Honda Racing to TOP
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ニッキー・ヘイデンWGPダイアリー
―――昨年度のAMAスーパーバイク・チャンピオンからMotoGPライダーへとステップアップした期待の星、ニッキー・ヘイデン(21)。WGP初挑戦の鈴鹿では、チーム関係者やファンのみんなが見守る中、確実な走りで7位を獲得。第2戦の南アフリカGPでも、中盤から後半にかけて力強いライディングを見せて2戦連続7位に入賞した。
1戦、2戦を終えたところで、ニッキーにレースを振り返ってもらったのだが、そこで語られたのはWGPライダーになったことを誇りに思い、世界のトップレベルで戦えることを喜ぶ一方で、自分のレースを冷静に分析し、更なる高みへ登り詰めようとたゆまない努力を続けるニッキーの率直な心境だ。その言葉は今後の活躍を期待させてくれる頼もしいものだった。
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まず初めに、亡くなられた加藤大治郎選手のご冥福を心よりお祈りいたしますとともに、ご家族、ご親族、チームの皆様へ謹んでお悔やみを申し上げます。
ニッキー・ヘイデン

【鈴鹿GP】
「鈴鹿でのレースは僕にとって初めてのWGPであり、夢に見た二輪ロードレースの世界最高峰に到達できたという喜びで、すごく興奮していた。しかしあの週末は、本当に何もかもが悪い方、悪い方へと作用したような感じだった。例えば、僕は予選初日のアタック7周目に大転倒を喫し、あの時ギアは4速、かなりのスピードでの転倒だった。自力で待避エリアまで歩いていくことができたのは運がよかったのだと思う。

 すぐコースに飛んで戻ったけど、残念なことにそれから後はずっと悪天候が続いた。予選2日目もハーフ・ウェット、ハーフ・ドライというコースコンディションで、だからマシンのセッティングが本当に難しく、結局、予選中にドライ・コンディションのコースを走れたのはほんの数ラップ。タイムを出すのにさえも苦労する状況だった。

 そんな状況が好転したのは決勝当日朝のウォームアップの時。レース用にセッティングされたマシンの状態を充分に把握でき、タイム的にも8番手か9番手に付け気分はとても良かった。

 最後のレースはいつだっただろうか・・・・僕は決勝のグリッド上で、最後にスリックタイヤでレースをした時のことを思い出そうとしていた。たぶんそれはAMA最終戦のバージニアだったと思う。去年、AMAはシーズンがとても早く終わり(2002年最終戦バージニアは8月11日決勝)、実に長いオフとなった。それだけに、シーズンの開幕、しかもWGP開幕戦のスターティンググリッドに立っているということに、僕の興奮は最高潮に達した。

 7位というレース結果はまずまずだったけれど、決して納得のいくものじゃなかった。正直言うと、自分にとって最初のWGPレースということで言えば、すべて忘れてしまいたいくらいだ。でも過去にWGPに初挑戦したライダーの中には僕よりもっと苦戦した人もいるはずだから、良しとしようと思っている。

 WGPの雰囲気というのは、それは言葉ではなんとも言い表せないくらい張り詰めた感じだ。そこにいるだけで、もう胸がいっぱいになる。今回親父が一緒にいてくれて、僕はグランプリのそんな空気をじっくり味わうことができた。

 鈴鹿のあと、僕はアメリカに戻り、南アフリカまでの数週間のオフをトレーニングに充てた。このとき、兄のトミーもケンタッキーの家に帰ってきて、毎日一緒にバイクに乗ったりトレーニングできたことがとても嬉しかった。トミーとはしばらくこういうチャンスがなかったからね。そしてそのあと南アフリカに向けて出発したんだ。」
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