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モータースポーツMotoGP田中誠レポート
VOL.1 スペインGP「この屈辱は絶対に次のレースにつながる」


 従来よりも1戦増えて全17戦で開催される05年シーズンのMotoGP。開幕戦が行われたスペイン・ヘレスサーキットには、レースウィーク3日間の合計で23万7232人の大観衆が押し寄せた。今シーズンから土曜午後の1時間のみとなった予選の結果、レプソル・ホンダ・チームは、ニッキー・ヘイデンが4番手、マックス・ビアッジは16番手だった。
 決勝レースでは、順調に3番手を走行していたヘイデンが20ラップ目の最終コーナーでフロントから転倒、即座にレースへ復帰したものの、ピットへ戻ってリタイア。一方、ビアッジは最後尾に近い位置から執念の追い上げを続け、最後は7位でフィニッシュした。

 
―終盤までいいところを走っていただけに、ニッキーの転倒は残念でした。
 
 ちょうどペースアップをし始めて、前との距離を詰め始めたところだっただけに、残念でした。転倒の際に親指を打ってしまったようで心配しましたが、メディカルチェックを受けた結果、大事はないということでした。
 
 完走していれば獲得できていた16ポイントを失ってしまったことになりますが、残り16戦あるわけだから、むしろいい方向に考えたいですね。内容的にはいいレースをしていたわけだし、これも今後の良い経験になると思います。
 
―確かに、ニッキーは3日間を通して、ハイレベルなパフォーマンスを披露していました。
 
 IRTAテストのときからずっと気分良く走って、好タイムを連発してきましたからね。その好調さを維持して、予選も4番手だったし、決勝でもちゃんとレースをしていましたから、去年までの彼とはひと味違いますよ。ニッキーに関しては、リザルトはともかく、いい内容だったと思います。
 
―一方のビアッジは、金・土と苦労の連続だったように見えました。
 
 特に土曜の予選で、予選用タイヤを履いたときに出るチャタリングの症状に悩まされていたようです。レース用タイヤでのタイムはそこそこ出るようになったとは言え、チャタが気になるまま予選が終わり、グリッド順も16番手と最悪の位置だったので、マックスにとっては、かなり不本意だったでしょうね。
 
―その位置から追い上げての7位フィニッシュは、相当に頑張ったと言えるのではないですか?

 
 チャンピオンを争うためには、ダメなときでもダメなりに最大限の走りをしなければいけません。毎戦毎戦、予選で1番、決勝で優勝、なんてあり得ないんだから、シーズンを通してどれだけコンスタントにアベレージを高く保っていくか、ということがシーズンの終盤に効いてくる。
 
―その意味で、今日の7位は満足のいく結果ですか?
 
 スタート位置が16番手だったことからいえば最善の結果だと思います。周回ごとにポジションアップをしていったとはいいえ、きっと本人はとても悔しがっているでしょう。けれど、マックスはただ悔しいだけで終わらせてしまう選手じゃないので、この屈辱は絶対に次のレースにつながる。
 
 今回はよく頑張ったと思いますよ。問題を抱えた中でもがいてもがいて、そして得た最善の結果です。次のレースでは、今回の結果をバネに彼の闘争本能に火をつけて奮起してくれると期待しています。
 
 今回のリザルトが最悪の状態で、シーズンが終わったときに、「そういえばあんなこともあったなあ」と後で笑えるように、来週のエストリルに向けてさらにライダー、チームともに頑張っていきたいと思います。
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