Honda
モータースポーツMotoGP田中誠レポート
VOL.12 オランダGP 解説


次戦のオランダGPの舞台は、先日、さらに10年間の契約延長を締結して2016年までの開催が決定したTTサーキット・アッセン。今年75周年を迎える伝統のサーキットは、世界選手権がスタートした1949年から連続開催している唯一の舞台であり、「TT(ツーリストトロフィー)」独特の雰囲気をなおも色濃く残している。毎年6月最終土曜に開催される伝統も連綿と踏襲されており、今年は6月25日(土)が決勝日となる。また、例年、「ダッチウェザー」と呼ばれる特有の気まぐれな天候がライダーたちを悩ませるが、今年はどんなレースが展開されるか楽しみでもあるグランプリだ。

−カタルニアではどんなテストをされたのでしょう?
 
 朝からどんよりと曇っていて、走り始めるとすぐに雨が降ってきたので、わずかに周回しただけで終わってしまいましたが、ニッキーにとってはいいテストだったかも知れません。
 
−と言うと?
 
 AMAでは雨だとレースを行わないので、ニッキーがレインコンディションを経験したのはグランプリにやってきてからです。フルウェットの経験はこの3年で少しずつ培ってきましたが、路面が生乾きの中途半端な状態は今でも不得意にしているので、カットスリックを履いて走行した今回はいい練習になったと思います。次回はアッセンですしね。
 
−オランダGPが開催されるアッセン・サーキットのコースの特徴を教えてください。
 
 ここはハンドリング性能、特に切り返しの軽さが重要なサーキットです。また、天気が変わりやすいこともこのサーキットの特徴で、ドライ、ウエットいずれのセッションでも、短時間でマシンをセットアップできないと勝利することは難しいですね。毎年最終ラップまでもつれる展開で、見る側としては楽しいサーキットではないでしょうか。
 
−攻略法はありますか?
 
 攻略法というほどのものはありませんが、先ほどお話ししたとおり高速コーナーでの切り返しなどハンドリングで差がつきますので、この辺のセットアップをいち早くモノにしていかなければなりません。
 
−“ダッチウェザー”の天候不順は、ライダーの気持ちにも影響を与えるものでしょうか?
 
 昨年も多くのライダーが雨のセッションの中、転倒を喫しています。コースが他と比べて特殊なこともあり、どのライダーもできればドライコンディションの中で力を発揮したいところでしょう。
 
−オランダGPで過去に何かエピソードはありますか?
 
 私の中でアッセン一番の思い出は、マイケル・ドゥーハンが「チャンピオン間違いなし」と言われて迎えた92年のWGPですが、彼はここで転倒し、その怪我の影響で結局その年チャンピオンになれなかった。良い思い出ではないですが、どのライダーも怪我には気をつけてレースを走りきって欲しいですね。
 
−最後にオランダGPに向けた抱負をお聞かせ下さい。
 
 とにかくここで踏ん張って、勝たなければなりません。これ以上離されるわけにはいかないですからね。Hondaの意地を見ていただきたいと思います。

< BACK VOL.13 >
レプソル・ホンダ・チーム監督 田中誠レポート
HondaモータースポーツMotoGP田中誠レポート
MotoGP モータースポーツ Honda