「ガソリンタンクはまだ大きい時代です。今のRC211Vは、ガソリンをマシンの重心に集めているのでタンクを小さく、乗りやすくしていますが、この時代はまだ大きい。タンクの中心にはキャブレターなど色々なものがあり、その周りにガソリンが入るので大きくなるわけです。
 だから、このマシンに乗ったライダーはタフな8時間を経験したと思います。タンクが大きく、少し無理な姿勢で、鋭いハンドリングのマシンを繊細に扱い、50分とか55分、スプリントレース並のラップを重ねるわけですから」
 この必勝のマシンに乗り、2000年の8耐は、宇川/加藤組が優勝。以来、2001年はロッシ/エドワーズ組、2002年は加藤/エドワーズ組、2003年は生見/鎌田組が優勝。デビューしてから4連勝を挙げ、Hondaの8耐7連勝の達成に貢献した。

 「8耐では、RVF750の時代からトップクラスのグランプリライダーが究極の走りを演じて勝利を掴むという時代が、15年くらい続きました。しかし、Hondaが8連勝をめざす今年2004年は、WGPとスケジュールが重なりグランプリライダーが出場しないんです」
 面白いではないか。長年続いた世界のトップライダーを交えた闘いから、誰が勝つかわからない、夏の耐久の祭典が復活する。この注目の8耐に、HondaはCBR1000RRをベースとしたスーパーバイクでエントリーする。1981年の優勝車、RS1000以来23年振りに直4エンジンが復活する記念すべきレースでもある。
 ベースとなるCBR1000RRは、RC211Vのテクノロジーを色濃く反映したスーパースポーツマシン。172馬力を発生させる強力なエンジンを搭載しながら、「乗りやすい」と多くのライダーが口を揃える新次元のハンドリングを持つマシンだ。CBR1000RRのエンジンは、水冷4ストローク直列4気筒DOHC 4バルブである。

 「23年振りのHonda直4エンジン復活。ですから、最近8耐を見はじめたファンにとっては、新しいエキゾーストノートに聴こえるんじゃないかと思います。もともと1960年代、ライバルが2ストロークエンジンで闘っているとき、Hondaだけが4ストロークの直4やマルチシリンダーエンジンを手掛けていました。そういう意味で、直4サウンドはHonda伝統のサウンドなんです。それが今年の8耐で復活します。ぜひ、往年のHondaを彷佛させるサウンドを鈴鹿に聴きに来てほしいですね。僕も鈴鹿で待っています」

宮城光の「鈴鹿8耐歴代ロードレーサーの鼓動」はこの回で終了です。
鈴鹿8時間耐久レース
の決勝は7月25日(日)鈴鹿サーキットで開催。お楽しみに。
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