curve.

ツインリンクもてぎ ロードコース

0.29.7 サーキットの設備と付帯設備について
0.29.7.7 スターティンググリッド
スターティンググリッドの位置は、承認済み塗料を用いて路面上に以下のように標示されていなければならない:
-二輪車のみ、およびサイドカー: 白い矩形
横線の両脇に設けられた白い点(直径5cm)は、MotoGPクラスで使用するポジションであることを示すものとする。
-耐久レース: 白い円形(訳注:円は、太さ8cm、直径100cmと定められている)

029.7 CIRCUIT INSTALLATIONS AND SUBSTRUCTURE
029.7.7 Starting Grid
The positions on the starting grid must be indicated on the track with an approved paint as follows:
- Solo and Sidecar: white box
A white dot (φ5cm) at each side of the horizontal line will indicate the position of the MotoGP class only.
- Endurance: white circle

GPのスターティンググリッド
耐久レースのスターティンググリッド
鈴鹿8耐のスタートシーン

後者のグリッドが使われるのは、日本でいうと毎年夏に開催される鈴鹿8時間耐久ロードレース。各ライダーは、各円内に並び、スタートと当時にコースの反対側にスタンバイする自分のマシンへと走る。いわゆる“ル・マン式スタート”だ。

また、観客のための設備に関しても次のような基準が設けられている。

0.29.7.17 公衆用設備
公衆用設備は、以下の点に関しては特に各国各地が定める建築基準に関する法律に従わなければならない:
-観客用観戦スタンド(収容量、出口)
-駐車場
-救急設備
-公衆トイレ
-消火設備
-レストラン
(中略)
障害者用施設:
障害のある観客の利便性を考慮し、全レース会場は最低でも以下の施設を備えていることが望ましい。
・車椅子や介助観戦者の収容が可能な、専用観戦エリア
・専用観戦エリアに近接し、車椅子でのアクセスが可能な障害者用トイレ施設
・専用観戦エリアへ適度な距離で、車椅子での行動が充分に可能な広さを備えた、アスファルトやコンクリート路面の専用駐車場
・特に障害者専用とする必要はないものの、アクセスが充分に平易で、障害者の収容も想定した医療施設
・上記各施設間の車椅子による移動が可能な舗装道路

029.7.17 Installations for the public
The installations for the public must comply with the laws of the country and the
local building standards particularly with regard to:
- the spectators' stands (overcrowding, exits)
- car parks
- first aid services
- public conveniences
- fire-fighting service
- restaurants
(….)
Facilities for the disabled:
It is recommended that as a minimum, the following facilities be provided at all race venues for the benefit of spectators with disabilities:
・ A designated viewing area, capable of accommodating disabled spectators in wheelchairs and their attendants;
・ Toilet facilities for the disabled, with wheelchair access, located close to the designated viewing area;
・ Reserved parking places on asphalt or concrete, with sufficient space to permit the movement of wheelchairs, located reasonably close to the designated viewing area;
・ Medical facilities which, although not necessarily for the exclusive use of the disabled, have been designed with them in mind, with appropriate ease of access;
・ Paved pathways permitting wheelchair movement between the above facilities.

微に入り細にわたって定められたこれらの項目をすべてクリアし、審査で承認された会場のみがグランプリの開催を許可される。つまり、世界各地でMotoGPのレースを行う18の会場は、そこで戦う選手たちと同様に、いずれも世界の頂点に位置しているのだ。

日本GPの開催会場であるツインリンクもてぎもしかり。観客、選手、スタッフ、取材陣の全員がそれぞれの立場からイベントを最大限に満喫できるよう、サーキット関係者たちはほんのささいな事柄に対しても不断の努力を惜しまない。ある意味では、彼らこそが皆の目には見えないところでレースの成功を支えている縁の下の力持ちなのだ。

スポーツは、現地で観戦するのが一番面白いのは言うまでもない。ツインリンクもてぎをはじめ、チャンスがあれば、文字どおりレースの本場であるこれら世界のグランプリサーキットを訪れてレースの魅力を全身で体感することをぜひともおすすめしたい。

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