Repsol Honda Team チーム・マネージャー アルベルト・プーチ 現場レポート
Vol.204 Round 05

マルケスがレースをコントロールし2連勝。Hondaは最高峰クラス300勝を達成

レースウイークを通じて不安定な天候となった第5戦フランスGPは、今季3回目のポールポジションを獲得したマルク・マルケスが、スペインGPからの2連勝を達成しました。序盤はマルケスをピタリとマークするジャック・ミラー(ドゥカティ)に何度か首位を譲りますが、7周目以降は、安定した速さで後続をジリジリと引き離します。レース中盤にはその差を2秒に広げ、後半2番手に浮上したアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)には一時4秒以上のリードを広げる圧勝でした。

今大会は金曜日がドライ。土曜日が終日のウエット。そして日曜日は、厚い雲が空を覆い、気温も路面温度も低いという難しいコンディションとなりました。マルケスは、金曜日のフリー走行、日曜日の決勝前ウォームアップで試したソフトコンパウンドのフロントタイヤで決勝レースを戦うことを決断(フロントは中上貴晶を除いてソフト。リアは全員ソフト)。通常、フロントにはハード側のコンパウンドを選択するマルケスですが、初めてソフトを選択するレースとなり、タイヤのパフォーマンスをキープするため、トップに立ってからは後続との差を確認しながらレースをコントロールしました。

この優勝でHondaは、1966年のジム・レッドマン以来、53年目にして最高峰クラス通算300勝(史上1位の記録を更新中)を達成。これまで数々の記録を樹立してきたマルケスですが、2015年のHonda700勝達成に続き、Hondaの歴史にその名を刻みました。

チームメートのホルヘ・ロレンソは、フリー走行で4番手、予選8番手と今季ベストグリッドから決勝に挑み、今季ベストリザルトの11位でフィニッシュしました。Repsol Honda Teamに移籍して5戦目のレース。レースをこなすごとに着実にRC213Vのパフォーマンスを引き出しており、今大会の走りは、次戦以降の活躍を、さらに期待させるものでした。

今年、25周年を迎えたRepsol Honda Team。今季初の2連勝は、記念すべきHonda300勝目となりました。4年連続タイトル獲得に向けて総合首位をキープするだけでなく、総合2位のドヴィツィオーゾとの差を8ポイントへと広げ、コンストラクターズポイントも2位のドゥカティに11点差としました。フランスGPをRepsol Honda Teamのアルベルト・プーチ監督が振り返ります。

―第5戦フランスGPは難しいコンディションとなりました。チームの戦略はどういうものでしたか?

「決勝のリザルトはもちろんのこと、レースウイークを通じて、どのコンディションでもバランスのよい結果を残せたと思います。マルクは今回もまたとてもいいレースをして25ポイントを獲得しました。彼は後続とのギャップを広げると、それからはしっかりレースをコントロールしました。また、ロレンソも前進しました。これはとても重要なことです。レースウイークのバランスもポジティブでした。決勝日は天候が不安定で、気温も路面温度も低く、戦略も複雑でした。マルクは、通常、レースでは選ばないソフトタイヤを使うことを決め、最初から慎重でした。しかし、マルクは落ち着いて走り、レース中盤にギャップを広げました。リードを3秒に広げてからは快適にラップを重ねました」

―今大会のポジティブポイントとネガティブポイントがあれば、それも教えてください。

「ポジティブなことはマルクが優勝したことと。そして、ホルヘが正しい方向へ前進したことです。ネガティブなことは特にありません」

―ピットウォールから見ていた感想はどういうものでしたか?

「天候が不安定だったので、こういうときは何が起きるか分かりません。不安定な気持ちになりがちですが、レース中は、どのような状況に対しても対応できるよう、チーム全体が集中して準備を整えていました。このようなコンディションでは、こうした準備が必要です」

―インサイドストーリーがあれば、教えてください。

「マルクと一緒に表彰台に上がり、特別な気分になりました。Hondaが達成してきたすべてのことや、私が関わった小さなことなどを思い出しました。レースの歴史の中で、Hondaの偉大さや重要性を示すことができたことは、とても重要なことです。Hondaがレースを始めたのは1959年で、最高峰クラスでは1966年に初めて優勝しました。それから今日までHondaに所属した多くのライダーたちが、さまざまな時代、さまざまなレギュレーションの中、さまざまなタイプのマシンで優勝してきました。これまでHondaが達成してきたことは本当にすばらしいことです」

今季初の連勝を果たしたRepsol Honda Team。スペインGPに続き、フランスGPも大会2連覇を達成したことで、4年連続タイトル獲得に向けて、一歩前進しました。スペインGPのヘレス、そしてフランスGPのル・マンは、これまでマルケスがどちらかといえば苦手としてきたサーキットレイアウトですが、両グランプリで大会2連覇を達成したことは、マルケスのライダースキルはもちろんのこと、RC213Vのパフォーマンスが確実に上がっていることを証明するものでした。

次戦イタリアGPは、ライバル勢も得意とするサーキットだけに気を緩めることはできません。マルケスとHondaにとっては2014年以来の優勝、ロレンソにとっては、昨年からの大会2連覇と今季ベストリザルトに挑みます。

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