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「ムジェロではミシュラン勢がトップを占めましたが、ダニは結局2位で終わってしまいました。ニッキーは10位。レース直後には、フロントが巻き込み気味でリアもスピニング気味だった、とのコメントでしたが、ニッキー自身は『言い訳はしない』と言っています。彼にとっても、我々にとっても辛いレースでした。ダニは、レース中盤から急激にグリップが低下し、ペースを維持できなくなった、とのことでしたが、前の選手を精一杯追っていたため、レース終盤になってエンジンセッティングを調整するモードスイッチの切り替えも使わなかったようですね。我々開発側から見れば、それだけ彼に余裕のない走りをさせてしまった、と言うこともできるかと思います。上位2台のあとは、ブリヂストン(BS)勢がずらりと占拠する恰好になりましたが、そのBSを履いているマルコは、リアのトラクションがなくなり、フロントは振動が出て切れ込んできた、というコメントでした。やはりレース序盤から一所懸命走るあまり、タイヤを温存できなかったのでしょう。今年のレギュレーションでは、あらかじめタイヤメーカーさんが用意したバリエーションの中から各チームやライダーが自分たちの使用するものを選択しているので、BS勢もミシュラン勢も、チーム毎にさほど大きな差はないはずです。だとすれば、その選択した中でのタイヤ選びやセットアップの進め方等、レースウィークの組み立てや戦略が重要になってくるのだと思います」 −今シーズンからタイヤが登録制になったことは、やはりチーム戦略に大きな影響を与えているのでしょうか。
−マシンの特性上、タイヤに負担を強いてしまう、ということでしょうか。 「ライダーの特性や乗り方、エンジン特性等を含めて、前を走る速いマシンを追いかけると、序盤から突っ込みがきつくなり、それを繰り返しているとレース終盤でタイヤが厳しくなってしまう、という要素はあると思います。本来なら、ダニのようにうまく車速を乗せることができる、タイヤに優しい走りのライダーは普通に走っていても温存できるのですが、相手が速いと自分もブレーキングをぎりぎりまで遅らせてコーナー進入で張り合ってしまい、その結果、摩耗を早めてしまう。ムジェロでは、チェカは10周目の4コーナーでオーバースピード気味で進入して転倒リタイア、中野真矢君も終盤にタイヤを使い切ってしまったようで13位。おしなべて、ホンダ勢のライダーには苦しい戦いを強いることになってしまいました」 −ムジェロのレースではダニのマシンに新パーツは投入されていたのですか? 「ルマンで投入した新しい排気系の耐久性を更にアップさせたものを採用しています。次のカタルーニャでは、その排気系をさらに進化させました。左側サイレンサーの形状を変更しただけではなく、そこに至るエキゾーストパイプのスペックも変えることで、出力特性はさらにリニアリティ向上を実現しています。カタルーニャでは、新たなフレームも試しています」
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