現場レポート Repsol Honda Team チーム・マネージャー アルベルト・プーチ 現場レポート
Vol.206 Round 07

タイヤテストに集中したことが、マルケスのカタルニアGP勝利につながる

前戦イタリアGPに続き、好天に恵まれた第7戦カタルニアGPは、予選2番手から好スタートを切り、2周目にトップに浮上したマルク・マルケスが2位以下に約6秒の大量リードを築き、終盤はセカンドグループとの差を確認しながら着実に走り切って、真っ先にチェッカーを受けました。

序盤、チームメートのホルヘ・ロレンソが10コーナーで転倒し、その転倒にアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)、マーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)が巻き込まれる多重クラッシュがありました。トップグループから4人が戦列を離れたことでマルケスは単独首位になりましたが、タイヤに厳しいコンディションの中で1分41秒台のラップタイムで連続周回し、最後まで集中を切らすことなく、24周のレースを走り切りました。

これでカタルニアGPでは、2014年以来、5年ぶりの優勝と今シーズン4勝目を達成し、4年連続6回目のタイトル獲得に向けて、また一歩前進しました。

今大会は、路面コンディションが悪く、選手たちはタイヤのグリップ不足とタイヤ選択に頭を悩ませました。マルケスもフリー走行、予選、ウォームアップと決勝に向けてタイヤテストに集中、最終的にフロントにはただ一人ハードを、リヤにソフトを選択し、優勝につなげました。マルケスにとっては、今年になってもっとも苦戦したフリー走行、予選となりましたが、チーム一丸での勝利達成となりました。

チームメートのホルヘ・ロレンソは、今季もっとも好調な走りをみせ、10番グリッドから好スタートを切ってトップグループに加わりました。しかし、2周目の10コーナーでブレーキングをミス、この転倒で3選手を巻き添えにし、転倒リタイアに終わった3選手に深く謝罪しました。上り調子で迎えたレースだっただけに残念な結果に終わりました。

前戦イタリアGPでベストリザルトの5位フィニッシュの中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、今大会は8位。今季6回目のトップ10フィニッシュを達成しました。チームメートのカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)は、セカンドグループで表彰台争いに加わりましたが、レース終盤、コースアウトを喫し、転倒リタイアに終わりました。

今大会は、24台が出場、完走13台という厳しいレースでした。このレースで優勝したマルケスは、総合2位で今大会リタイアに終わったドヴィツィオーゾとの差を12ポイントから37ポイントへ、コンストラクターズポイントでも2位のドゥカティとの差を6ポイントから15ポイントへと広げることに成功しました。大荒れのレースをしっかり戦い抜き、今季4勝目を挙げたRepsol Honda Teamのアルベルト・プーチ監督が、今大会を振り返ります。

―第7戦カタルニアGPはタイヤに厳しいコンディションとなりました。チームの戦略はどういうものでしたか?

「今大会の戦略は、序盤からいいペースをつかみプッシュすることでした。そして、タイヤのパフォーマンスが、ラップタイムにどう影響するかを見ることでした。マルクは正しいタイヤを選択しました。ホルヘのクラッシュとその転倒の影響がなくても、マルクは優勝したと思います。ホルヘのクラッシュは、とても残念でした。ホルヘの速い走りをみるのは、今年初めてだったかもしれません。しかしミスをしてしまいました。10コーナーはとてもタイトです。レース序盤、混戦になっているときは、コーナー進入がとても難しいところです。ホルヘにとっては残念な出来事でしたが、ロッシやドヴィツィオーゾ、そしてビニャーレスにとっても、非常に気の毒な出来事だったと感じています。彼らと、彼らのチームに申し訳なく思っています。レースではこうしたことが起きることがあります。私たちはみんな、過去にこうしたことを経験しています。だれも転倒したいと思って、転倒するわけではありません」

―今大会のポジティブポイントとネガティブポイントがあれば、それも教えてください。

「もちろん、ポジティブなことはマルクが優勝したことです。ネガティブなことはホルヘの転倒と、その転倒にほかのライダーたちが巻き込まれたことです。彼らには本当に申し訳ないと思っています。もう一つポジティブなことは、月曜日にテストする新しいパーツが届いたことです。私たちは常にマシンの開発を考えています」

―ピットウォールから見ていた感想はどういうものでしたか?

「今日はとても暑く、タイヤの選択が難しいレースでした。レース序盤にクラッシュがあり、そのあとはレースをリードするマルクを見守っていました。もちろんホルヘの様子や、レース後のほかのライダーの様子も気にしていました」

―インサイドストーリーがあれば、教えてください。

「転倒したホルヘは、レース中にピットでインタビューを受けたとき、すぐに謝罪しました。そしてレース後にヤマハとドゥカティのピットへ行き、個人的に謝罪をしました」


次戦オランダGP、そして第9戦ドイツGPは、今季初めての2連戦。シーズン前半の大きな山場となり、チャンピオンシップでも重要な戦いとなります。昨年は、マルケスがオランダ、ドイツと連勝を果たし、チャンピオンシップ獲得に向けて大きく前進しました。今年も、2連戦を制することは当然の目標ですが、持てる力をしっかり発揮し、ミスのない戦いをすることが目標となります。マルケスは今季5勝目、6勝目を目指し、調子の上がってきたロレンソは、今季ベストを目指すことになります。シーズン前半の最大の山場をチームは総力を挙げて乗りきる意気込みです。

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