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 ニッキーは普段、街でバイクには乗らない。「バイクは何台か持っているんだけど、普通の道では乗らないんだ。プロのレーサーである限り、一旦バイクにまたがったら、いつでもどこでも全力で速く走る心構えが必要だと思う。モトクロスならいいよ、それと、サーキットならいい。でも公道でそんなことやったら、もう、すぐにアウトだからね」

ニッキーや他のプロのレーサーたちのように、一年のほとんどをGPサーカスで費やす人たちにとって、レースとまったく関係のない活動や人々との付き合いはかけがえなく尊いものである。
「今はガールフレンドはいないんだ。前は、真剣に付き合っていた・・・いや、そう思っていたと言うべきかな、ガールフレンドがいたけど、別れちゃったんだ。最近はいろんな所に出かけて行って、たくさんの人との新しい出会いを楽しんでるところ」

 将来についてはどうだろう。21才のニッキーは、いつの日か結婚して子どもが欲しいと思っているのだろうか?
「いつかは結婚したいと思ってるよ。僕の両親が幸せな結婚をして、僕たちはこんな素晴らしい家族と楽しく暮らしてきたんだ。自分もいつかそんな家庭をつくりたい」

 レースやバイクとは離れて、他のスポーツに関しては、ニッキーは友達とバスケットボールやフットボールをするが好きだという。
「バスケットにはちょっと背が足りないけど、大好きでよく友達とやるんだ。僕の体のサイズは二輪レーサーにはちょうどいいみたいだ。でもそれはすごく大事なことなんだよ」

 70年代後半から80年代にかけてHondaで活躍したフレディ・スペンサーのように、アメリカ人レーサーが当時のGPレーサーのライディングスタイルに与えた影響は決して小さくない。アメリカ人が参戦する前は、ほとんどのGPレーサーは基本に忠実な乗り方をしていた。まるでレールの上を走るかのように、マシンを規則正しく、正確に走らせた。しかし、ダートからきた70年代のアメリカ人GPレーサーは、無意識に後輪をスライドさせたりスピンさせたりしながら、ワイルドでルーズな乗り方をした。バレンティーノ・ロッシら最近のGPチャンピオンは、もっとバイクをコントロールした乗り方をする。

 ニッキーは、ロードレースのうまいダートトラックレーサーである。アメリカの過去と現在の両方のライディングテクニックを併せ持ったレーサー。アメリカの偉大な先輩同様ダート出身であるから、基本の乗り方からは到底かけ離れた、好んでテールをぶんぶん振り回す、非常に自由奔放な乗り方をするが、彼の凄いところは、正確でコントロールされたライディングスタイルも持ち併せている、才能豊富なレーサーであることだ。

 AMAスーパーバイクシリーズ史上最年少チャンピオン、ニッキー・ヘイデンの目は、MotoGPチャンピオンという次なる大きな目標をしっかり見据えている。(終わり)

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