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モータースポーツ > ロードレース世界選手権 > MotoGP学科 > 8限目「チームの話」

MotoGP学科

チームの話

7限目

チームの種類

2010年シーズンのMotoGPクラスには、10チーム17名の選手が参戦。これらのチームは選手2名体制や1名体制、あるいはワークスチームやサテライトチームなど、さまざまな規模や形態をとっている。

ワークスチームとは、マシンを製造しているメーカーが直接チームを運営してレースに参戦する形態を指す。メーカーのファクトリーと直結していることからファクトリーチーム、という呼称が用いられることもある。そのメーカーが製造するマシンを、リースや購入という形で供与を受けて参戦しているチームがサテライトチーム。また、ワークスマシンではなく、市販のレース用マシンを自費で購入して参戦している場合は、プライベートチームという。

MotoGPの場合は、プロトタイプ仕様のマシンで争われるという競技の性質上、市販車ベースのマシンは存在せず、したがって、上記の厳密な定義にしたがうとプライベートチームは存在しない。つまり、2010年シーズン参戦している10チームは、必ずワークスかサテライトのいずれかに分類されるということだ。

具体的には、Honda、ヤマハ、スズキ、ドゥカティの4企業がメーカー直系のワークスチームを運営し、このうちHonda、ヤマハ、ドゥカティにサテライトチームが存在する。2008年までワークスチームが参戦していたカワサキのマシンを使用し、09年に参戦したハヤテ・レーシングチームは、分類上は変則的サテライトチームということができるだろう。

チームの種類

チームの名称

MotoGPにはワークスとサテライトという2種類のチームが存在するといっても、チームの登録名称を見ただけではその区別はできない。理由は単純。チームの登録名称には、ワークスとサテライトを見分ける要素が含まれていないからだ。

この登録名称は、各チームが自由に好きな名称をつけてもいい、というわけではない。グランプリのほかの事柄同様に、遵守すべき決まりが定められており、ルールブックの項目[1.28 チャンピオンシップとその区分]の中で、その名称の作成方法が細かく定義されている。

具体的には、以下の通りだ。

1.28.4

(前略)チーム名称は、3つの要素から成るものとする:
 1. モーターサイクルもしくはエンジンマニュファクチャラーの名称 (必須)
 2. チームの名称 (チーム名がマニュファクチャラー名と同一の場合以外は必須)
 3. メインスポンサーの名称 (任意)

1.28.4

(…omitted…) The names of the teams will be composed of three elements :
 1. The name of the Manufacturer of the motorcycle or engine. (Mandatory).
 2. The name of the Team. (Mandatory except where the Team name is the same as the Manufacturer).
 3. The name of one principal Sponsor. (Optional).

上記の定義に基づいて、チームの登録名称を見ていくと、以下のような要素から構成されていることがわかる。

例1) レプソル・ホンダ・チーム(メインスポンサー名+マニュファクチャラー名)
例2) エルシーアール・ホンダ(チーム名+マニュファクチャラー名)
例3) サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ(メインスポンサー名+マニュファクチャラー名+チーム名)


チームを構成する人々

チーム、と一口に言っても、その中ではさまざまな人々が働いている。外から見ただけではなかなかわかりにくいチーム内の仕事や、それぞれの役割を担当する人々の構成と内容について、レプソル・ホンダ・チームを例に、簡単にまとめてみよう。

チームを構成する人々 ラモン・アウリン。ドヴィツィオーゾを担当するチーフメカニック。ライダーと各メカニックの間に入って、情報の交通整理や詳細な指示などを束ねる ジャンニ・ベルディ。ドヴィツィオーゾのチームを監督し、ライダーをはじめメカニックのマネージメントを行う 山路敏幸(やまじとしゆき)。ワークスチームを統括する責任者。チームスタッフを束ね、現場での状況に応じて総合的な意思決定と指揮を行う。別名チームマネジャー 山野一彦(やまのかずひこ)。HondaのMotoGPワークスチームおよびサテライトチームの全体を統括し陣頭指揮をとる最高責任者。別名チームダイレクター 国分信一(こくぶしんいち)。レース現場でワークスチームをはじめサテライトチームのマシン「RC212V」の技術全体を統括し、現場でのマシン作りを進める。別名テクニカルダイレクター アルベルト・プーチ。ペドロサのチーム監督を担当し、ライダーをはじめメカニックのマネージメントを行う マイク・レイトナー。ペドロサを担当するチーフメカニック

総監督

ワークスチームおよびサテライトチームとHondaのMotoGPチーム全体を統括して陣頭指揮をとる最高責任者。今シーズンから新たに設らけたポジションで、HRCに所属する山野一彦(やまのかずひこ)が総監督=チームダイレクター(team director)としその任に就いている。

チーム監督

レース現場でチームを統括する(最高)責任者。チーム全体を束ね、総合的な意志決定と指揮を行う。Hondaワークスチームの場合は、伝統的にHRCの従業員が歴代のチーム監督(team manager)を担当し、直接チームを采配する形態をとっている。2009年までは、山野がチームの監督を務めていたが、現在は山路敏幸(やまじとしゆき)がその任にあたっている。さらに、2010年のレプソル・ホンダ・チームは各ライダーに対して一名ずつの担当監督を配置する体制に変更。ダニ・ペドロサに対してはアルベルト・プーチ(スペイン)が、アンドレア・ドヴィツィオーゾに対してはジャンニ・ベルディ(イタリア)がそれぞれの担当監督を務めている。

さらに、メーカーや陣営によっては、この監督とは別個に、レース現場での「技術統括」などという名称でマシン情報に特化したまとめ役を置く場合もある。レプソル・ホンダ・チームでは、RC212Vの開発責任者を務めた経験のある国分信一(本田技術研究所所属)がその役職を担当している。

選手

レースを戦うチームの中心的存在。レプソル・ホンダ・チームの場合には、ダニ・ペドロサ、アンドレア・ドヴィツィオーゾの両選手に、それぞれ以下のスタッフがつく。

メカニック

コンディションやライダーのリクエストに応じてピットボックス内でマシンを臨機応変にセットアップし、最大の戦闘力を引き出せるようにオートバイ調整を仕上げる役割。ライダーと各メカニックの間に入って、情報の交通整理や詳細な指示等を束ねる人物は、チーフメカニックと呼ばれる。

メーカーエンジニア

メカニックがピットボックス内で直接マシンの各部微調整作業を行うのに対し、エンジニアの場合は、エンジン担当、車体担当、テレメトリー担当などに分かれ、ライダーやメカニックから得られる各種フィードバック情報を整理し、また彼らに対してセットアップに役立つ情報を提供する。日本のファクトリーで行う開発作業との橋渡し役を担当するという職務内容上、レプソル・ホンダ・チームの場合はHRCの従業員が担当している。チーフエンジニアは、これらのエンジニアリング情報を現場で集約し、チーフメカニックとも連携しながらチーム監督を補佐する。

関連パーツエンジニア

サスペンション、タイヤ、ブレーキなど、ワークスチームが製作していない重要な専門パーツなどに関しては、各メーカーのエンジニアがピット内でチームのメカニックやメーカーエンジニアたちと協力しながら作業を行い、セットアップの積み上げや修正、また技術情報の集約や提供などを行う。

その他のスタッフ

ピット内での作業の携わる上記の各役割以外にも、チームを支え、運営していく上ではさまざまな仕事がある。印刷・放送メディアとのコミュニケーションや広報業務を担当する者、各種スポンサー活動やマーケティングを行う渉外担当、パドック内のホスピタリティでチーム関係者の食生活や健康を一手に引き受けるシェフとサービススタッフ、また、チームの膨大な搬送物を円滑に輸送するスケジュールを組み立て、スタッフの移動スケジュールなどを管理するコーディネーターなど、ひとつのチーム内には実に多くの業務があり、各担当者は円滑なチーム運営のためにそれぞれ重要な役割を担っている。

 

つまり、これだけの大所帯を支えるチームダイレクターと、現場の最前線で戦う2人の選手は、上記のチーム関係者一人ひとりの勝利にかける思いを一身に引き受けながら毎戦のレースを戦っている、というわけだ。このようなチーム全体の構造を知れば、選手たちが表彰台獲得記者会見などで「レースウィークを支えてくれたチームスタッフに感謝したい」と話す言葉の重さを、いっそうよく理解できるだろう。

チームスタッフ

このようにピットボックス、ホスピタリティ、チームトレーラー、プレスルームなどのパドック内部のみに関わらず、サーキットから離れた欧州のワークショップや日本の研究所、企業でも、それぞれの地域でさまざまな人々が勝利の喜びや敗戦の悔しさを共有し、次のレースも、あるいは次のレースこそ勝ちたいという思いを胸に抱きながら新たな一戦を迎える。その意味では、現場で作業をしているか否かにかかわらず、コースに出て行くライダーを見守る一人ひとりがチームスタッフであるといってもよい。また、監督や選手を背後から見守るファンの熱い応援が、チームスタッフたちの努力に劣らないほどの重要な支えであることはいうまでもない。