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伝統のダッチTTとしては75回目の開催となるMotoGP第7戦オランダ。フリープラクティスから予選にかけては当地に珍しい好天に恵まれたが、決勝日は明け方から雷雨となり、午前のウォームアップはウェットコンディションとなった。決勝レースが行われる時刻には、コンディションこそドライに戻っていたが、前日までと比べると路面温度は15度以上低くなっていた。このような厳しい条件変化のもと、5番手スタートのニッキー・ヘイデンは4位でフィニッシュ、9番手からのスタートを強いられたマックス・ビアッジは6位でレースを終えた。
−“ダッチウェザー”の例に漏れず、今回は決勝日にコンディションが激変しました。セットアップの最後の仕上げに影響はありませんでしたか。
ここは切り返しが連続するコースレイアウトで、ハンドリングの軽快さが勝負の鍵を握りますが、金曜の予選を終えた段階でも完全にはハンドリングが決まり切っていない状態で、多少難しい要素はありました。
またマックスは、エンジンブレーキのフィーリングも完全には改善しきれなかったようです。そういった最後のひと煮詰めを決勝朝のウォームアップで見直すつもりだったのですが、あいにくの天気でできなくなってしまった。ただ、それは他のチームについても同様なわけだから、あまり言い訳にはなりません。
それよりも、予選終盤のトラブルがなければ6番手以内にはつけることができていただろうと思うと、少し残念です。
−予選終盤のトラブルとは、マックスのバッタイーニ選手(WCM)とメランドリとの接触ですね。マックスは、この接触とコース上のマシン停止で、FIMから6,000ドルの罰金を言い渡されましたが。
バッタイーニ選手との接触は、今回改修されたシケイン部分でオーバーランしてしまったことが原因です。このセクションは、ブレーキングポイントを探りにくくてオーバーランしてしまうライダーが続出しましたが、マックスも同様でした。なんとかコースに復帰した際に、不運にもバッタイーニ選手のラインに重なってしまった。私もマックスもWCMのピットに謝りに行って、先方も理解していてくれて大事には至りませんでした。
マルコとの接触は、コースをゆっくり走行していたマックスを抜こうとしたマルコが少々無理にイン側を走った事と、マックスが後ろに注意せずスロー走行していた事が重なり接触してしまいました。ビデオ映像では、マックスが肘を出しているようにも見えますが、これは故意の挙動ではなく、マルコを避けようとして反射的に動いたというのが実情です。
セッション終了のチェッカーが振られる前にもかかわらず、コース上にマシンを停めてスタート練習をしようとした行為は実際違反で問題です。まだ他の選手は予選中で、一歩間違えば重大事故にもつながりかねないことですから、私も彼にはきつく言い聞かせました。マックスも、二度とこのような行為を繰り返さないように真摯にうけとめて反省しています。
決勝日は、そういったゴタゴタから気持ちを切り替えて臨んだはずなのですが、6位で終わってしまいました。
−グリップがなかったと言っていたようですが。
選択したタイヤが、本人が思っていた以上にグリップしなかった。それで序盤に追い上げることができず、不満を抱えたままでレースが終わった。今回は、ハンドリングに分があるヤマハさんにやられてしまった感がありますね。
−一方のニッキーは、またもや惜しいところで表彰台を逃してしまいました。
序盤はマルコとともにトップを走れていましたが、ロッシにパスされてから一度ずるずるっと下がってしまう悪い癖が出てしまった。その後、順位を上げましたが、できればエドワーズ選手を交わして表彰台にあがってほしかったところです。ただ、激しいコンディション変化のなかで確実に安定してトップに近いところでレースができるようにはなってきています。
−3回のフリープラクティス、予選という決勝に至るまでのマシン作り、という面でも進歩が伺えます。
確かに良くなって来ていますが、もう少し詰めることができたはずです。フリープラクティスから予選までのマシン作りとタイムアタック、そして決勝レースの組み立て、と、いずれもあともう一歩のところまで来ています。彼には引き続き期待をしましょう。
−次のレースはいよいよ彼のホームグランプリ、ラグナセカです。
94年以来の開催で、しかもコース改修が施されたニューレイアウト。私も改修後のコースを見ていないので、どれくらい変わっているのか楽しみにしています。MotoGPマシンでは誰も走行していないので、その意味ではイコールコンディションといっていいでしょう。アメリカンライダーには精神的に有利でしょうから、ニッキーにはそのアドバンテージを是非とも活かしてほしいところです。本人も気合い充分のようですしね。
−HRCとレプソルYPFのスポンサー契約の2年延長が、ここアッセンで発表されましたね。
レプソルとは長年一緒にやってきた間柄で、信頼のおけるパートナーです。互いに気心が知れた関係だし、過去を振り返ると、レプソルとHRCというペアでの勝率は非常に高い。現在の我々はまだ苦しい時期ですが、一刻も早くここから脱却して、レプソルとHRCの勝率アップにふたたび貢献していきたいと気持ちを引き締めています。
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