−優勝を飾った翌日は事後テストでした。月曜にダニは転倒を喫したしたようですが、どのような状況だったのですか?
「この日はまず、ニュウマチックバルブエンジンのマシンで走行したのですが、転倒はスタンダードマシン走行中に起きました。タイヤテストを実施しようとして走り出した、2周目の2コーナーです。特に何か問題があったわけではなく、タイヤが冷えているようなフィーリングだったと本人は話しています。自力でピットまで戻ってきたときに、骨は折れていないようだが、背中から落ちたので臀部が痛いと訴えていました。 その後、鎮痛のケアで病院に行き、金曜あたりからはストレッチや筋肉のトリートメントで次のレースへ向けた準備を開始しています」
−その後、ニュウマチック仕様はニッキーがテストしたようですが。
「月、火とテストをし、高評価でしたね。ラップタイムも悪くなかった。レースのときよりもアベレージがよく、レースシミュレーションでも後半になって1分42秒台が出ていました。心配していたタイヤへの影響もなさそうで、何よりライダーがフィーリングよく乗れているのが好材料です。従って、ニッキーに関しては、次回ドニントンパークからでニュウマチック仕様を走らせるところまで準備していくことも考えています。すでに2日間のテストで乗っているので、比較的進め易いのではないかと思います」
−ニッキー自身、ニュウマチック仕様を心待ちにしているようですが。
「ニュウマチックの特性は、ニッキーの好みに合うようです。特に、ウェイトトランスファーのバランスを気に入っているようです。我々としても、ライダーが気に入っていてなおかつ戦闘力の高いモノなら、投入していきたいと考えています。今年はスタンダード仕様とニュウマチック仕様という二本の軸で進めていて、開発のペースも同じです。現状で、実績を上げているのはスタンダードマシンであることから、ダニは今後もしばらくこの仕様で進む可能性も考えられます。ニッキーは事後テストで乗ったニュウマチック仕様を高く評価しておりラップライムで戦闘力も示しているわけですから、ドニントンパークでの投入も視野に入れて準備は整えるつもりです。それで進化していけば、ここから先の4連戦でダニに随時投入する可能性もあるかもしれませんしね。今後のレース運営については、両ライダーとも臨機応変に判断していきたいと思います」
−ここから先も連戦が続きます。特に次の2戦、ドニントンパークとアッセンは、ともにテクニカルで難易度も高く、決して楽に戦えるコースではなさそうです。
「今回のダニの優勝で、チャンピオンシップのポイント差は12点から7点に縮めることができました。これを取り返して、さらにはライバル選手を凌ぐ勢いで立ち向かいたいと思います。ここから続く4戦、ドニントンパーク−アッセン−ザクセンリンク−ラグナセカ。夏休み前までのこれらのレースで何勝するか、どれだけライバル選手やライバル陣営よりも前にいるかということが、シーズンを大きく左右します。まさに天王山だと思います。ドニントンパークとアッセンでダニが前を走れば、我々の側に追い風が吹いてくる。ここからは精神戦ですね。どんなふうに戦っていくのか、私たち自身がそれを楽しみにしています。
ダニについては、カタルニアで乱れてしまった勝利のシナリオをもう一度呼び戻し、さらにモディファイを施して毎セッションの組み立てに取り組んでいきます。幾通りかのプランを考えていますが、どれでいっても確実に勝利できるように最善を尽くします。ニッキーは、ニュウマチックという新たな武器を早く確実にものにし、新たなマシンでこちらも好成績を収めるよう進めていきます。そして、2人ともその結果をはずみに、アッセンではさらに攻勢に打って出る。我々はあくまでチャレンジャーです。挑戦する精神と攻めの姿勢で、さらに高みを目指して戦い続けます。次のレースも、応援をよろしくお願いいたします」