Vol.196 Round 16

マルケスがタイトルを獲得した日本GPの24周。ライバルにプレッシャーを掛けた走りで勝機をつかむ

マルク・マルケスのタイトル王手で迎えた第16戦日本GPは、青空が広がる絶好のコンディションの中で行われ、予選6番手から好スタートを切ったマルケスが今季8勝目を挙げてタイトルを獲得しました。

マルケスのタイトル獲得の条件は、総合2位のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)に先着、もしくは75ポイント差をつけることでした。予選は大接戦となり、昨年の優勝者でこのコースを得意とするドヴィツィオーゾがポールポジションを獲得。マルケスはフリー走行の転倒の影響で6番手でしたが、内容では、アラゴンGP、タイGPに続く3連勝を期待させるものでした。

レースは24ラップ。ホールショットから先行するドヴィツィオーゾ。オープニングラップで2番手に浮上したマルケスはドヴィツィオーゾをピタリとマークして緊迫した戦いが続きました。しかし、ラスト7周となった18周目にマルケスは、フリー走行、予選でシミュレーションしていた1分45秒台にペースを上げると、ドヴィツィオーゾにプレッシャーを掛け始めます。そして21周目にドヴィツィオーゾを抜いてトップに浮上するとさらにペースを加速させ、ラスト2周となった23周目のヘアピン(10コーナー)でドヴィツィオーゾが転倒、単独トップになったマルケスは、残り1周を着実に走り切って2018シーズンのタイトルを獲得しました。

これでマルケスは、3年連続5回目の最高峰クラス制覇(小排気量、中排気量を含めて通算7回目のクラス制覇)。日本GPでタイトルを決めるのは14年、16年に続き3回目となりました。

今年は3日間合計で9万6,425人の入場者を記録し、過去最多の観客数となりました。その中で、マルケスがチャンピオンを決め、2位にカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)と今季初のHonda1-2フィニッシュを達成、ツインリンクもてぎに集まったHondaファンを喜ばせました。

3戦を残し、マルケスがタイトルを獲得した2018年シーズン。Hondaのホームコースでチャンピオンを決めたレースをRepsol Honda Teamのアルベルト・プーチ監督が振り返ります。

―日本GPの戦略はどういうものでしたか?

「今日は最高の日になりました。マルクは賢いレースをしました。今日、タイトルを獲得することは簡単なことではありませんでしたが、それができると彼は分かっていました。ドヴィツィオーゾの後ろにつくという彼の戦略は正しかったと思います。ドヴィが一生懸命プッシュすることを彼は分かっていました。タイトルを獲得したマルク、チーム、そしてHondaにおめでとうと言いたいです。
マルクは型破りな選手であり、タイトル王手となった今大会も、彼は勝つための戦いをすると思っていました。マルクは大きく成長しました。そして学び続けています。彼はさらに前進すると思います。今、彼はとても高いレベルにきています。もしかしたら、ほかのライダーたちよりも一歩か二歩前に進んでいるかもしれません。彼は自分自身をうまくコントロールし、とても強いレースをしています」

―日本GPのポジティブポイントとネガティブポイントを教えてください。

「すべてがポジティブでした。レースに勝ち、タイトルも獲得しました。クラッチローも2位を獲得しました」

―ピットウォールから見ていた感想はどんなものですか?

「Hondaの社長を始め、みんなチャンピオンシップの獲得を喜んでいました。今日はいい日になりました。今日はタイトルを獲得できると思っていましたが、いつもと同じように集中してレースに取り組みました」

―今大会のインサイドストーリーを教えてください。

「もてぎはライダーにとってとても忙しいレースウイークでした。東京のHonda本社でたくさんのイベントがありました。その後、栃木のHondaの研究所を訪れ、もてぎのコレクションホール20周年をマルクのスペシャル参加でお祝いしました。マルクがもてぎでタイトルを獲得するのは、この5年間で3回目です。すべての日本のファンにとって、とても感動的なことでした」

―ここから先のレース戦略は?

「未来のことは分かりません。モチベーションを上げてフィリップアイランドへ向かうことだけは確かです。このサーキットはとても難しく、簡単ではありませんが、目標はコンストラクターズのタイトルを獲得することです」


第16戦日本GPを終えてHondaは、コンストラクターズポイントで331ポイントを獲得、2位のドゥカティに47ポイント差をつけ、3年連続24回目のタイトル獲得に王手を掛けました。

連戦となるオーストラリアGPで50ポイント差をつければタイトルが決まります。マルケスのライダーズタイトルに続き、Hondaは、コンストラクターズタイトル獲得に全力を尽くします。


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