Honda 〉モータースポーツ 〉MotoGP 〉HRC総監督・石井勉レポート |
![]() ![]() |
−1周目1コーナーで発生した多重クラッシュが、再開後のレースも含め、この日のMotoGPクラスのすべてを左右してしまいました。
−ニッキーに続き、今回はKR211Vのケニー・ロバーツJr.が3位に入りました。この初表彰台は、HRCだけではなくグランプリ界にとって特筆すべき出来事だったのではないでしょうか。 「そうですね。本当にそのとおりだと思います。ケニーはフリープラクティスから非常に安定していて、予選も3番グリッドでしたから、ライダーの技倆に加えて、あのコースと彼らの車体の作り方がマッチしていたということでしょうね」 −開発の方向性が明確になってきた、ということですか。 「実は第4戦の上海あたりで一度、HRCの技術者が提案をしているんですよ。提案といっても、我々が尊重しているのは彼らのオリジナリティだし、彼らもRC211Vのコピーを作ろうとしているわけではないので、『Hondaのエンジンで彼らのフレームや足周りを活かすならこういう方向はどうでしょうか』というアドバイスですが。それを少しずつ具現化させて方向性を見極め、いい方向に進んでいるんでしょうね。彼らのすごいところは、Honda以外に他社のエンジンやフレームなど、多彩な知識を持っていることです。そんな中で、Hondaのエンジンを使うとすると、足りない部分はこれだ、ということが明確になってきたんでしょう。だから、逆に我々は、なぜ彼らのマシンが安定していたのかというところをしっかり考えなければいけないと思います」 −そういう意味では、今回のKR211Vの表彰台は、Hondaにとって一面では厳しい結果とも言えるのではないでしょうか。 「なぜ、あのコースでKR211Vが速かったのか。それを謙虚に考えて分析すればいいんだと思います。どのメーカーにも長所と短所はあります。なぜこのコースはよかったんだろうか、なぜこのコースはだめだったんだろうか。なぜいいところが活かせなかったのか、なぜ悪いところが出てしまったのか。そういったことをひとつひとつ、謙虚に考えていかなければならない。前回もお話ししたように、Hondaの中でライダーたちは切磋琢磨して刺激しあういい関係になっているんですが、チームの面でもチーム・ロバーツの存在は我々にとっていい刺激になりつつある。それは充分に利用すべきだと思います。ライダーの技倆と車がよくマッチしたのか、車の特性とコースがマッチしたのか、いろいろな可能性があると思うので、そこは謙虚に解析したいと思っています。そういう意味では、今回はいろいろと考えさせられることが多いレースでしたね。たとえば、ダニ、ケーシー(・ストーナー)、トニ(・エリアス)と皆転んだ。全員、フロントが切れ込んでいるから、そこにはきっと何かあるはずだと考えなければならない。メーカーによって得意なコースやそうじゃないコースがあるとは思いますが、良くても悪くても、そこには必ず何かヒントがあるわけですから」
−250ccクラスでは、セバスチャン・ポルト選手が引退を発表しましたが…。 「木曜の夕方に記者会見を行いましたが、なぜそういう決断に至ったのかという本当の真相は、結局は本人にしかわからないことだと思います」 −その記者会見では、2週間前に引退を決断した、と言っていました。 −レースに目を向けると、ドヴィツィオーゾ選手の勝ちっぷりは実に見事でした。 「パーフェクトですね。観客の方々にもわかったと思いますが、ブレーキングポイントが他の選手とは全然違っていました。あのレースはアンドレアが完全に支配していた、という印象があります。いいレースでしたね。250ccクラスはタイヤは皆同じだし、マシン差もそれぞれ短所や長所がありながらトータルでの大差はない。そんな中で勝てるのは、やはり頭で考えて、戦略的な駆け引きができているからです。連続表彰台を獲得しながらもずっと勝てない状態の中でがんばってきたアンドレアがついにやってくれたこの結果が、クラスを越えてHonda全体にいい雰囲気を与えてほしいと思いますね」 −次のレース、第8戦の舞台アッセンは前半部分に大きなコース改修が施されています。印象はどうですか。 「レース前に歩いてみましたが、かなり小さく回り込んでますね。しかも、意外と複合コーナーになっている。それが果たしてHonda勢にどう出るのか。どこのメーカーにとっても条件は同じですが、今回はオランダ独特のめまぐるしく変わる天候という要素もあります。それだけに、まったく予測がつかない、というのが正直なところです。ご期待と応援をよろしくお願いします」
|
![]() |
Honda 〉モータースポーツ 〉MotoGP 〉HRC総監督・石井勉レポート |