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「5戦を終えても、初戦からの構図や状況は変わっていません。ライバル陣営に食らいついても、BSでもミシュランでもHondaはまだ2位どまりで優勝できていません。選手は一生懸命やってくれているし、ハードの開発も懸命に進めていますが、まだ水を開けられている、というのが今の正直な印象です」 −マシン面では、ワークス勢は上海〜ルマンと、改良が進んできたようですが。
−ルマンのフリープラクティスで試したダニの新しい排気系ですが、土曜午後の予選ではその仕様を使わなかったようです。 「午前のFP3までは新しい排気系の仕様で走っていました。ただ、一部に不具合があったために、予選はスタンダードに戻したのですが、決勝レースでは再び新しい排気系でグリッドにつきました」 −決勝レースはブリヂストンユーザーの圧勝でした。レースに『たら・れば』はないとはいえ、雨でなければまた違ったレース展開になっていた可能性もあるのでは? 「というよりも、あのコンディションが功を奏した面もあると思っています。ダニは予選10番手からのスタートで、雨が苦手と言われ続けていたにもかかわらず、着実に順位を上げて4位でフィニッシュしています。第2戦ヘレス終了後のレインテストで、ウエットでの特性や挙動をより把握できたのでしょう。だから、今回のレースでもしっかりとコントロールできて、雨を走る自信につながったのだと思います。もちろん、表彰台に上がれていないから素直に『いい』とはいえませんが、雨はどちらかといえば苦手という過去の状況を考えれば、よい傾向にはあると思います。一方のニッキーも、過去には雨に弱いと言われた時期もありましたが、今はそれを克服して、決勝レースでも案の定、上がってきました。残り3周となったところで転倒してしまったのは残念ですが、大きなケガがなかったのは幸いです」 −そんな状況でマルコが2位を獲得しました。 「彼は去年も優勝しているし、もともとルマンは得意ですからね。今回のトップ3は全員がBSユーザーだから、タイヤ面では確かにBSが有利だったのかなという気はします。ところで、同じBSでもトニはちょっと好みが特殊でタイプが違うんです。乗り方を見ても、フロントブレーキを一気に強くかける傾向があるので、そういう意味ではタイヤの選び方が非常に重要になるのですが、コンパウンドは柔らかめでも構造は硬めなど、いろいろなトライをしています。開幕当初、彼の好みはBSの想定していた仕様から若干異なるようでスタッフを驚かせたようですが、最近ではトニの乗り方に合わせたタイヤを自分たちの技術ノウハウの中でロジカルに予測し、コントロールできる範ちゅうに入ってきたという話です」 −他のHonda陣営の選手では、中野真矢選手が苦戦を続けています。 「今回のレースウイークの前に、実は中野君とも話し合ったのですが、真の原因はこの辺にあるのだろうということは、彼も認識しているんです。コメントを聞いていると、うまく回れなかったり、コントロールできないという、今起こっている事象ははっきりとしています。中野君を含めたチーム全体の力で、本当に一刻も早く解決して欲しいと思っています。もし、ライダーが迷っているのならば、メカニックやスタッフが問題解決に導いていく。それこそがチーム力だと思っています」 −ルマンのレースで見る限り、同じHondaサテライトチーム勢のチェカがフロントローを獲得しているわけだから、少なくともそこまでのマシンポテンシャルはある。
−あと、Hondaエンジンを搭載したKR212Vのチームロバーツも前年に比べて苦戦しています。 「ライダーのモチベーションも含めて、かなり悩んでいるようですね。フランスGPのレース後には、ケニーシニアが、誰かにKRのマシンを試乗してほしいという話もしていました。開幕前のIRTAテストでは、チェカとマシン交換をして比較をしていますが、ひょっとしたら今後の事後テストでもそのようなシーンが見られるかもしれません。ケニーシニアは、元来が明るい性格ですから、レギュレーションを変更して自分のところだけ990ccのマシンで走らせろ、と冗談も言っていましたが(笑)」
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