サーキットの名称にもなっているリカルド・トルモは、かつて小排気量クラスで活躍したスペイン人ライダー。1981年には50ccクラスでチャンピオンも獲得している。
■欧州、北米、アジアを転戦し、北半球から南半球を巡りながら激しい戦いが続いた2008年シーズンのMotoGPも、いよいよ最終戦。第18戦の舞台はスペイン・バレンシア郊外のリカルド・トルモサーキットだ。高速道路出口から直結する格好で建設されているこのサーキットは、バレンシア市街地から車で30分弱。レース期間中は市街からの電車も停車し、アクセスは非常にいい。スペインでの開催は、シーズン序盤のヘレス、中盤のカタルニアに続き、これで3回目となるが、長いシーズンを締めくくる一戦を自らの目で確かめようと大勢のファンが詰めかける。金曜日からパドックがごった返す様子は、さすがレースの本場である。
■当サーキットは、ロードレースのコースとしては珍しく、トラックを観客席がぐるりと取り囲むスタジアムタイプの形状になっている。観客席のどこにいてもコースが一望できる構造だが、その分だけレイアウトは入り組んだ中低速コーナーが主体で、パッシングポイントも少ない。全長は4005m。ラグナセカとザクセンリンクに次ぎ、3番目に短いコースである。
■第7戦カタルニアサーキットの際にも紹介したが、スペインでのダニ人気は圧倒的だ。ここバレンシアでも、老若男女を問わず多くのファンがダニを応援しにやってくる。スポンサー広告やレース案内告知、ファンのユニフォームや応援横断幕などなど、どこに目をやってもかならずそこにはダニの姿がある。来年こそチャンピン獲得、という思いは、皆に共通した決意なのかもしれない。
■今年のレースは金曜日からすっきりしない空模様で気温も低く、終日、雨が降ったりやんだりという観客にとってあまりありがたくないコンディションだった。しかし、日曜の決勝日になると一転、朝から気持ちよい好天に恵まれて気温も上昇し、清々しい秋晴れのなか、絶好の観戦日和となった。日曜の動員数は11万7788人。3日間総計の入場者数は、述べ20万4788人と発表された。