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−今シーズンここまでの展開を振り返ると、まずは順調に進んできたといってもいいのでしょうか。 田中「開幕戦は、(ロリス・)カピロッシ選手に負けてしまったのは悔しかったけれど、ダニ(・ペドロサ)が早くも2位に入ってくれて驚きました。やってくれるだろうと予想はしていましたけどね。また、ダニの上海GPでの初優勝は圧倒的な差をつけた誇らしい勝利で、Hondaとして胸を張ることのできるレースだったと思います。一方、ニッキー(・ヘイデン)も連続表彰台でほかのチームにプレッシャーをかけ続けたので、レースをこなせばこなすほど、レプソルが戦闘的なチームになってきたという手応えがありました。ニッキーに多くの新しいものを投入し、ここ3年の中ではありえなかったフル体制で戦っています。ニッキーの地元のアメリカGPでは完ぺきなレース運びで去年に引き続き2連勝を決め、しかもHondaが1−2−3フィニッシュ。我々のやってきたことは間違いじゃなかったんだ、と証明しつつあると思っています。じゃあ順調に進んできたのかというと、決してそんなことはない。楽に勝てたことなど一度もありませんから」
田中「確かにそうですね。例えば家かグランドスタンドで一ロードレースファンとして観戦することができたらもっと楽しいだろうなというレースが、今年はいっぱいありますね。特に逆転に次ぐ逆転の展開でニッキーが優勝したオランダGPなんて、『やった!』『あ、また抜かれた』と、思わず手を握るというか。それに、今年はライダー同士がフェアに戦っているじゃないですか。そういうところは非常にうれしく思います。自分はいいときに現場にいるな、とつくづく感じますね。もてぎを含め、残りの3戦でもシビアな展開はあると思いますが」
田中「プーチの話はシンプル。無理な事を言わないし、HRCの私たちの立場もよくわかってくれている。むしろ逆に、ああ、ありがたいなと思いますよ。現場でてきぱきと判断して決めていくことがいかに重要かということを再認識させられる事は多いですね」 石井「彼のやりかたや考え方を見てると、レースってもともとシンプルなものなんだ、ということをなんとなく思い出させてくれる。たとえばうまく物事が進まないときはいろんな人の思いや意見をまとめるのが大変なんですが、彼には迷いがないから、スパッと核心をついてくる。それはスタッフみんなにも刺激になっていると思います。戦績や、ライダー、プーチの存在などもあって、今年はピット内の雰囲気と緊張感が違うんです」
石井「最初にも言いましたが、安心材料はないですよ。タイヤ面でもライバル勢のアベレージは上がってきているし、昨年のチャンピオンチームのパッケージもリカバリーは早いから、まだまだ安心できない。我々は、取りこぼしは絶対にできない、という思いでいます」 田中「ここから先の戦いは、ある意味で神経戦になっていきます。ニッキーはまだノンタイトルのチャレンジャーだということを忘れず、挑戦していく気持ちで向かっていくことが大切です。彼にはワークスライダーの自負があるし、今年はチャンピオンを獲るチャンスだとわかってるから、いい意味での欲が出ていますよ。自信を持ってもてぎでもいいレースができるでしょう。ダニは走れば走るほど習熟しています。今まさにミシュランタイヤやマシンを理解してきて、乗れている状態ですよね。セパンでケガをしたのは少しハンデでしょうが、もてぎでは願わくばこのふたりがいい戦いをしていい結果を残し、強いHondaを見せたいです。その意味では、マレーシア−オーストラリア−日本、と続くこの3連戦はまさに天王山です」 石井「ダニは精神面でも自信をつけてきてモチベーションも最高だから、このままの流れで大丈夫でしょう。ニッキーは、今が一番アドレナリンが出ている状態です。彼はチャレンジが大好きだから、目の前のビッグチャンスに燃えないはずがない。それをダニがよく刺激して、ぜひともレプソルのワン・ツー・フィニッシュで決めてほしいですね」 田中「そうですね。あとはそのふたりに絡んでくるのが玉田選手なら最高です。やはり日本GPでは日本人ライダーにがんばって欲しいですから」 石井「一昨年優勝、昨年3位という今までの実績を考えれば、十分に可能性はあるでしょう。日本は、彼にとって特別なレースだと思いますよ」 田中「日本という特別な場所でのレース、というのは私たちにとっても同じです。どの日本のメーカーも勝ちたいと思っているでしょうが、それは我々も一緒。ここは絶対に勝って大きくアピールしたい。一年のここまでの結果をリセットして、もてぎから新たにシーズンがスタートするというくらいの気持ちで臨みたいですね」
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