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「一言ではいえないですね。レースは勝つときもあれば負けるときもある。勝ったときはうれしいし、負けたときはつらいですしね。20年もレースの世界にいた中で、8耐も含めて勝ったレースは全部感動です。ニッキーが勝ったときもうれしいし、ダニが勝ったときは、それはそれでまた別のストーリーがある。過去に在籍した選手を含めて、それぞれ個性がありますから、どれひとつとして同じものはない。でも、その中で唯一挙げるとすると、そうですね、ニッキーが初ポールで初優勝を飾った、05年のラグナセカでしょうか。勝てそうで勝てない状態が続いていたニッキーが、地元で優勝を達成したあのときは、本当にうえれしかった。ダニの場合は、250ccでの連覇もあり意外と淡々と彼の優勝を見ることができました。彼には、250ccで王者を獲得したライダーはなかなかチャンピオンを取れない、というジンクスを払拭するような走りを来年は期待しています。ニッキーも、今の彼はニッキー史上最高のテクニックを備えていると思っていますから、08シーズンはダニがチャンピオンを取るかな、あるいはニッキーが甦るかな、という格好で『もうこの2人にチャンピオンが絞られてしまったよね』と終盤戦にもつれ込むような戦いを見せて欲しいです。それが実現されれば、Hondaとしては理想的ですね」 −現場スタッフとして転戦した時代と比較すると、監督時代は肉体的、精神的にも過酷だったのでは? 「確かにきつかったですよ。とはい っても、その責任から逃れるつもりなどありませんけれどもね。でも幸いなことに、これといった深刻な不満をチームやライダーから耳にすることもなかったので、それなりの調整役としての役割は果たせたのではないかと思っています。こんな私によく任せてもらえたな、みんなよく我慢してくれたな、と思いますよ(笑)。私の場合、電装担当として自分で設計し、配線し、それを現場に持って行ってみんなとやりとりをかわして、という一連のプロセスから出発してこの20年間を過ごしてきましたが、これをこれからの新しい世代にも経験させてあげたいですね。実際にレースで走るわけではないにしても、ただ見るだけではなくて、自分もレースに参加することで、何がしかのマインドを次の若い人たちに伝えていきたい。自分自身が現場で参戦することで、負けたときには悔しい思いをし、じゃあ次はどうやって勝つのかと考えながら、本田宗一郎のファイティングスピリットを新しい21世紀のレーシングスピリットとして継承していってくれればな、と願っています」 −来シーズンから、レプソル・ホンダ・チームのスタッフは大幅に入れ替わるそうですが。
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