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モータースポーツMotoGP田中誠レポート
VOL.24 カタールGP「多くのことを学べたニッキーの3位表彰台」


全17戦のなかでも最も過酷な状況下で争われた第14戦カタールGP。避けようのない砂塵と灼熱に悩まされる厳しい状況下で、レプソルホンダのニッキー・ヘイデンは3位表彰台を獲得したが、チームメイトのマックス・ビアッジはマシントラブルにより、残念ながらわずか5周でリタイアを余儀なくされた。

「ニッキーはよく頑張りました。ウォームアップではタイヤに少し問題があったんですが、いいものが見つかり、決勝でもスタートに成功しました。レース序盤でセテ・ジベルノーと接触してわずかに離れかけたときには、このままトップグループから置いて行かれてしまうのかと思ったら、そこからもう一度盛り返して最後までしっかりとついて行けた。しかも、予選での一発タイムに匹敵する1分57秒903というファステストラップも記録できました。もう少し手際良くセットアップを煮詰めていくことができていれば、さらにハイレベルなソリューションを見つけることができていたかもしれません」

−確かに、フリープラクティスから予選を通じて、ニッキーはいまひとつパフォーマンスを発揮しきれないまま時間が過ぎていったように見えました。

「予選でも、タイムを上げられないまま終わって8番グリッドに沈んでしまいましたからね。せめて57秒台半ばでロッシの前には行っておかないといけなかった。グリッド位置が悪ければ、その分だけ決勝レースでは無理を強いられることになるわけですから」

−ところがレースでは、スタートに成功して序盤からトップグループを構成する走りを見せてくれました。

「正直なところ、厳しいレースを予想していたんですよ。でも、予選が悪くても決勝ではしっかりとトップを争うことができた。今回の3位はアメリカの優勝に匹敵するほど価値がある3位だったと思います。ただ、レース終盤、最後の最後に前2台から離されて3位単独走行になってしまったのは残念ですね。そのことも含めて、ニッキーにとって今回のレースでは多くのことを学べました」

−その一方で、マックスはレース序盤にピットへ戻り、そのままリタイアとなってしまいました。一体、何があったのでしょうか。

「5ラップ目に電装系の不具合で断続的な失火状態が発生してしまい、ピットに戻らざるをえなくなってしまいました。予選ではタイムを上げることが出来ず、5列目13番手に沈んでいましたが、朝のウォームアップは6番手のタイムで、上昇傾向にはあったんです。決勝でのトラブルはライダーの責任ではないところでのアクシデントなので、マックスには可哀想なことをしたと思っています」

−ところで、あの怪我の状態にもかかわらずマルコ・メランドリが2位表彰台を獲得しました。

「フリープラクティスから予選まで少しずつ積み上げて、こなすべき仕事をこなしてきた結果でしょう。それから、怪我をして無理が利かないためスムースな走りをこころがけて、それがかえっていい走りになった、という要素もあるんじゃないかと思います。それはともかく、レース終盤に最終コーナーからの立ち上がりで、マルコがロッシにパスされてしまったのはショックでしたね。我々が今後クリアしていく課題としてしっかり胸に刻んでおかなければならないと思っています。いずれにせよ、負けは負けです。次のフィリップアイランドは、昨年、最終ラップまで争った挙げ句に、僅差とはいえセテがロッシに負けてしまったコースなので、是非ともそのリベンジを果たしたい。今回の悔しさを、なんとしてでも次に繋げていきます」
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