Honda 〉モータースポーツ 〉MotoGP 〉HRC総監督・石井勉レポート |
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「今年も苦しい一年でしたが、ようやく結果を出すことができました。ずっと応援してくださったファンの皆様や、我々を信じてサポートしてくれたスポンサーの方々、そして、支えてくれた内外の関係者全員の気持ちがライダーに伝わった結果だと思います。本当にありがとうございました」 −前評判では、ポイントランキングで逆転されたHondaは不利、という見方が圧倒的に強かったようです。
−前戦でアクシデントがあった後、チームオーダーを出さないHondaの姿勢に対して批判的な意見もありました。 「いろんな考え方があって当然です。でも、我々には信念がある。人間はそんなに強いものではないから、惑わされそうになることもあるかもしれませんが、そんなときに判断基準になるのが、今まで継承されてきた揺るぎない理念で、最後はそこにたち戻ってくるんです」 −ライダー、コンストラクター、チームという3つのタイトルを、今年は全部奪還しました。去年と今年の大きな違いはどこにあったのでしょうか。 「ご存じの通り、今シーズンは2種類のハードを用意しました。ダニには初年度で、新しいモノを多く望む性格ではないこともあって、現行マシンのポテンシャルを充分に引き出す方向で進みました。4年目のニッキーは、新しい目標に挑戦したいという本人の意志を尊重したので、ふたりのハードを分けてでもその方向で進もうと決めました。その意味で、ハード的な大きな変更についてはニッキーのマシンに一極集中できた、という側面があります。また、私自身については、総監督就任1年目の昨年に諸問題を抽出・検証し、今年につなげることができたとも思っています」 −「強いワークスチームの復活」が今年のテーマでしたが、今シーズンを経て、それはどの程度達成できたでしょうか。
−ブランニューといえば、レース後の月曜には正式にRC212Vが発表になりました。 「事後テストでは、ワークスチームのふたりが正式に乗っています。ダニは日本GPの事後でも乗っているので今回が2回目のテストですが、自分のライディングパターンにフィットするようでかなり気に入っていますね。990ccにステップアップしてきた当初も、パワーを抑える方向で乗った方がタイムが出ていたくらいで、パワースライドというよりもトラクションさせて走る乗り方ですから、ダニにはかなりとっつきやすいのではないでしょうか。ニッキーも、見た目がかっこいいし旋回性能も今よりいい、というコメントで、やはり気に入っている様子です。ニューマシンはRC211Vと比べて小さいという声もよく聞きますが、じつはホイールベースは同じなんですよ。特にシートカウルが小さいから全体的にコンパクトに見えるんでしょうが、300km/hを出すマシンですから、タイヤ径やホイールベースが極端に小さくなるようなことはないんです。現に、ラップタイムも990ccとほとんど同じところまで来ています。ストレートでは、バレンシアの場合、RC211Vが320km/hほど出ているのに対してRC212Vは300km/hそこそこですから、その分、コーナリングスピードで稼ぐような乗り方になる、ということですね」 −来年のチーム体制も、大枠が発表になりました。
−250ccクラスでは、青山周平選手がランキング8位で1年を終え、高橋裕紀選手は2度の優勝でランキング6位でした。 「周平君は、1年目の成績としては悪くないと思います。彼のレポートを見ていても、何が失敗でそれに対して何をすればいいか、と自分で理解や整理ができているので、2年目の来年は期待できるでしょう。裕紀君は最終戦のフリー走行で骨折してしまいました。スタッフが何人か交替で見舞いに行きましたが、医師の腕がよかったこともあり、思った以上に元気で安心しました。来季の開幕には間に合うでしょうし、彼は性格も明るいから、引き続き期待しています。このシーズンオフはじっくりと治療に専念してほしいですね。 最終戦終了後に800ccのテストを実施し、来シーズンに向けた戦いはすでに始まっています。我々は興奮している余裕もない状態ですが、ファンの皆様や内外関係者の今年1年の応援には本当に感謝しています。来シーズンも引き続き応援していただけるよう、これからも全力を尽くします」
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