Vol.191 Round 10

マルケスがMotoGP100戦目を表彰台で飾り、合同テストもトップで終える

後半戦のスタートとなった第10戦チェコGPは、3日間を通じて快晴となりました。最高気温は30℃前後まで上がり、路面温度も50℃前後まで上昇。ライダーはもちろんのこと、タイヤにも厳しいレースとなりました。

7月上旬にブルノでテストを行っているHonda勢は、気温も路面温度もテストのときに比べて高くなったため、フリー走行、予選とマシンとタイヤのマッチングに多くの時間を割きました。

前半の9戦を終えて5勝、総合首位のマルク・マルケスは、テスト時のセッティングをベースに、ソフト、ミディアム、ハードとタイヤテストに集中。ロングランでは十分に優勝を狙えるハイペースでラップを刻みました。しかし、このサーキットを得意とするアンドレア・ドヴィツィオーゾ、ホルヘ・ロレンソのドゥカティ勢も好調。バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)も優勝争いに加わってくるだろうとマルケスは予想しました。

決勝日は、フリー走行、予選に比べて気温はやや下がりましたが、それでも28℃。強い日差しが降り注ぎ、依然としてタイヤに厳しいレースとなりました。タイヤマネジメントが勝敗を分ける戦いになることは確実で、予想通り、お互い、ライバルたちの走りを牽制しながらレースは進行しました。

前半はマルケスとカル・クラッチローのHonda勢、ドヴィツィオーゾとロレンソのドゥカティ勢、そしてヤマハのロッシの5台がトップグループを形成、後半はその中からドゥカティ勢の2人とマルケスが抜け出し、最終ラップまでし烈な戦いを繰り広げました。手に汗を握る戦い。最後は、このレースの勝利ではなく、チャンピオンシップを優先したマルケスはしっかり3位でフィニッシュ。総合2位でチェコGP4位に終わったロッシとのポイント差を46点から49点へと広げました。

マルケスにとって今大会は、MotoGPデビュー、そしてRepsol Honda Teamで100戦目という節目の戦い。しっかり表彰台に立って、ファンから大きな拍手と歓声を受けていました。

予選5番手からトップグループに加わったクラッチローは最終ラップまでロッシとし烈な戦いを繰り広げて5位。予選10番手から追い上げたダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、アルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)、アンドレア・イアンノーネ、アレックス・リンスのスズキ勢とし烈な8位争いを繰り広げ、終盤、ペースを上げて8位でフィニッシュしました。

今季、気温と路面温度が高くなると、Honda勢はフロントタイヤの選択に苦労しますが、今大会はリアタイヤも厳しく、HondaRC213Vのパフォーマンスをフルに引き出すことはできませんでした。こうした厳しい戦いの中で3位表彰台に立ったマルケスは、3年連続5回目のタイトル獲得に、また一歩前進しました。

優勝は果たせませんでしたが、まずまずの内容で終えたチェコGPを、アルベルト・プーチ監督が振り返ります。

―チェコGPの戦略はどういうものでしたか?

「マルク、そしてダニの戦略はシンプルでした。いいスタートを切って前に出て、フロントをキープし、レース終盤に向けてタイヤをうまくマネジメントすることでした。マルクはミスをせずこの戦略をうまくこなしました。ダニはトップグループと同じペースがありました。もし序盤でいくつかポジションを上げていたら、上位のライダーたちについて行けたかもしれません」

―今大会のポジティブポイントとネガティブポイントを教えてください。

「マルクはチャンピオンシップのアドバンテージを3ポイント増やしました。“フラッグ・トゥ・フラッグ”になった昨シーズンは優勝しましたが、あまり得意ではないこのサーキットで今年は表彰台を獲得しました。ネガティブポイントは、いいレースペースがあったダニが、残念ながらフロントで戦うことができなかったことです」

―レース中、ピットウォールから見ていた感想をお聞かせください。

「全体を通して、レースペースはそれほど速くありませんでしたが、それだけに、とてもエキサイティングなレースでした。今大会も多くのライダーがトップグループを形成、接近戦となりました」

―今大会のインサイドストーリーを教えてください。

「今大会は、HRC Honda Teamのワイルドカードでステファン・ブラドルが加わり、7人のHondaライダーが参加しました。彼はサンマリノGPにもワイルドカードで参戦します」


後半戦のスタートとなったチェコGPが終了した翌日には、MotoGP公式テストが行われ、Honda勢は全選手が参加。後半戦に向けてのマシンのセットアップの確認、ミシュランの新しいタイヤテストなどのメニューをこなしました。

レースウイーク同様、青空が広がる絶好のコンディションの中で行われたテストでは、マルケスがトップタイム、ペドロサが3番手。連戦となるオーストリアGPに向けてポジティブな内容でした。

チェコGP、オーストリアGPと続く今季初の連戦。過去2年、優勝を果たせていないレッドブル・リンクで、Repsol Honda Teamはオーストリア制覇を目指します。

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