05年のアメリカGPを徹底取材したドキュメンタリー映画"The Doctor, The Tornado, and The Kentucky Kid"(邦題『ターン8』)。
ニッキーが優勝を飾るラストは、鳥肌モノの名シーンだ。必見。
■当然のことだが、ニッキーはアメリカ人ファンの間で人気が高い。ラグナセカの物販売り場を歩いていると、いたるところでニッキー関連グッズを目にする。世界チャンピオンを獲得した世界トップライダーであることを鼻にかける様子など微塵もない、陽気で人当たりのいい、気さくな近所の次男坊。そんなニッキーの飾らない雰囲気が、アメリカのレースファンをたまらなく魅了するのだ。
■今年の観客動員数は、三日間総計で13万1250人。ツナギ姿が目立つ欧州のレースファンと比較して、こちらの場合はのんびりとキャンプやバーベキューを楽しみながらぶらりとサーキットを訪れるような、そんなのどかなスタイルがむしろ一般的だ。とはいえ、一番の目的がレース観戦であることに変わりはなく、観客たちの姿もレース好きにどことなく共通する雰囲気を醸し出している。
■グッズや食品を販売する一角は、ターン2からターン5の間の池を囲むエリアに集中している。そこにひしめきあう多数の店舗には、やはり欧州とはひと味もふた味も雰囲気を異にするアメリカならではの何かが漂っている。ある意味では、かつての鈴鹿8耐にも似た賑やかさなのだが、こちらのほうがもっと突き抜けた陽気さがある。いったい、何が違うのだろう……、とぼんやり空を見上げると、そこに答えがあった。サーキットの頭上に広がる、雲ひとつないカリフォルニアの青空。そう、これこそがラグナセカなのだ。