日本GPからの3連戦最後の戦いとなった第18戦マレーシアGPは、マルク・マルケスが今季9勝目を達成し、その結果、Hondaは3年連続24回目のコンストラクターズを獲得しました。前戦オーストラリアGPは、Honda勢にとっては不運の大会となり厳しい結果となりましたが、その雪辱を果たす、すばらしいレースとなりました。
シーズンを通してもっとも厳しい戦いとなる3連戦が終了しましたが、最初の戦いとなった日本GPでマルケスが3年連続5回目のライダーズタイトルを獲得、3連戦最後のマレーシアGPでHondaはコンストラクターズタイトルを獲得しました。そして今大会、マルケスが優勝、チームメートのダニ・ペドロサが5位でフィニッシュしたことで、Repsol Honda Teamは、2年連続9回目のチームタイトルに王手を掛け、最終戦バレンシアGPに挑むことになりました。
前戦オーストラリアGPに続き、熱帯の国マレーシアも断続的にスコールが襲う不安定な天候となり、土曜日の予選は、激しい雨のために1時間30分の中断となりました。そのため決勝レースは、当初の予定を2時間早め、午後1時のスタートとなりました。幸いにも雨は降らず、青空が広がりましたが、今度は最高気温32℃の暑さとの厳しい戦いとなりました。
今季7回目のポールポジションを獲得したマルケスは、予選中の走路妨害のペナルティーで7番グリッドからのスタートとなりましたが、オープニングラップに4番手に浮上すると着実にポジションを上げて、トップを快走するバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)との一騎打ちとなりました。
しかし、マルケスは、32℃の暑さの中で、予選のラップに匹敵するスピードで追い上げたためにタイヤがオーバーヒート。そのため中盤はタイヤをクールダウンさせながらロッシとの差を1秒前後でキープする作戦に切り替えました。そして後半、タイヤのフィーリングが戻ってきたことで再びペースアップ。その差を周回毎に縮めていくことになるのですが、0.5秒前後に縮まった17周目の1コーナーでロッシが転倒、マルケスは20周のレースで真っ先にチェッカーを受けました。
その後方では、ペドロサがし烈な4位争いを繰り広げて5位でフィニッシュ。Repsol Honda TeamはマレーシアGPで36点を獲得。2位につけるMovistar Yamaha MotoGPとの差を39点とし最終戦バレンシアGPをタイトル王手で迎えることになりました。
喜びと波乱に満ちた3連戦。その最終戦マレーシアGPをアルベルト・プーチ監督が振り返ります。
「マルクの戦略はいいスタートを切ることでした。なぜなら彼は3列目からのスタートになり、誰がトップグループに入るか見たかったからです。そして、彼らがレース終盤に向けて、どのくらいのペースで走るのか予測がつかなかったので、彼はタイヤをセーブしなければなりませんでした。トップとの差をキープして、最後は優勝争いをするつもりでした。その通りになりました。マルクは終盤プッシュしましたが、バレンティーノがあれほど強い走りをするとは思っていませんでした。しかし、マルクの走りが彼のミスを誘いました」
「ポジティブなことは今シーズン9度目のマルクの優勝、そして、24度目の最高峰クラスでのコンストラクターズワールドチャンピオンシップの獲得です。さらにダニの5位という結果でした。ダニは最近のレースに比べて前進しました。その結果、バレンシアでは3冠達成のチャンスが生まれました」
「バレンティーノは、とてもディフェンシブな戦いをしていました。これには驚きました。(先行逃げきりというのは)彼には有利だったと思うし、最後まで戦っていました」
「スポンサーやHonda Asian Journeyとのイベントで今回も忙しい週でした。Hondaライダー全員がファンと会えるイベントでした。セパンは雰囲気がすばらしく、決勝日は10万人を超える熱狂的なファンが来場しました」
今年で28回目を迎えたマレーシアGPは、日曜日の観客が初めて10万人を越え、10万3984人の史上最多記録を更新しました。その大観衆の中でHonda勢は、すばらしい走りをファンに見てもらえることになりました。予選、決勝ともにチャンピオンの走りを見せたマルケス。今年を最後に引退するペドロサも表彰台には立てませんでしたが、ベストを尽くして5位でフィニッシュ。ファンを喜ばせました
最終戦バレンシアGPは、Repsol Honda Teamの両選手とスポンサーのRepsolにとってホームGPとなります。チャンピオンとして凱旋するマルケス、Repsol Honda Teamで13年間の現役生活に終止符を打つペドロサのラストレース。3冠達成に向けて、2人がどんなレースを見せてくれるのか。2018年シーズンを締めくくるレースに世界中が注目しています。