Honda Racing to TOP
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ニッキー・ヘイデンWGPダイアリー
 今シーズンでよかったことは、MotoGPのルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得したこと。1年間ルーキーとして与えられた仕事を着実にこなせたと思うし、この賞はその証として大変名誉に思っている。もちろんHonda、HRC、そしてチームの協力なしにはもらうことはできないものだよ、みんなに感謝している。それから、第15戦・フィリップアイランドの3位表彰台は、忘れることのできない特別な瞬間だった。実はその日の朝、僕は父親と賭けをしてたんだ。僕が表彰台に立ったら、彼はやせるためのダイエットを続けなければいけない。表彰台がだめだったら、僕は彼の店のガレージの最前列に並んでいる車をすべて洗うというもの。ありがたいことに僕は3位でフィニッシュし、表彰台をゲットした。いい結果を出したい思いもあったけど、車を洗うのは絶対いやだって、心の底から思ってた。

 反対に今シーズンで悪かったことは鈴鹿の8時間耐久ロードレースだ。あの悔いの残るレースさえなければ、ほぼ100%満足のいくシーズンだったと言えるね。
 
 来シーズンの僕の目標は非常に基本的なことだよ、予選でもっと速く走れるようになりたいということさ。振り返ってみると、予選での不出来がレース結果に大きく影響したのは事実。MotoGPクラスでは、3列目や4列目からのスタートで表彰台を狙うことは、よっぽど運が良くない限り不可能に近い。前方に何も遮られるものがなくて、トップに立ってレースを自分自身がリードするという場面を、短い間だったけどオーストラリアGPで初めて経験したけど、驚くほど素晴らしい感覚だった。来年はもっともっと何度もこんなふうにレースをしたいんだ。

 最終戦、バレンシアGPでのクラッシュは、予期せぬ煩わしい問題をもたらした。転倒した時、すぐに起き上がってレースに戻らなきゃいけないと思って、右手をハンドルから離さなかったんだ。ところがその時にどうにかなって、右手の親指の筋を伸ばしてしまったらしい。それがそのあと、レースが終わってチームのみんなと夕食をとっている頃にだんだん痛み出してきて、アメリカに戻ってからも気になってはいたんだけど、でも、まあちょっとくじいた程度と思ってた。ところが、予定されていたテストが近づくにつれて痛みが増し、バイクや自転車に乗ろうとするたびに激痛が走るようになったんだ。レントゲンを撮ったら小さな剥離が見つかって、ケニー・ロバーツやエディー・ローソン、ミック・ドゥーハンの治療にもあたったドクター・ティング(Dr. Ting)に診てもらい、つい先週簡単な手術を受けた。数週間のうちにはバイクに乗れるようになるだろうとのことだったが、そんなわけでバレンシアのテストとツインリンクもてぎのEnjoy Hondaには残念ながら参加することができなかったんだ。

 これからは、この指のけがを治しながらだけど、来シーズンに向けて必要なトレーニングをしていくことになるだろう。その準備はできているよ。いよいよ2004年だ。期待していてね。」
(2003年12月1日ケンタッキーの自宅にて)
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