Honda
モータースポーツMotoGP田中誠レポート
VOL.20 「チェコ テストレポート」


−チェコGPから一夜明けた月曜と火曜に行った事後テストでは、マックス、ニッキーそれぞれ精力的に走り込んでいました。具体的には、両名それぞれどういうメニューを消化したのですか。
 
 マックスの初日は、レースで発生した問題点の洗い出しと検証を行い、その後にスイングアームの別仕様なども試しています。この日は48周を走行して、ベストタイムが1分59秒395。2日目には新型マシンに跨って、早速、前日に匹敵するタイムを叩きだしました。現行車にない良い部分を感じ取ることができ、上々の滑り出しでしたが、さらに走行して煮詰めたいところで時間切れになってしまいました。この日は合計47周で、ベストタイムは新型マシンで記録した59秒400となっています。
 
 一方、ニッキーはレースのときに煮詰めきれなかった部分のセッティングを行い、問題点を克服しました。初日は93周で1分57秒600、2日目は88周で57秒715という良いタイムを出してテストを終了することができました。
 
−このタイムから見ると、ニッキーは予選用タイヤを履いたアタックも行った、ということですか。
 
 初日のタイムは確かにQF(予選用)タイヤで出したものです。しかし、2日目はレース用タイヤであのタイムです。本人もご機嫌でサーキットを後にしましたよ。
 
−マックスが2日目に乗った新型マシンですが、どのような項目をテストしたのでしょうか。

 
 今回は主に、ジオメトリーを振って、最適な方向性を探っていきました。 この新型マシンで目指したものは、減速やコーナー進入時の性能向上で、実際にマックスの話でも、それらの点がさらに良くなっている、とのコメントでした。
 
 ただ、我々としては、今後さらに良くしていきたいポイントを数え上げればきりがない、というのも事実です。今はとにかくこの新しいマシンで、さらにセッティングを煮詰めていくことが重要だと感じています。
 
−レースでセテのマシンに発生したトラブルの原因は解明できたのですか。
 
 今回のレースで不運にも彼のマシンが見舞われた「FI(フュエル・インジェクション)コントロールシステムの問題」については、しっかりと究明をしました。二度とこうした不具合を起こさないための対策も進めています。
 
−次戦はいよいよHondaのホームグランプリ、日本GPです。
 
 日本GPの舞台、ツインリンクもてぎはHondaにとって有利なサーキットのひとつです。4年連続負け無しですから、今年も当然、勝ちを狙いに行きます。比較的フラットでストップアンドゴーのコースレイアウトは、マックスのライディングスタイルに良くマッチしていて、その証拠に彼は2年前に完璧な勝利を飾っています。
 
 ニッキーも、昨年はオープニングラップの多重事故に巻き込まれる不運な結果でしたが、今は調子が良く、特にこの数戦はいいリズムで推移してきているので、優勝もありえると考えています。
 
 9月18日は、是非とも楽しみにしていて下さい。
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