日本GP、オーストラリアGPからの連戦となる第17戦マレーシアGPのフリー走行は、日本GPでタイトルを獲得し、オーストラリアGPで歴代1位となる65度目のポールポジション(PP)を獲得したマルク・マルケス(Repsol Honda Team)がトップタイムで初日を終えました。
マルク・マルケス
マルク・マルケス
午前中は青空が広がる絶好のコンディション。気温も32℃まで上昇し、熱帯の国マレーシアならではのコンディションとなりました。しかし、このセッションでトップタイムをマークしたマルケスは、マレーシア入りした日から体調が優れず、この走行で脱水症状となったことから午後のセッションをキャンセル。予選、決勝に備えて休養をとることしました。
前戦オーストラリアGPで今季2勝目を挙げたカル・クラッチロー(LCR Honda)は、午前中のセッションでタイヤを交換しないでテストメニューに取り組んで13番手。午後のセッションでタイムとポジションを上げる予定でしたが、ウエットからドライへと変化していく難しいコンディションとなり、タイムを更新することができませんでした。2日目の3回目フリー走行でQ2進出を目指します。
カル・クラッチロー
前戦オーストラリアGPで予選5番手、決勝10位と調子を上げているジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は16番手でした。ハーフウエットという微妙なコンディションとなった午後のセッションでは、終盤にスリックタイヤを入れて、このセッションのトップタイムをマーク、気持ちよく初日を締めくくりました。2日目のフリー走行、予選での走りに注目です。
チームメートのティト・ラバトは19番手。ここ数戦はRC213Vを攻略するためのライディングに取り組んできました。そして初日のフリー走行では、その手応えをつかむことに成功しました。2日目のフリー走行、予選では、さらなる攻略に務めます。
日本GPのフリー走行で右鎖骨を骨折し欠場しているダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)の代役として出場の青山博一は、ドライコンディションとなった1回目の走行では20番手でしたが、微妙なコンディションとなった午後のセッションでは10番手とまずまずの走りをみせました。日本GPでの代役出場は土曜日からの走行となり、リズムをつかむのに苦労しましたが、今大会はリラックスした表情で初日を終えました。
青山博一
青山博一
不安定な天候となった初日のフリー走行で、最も影響を受けたのがMoto2クラスでした。1回目の走行は、セッション開始から数分後に雨が降り始めてウエットコンディションへ。午後は、小雨がぱらつく中でウエットからドライへ。完全なドライにはなりませんでしたが、スリックタイヤで走行することができました。
トップタイムをマークしたのは、後半戦に入り調子を上げているフランコ・モルビデリ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)で初の首位発進となりました。モルビデリはウエット、ハーフウエット、ドライと、どのコンディションでも安定したスピードを発揮。予選では初のPP獲得が期待されます。
フランコ・モルビデリ
2番手には中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)で、微妙なコンディションとなった午後のセッションでは、着実にタイムを上げて、セッション終盤に2番手へと浮上しました。前戦オーストラリアGPで痛めた右肩はまだ完全ではなく、テーピングをして挑んでいますが、痛みはなく、今大会はほぼ完調な状態で予選、決勝に挑むことができそうです。
中上貴晶
以下、3番手にアレックス・マルケス(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)、4番手にジョナス・フォルガー(Dynavolt Intact GP)、5番手にタイトルに王手をかけているヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)と続き、総合2番手で、ザルコのタイトル王手にストップをかけたいトーマス・ルティ(Garage Plus Interwetten)が7番手、総合3位のアレックス・リンス(paginas Amarillas HP 40)は17番手でした。
Moto3クラスは午前中がドライ、午後がウエットというコンディションになりました。そのため、総合順位は1回目のセッションで決まり、ホームグランプリに気合満点のカイルール・イダム・パウィ(Honda Team Asia)が2番手と好調なスタートを切りました。
パウィは、ウエットコンディションとなった午後のセッションでも3番手につけ、ドライ、ウエットともに上位につける快走をみせ、今季3勝目に期待させてくれました。
カイルール・イダム・パウィ
カイルール・イダム・パウィ
リビオ・ロイ(RW Racing GP BV)が5番手、前戦オーストラリアGPで初表彰台獲得の3位になったアーロン・カネット(Estrella Galicia 0,0)が6番手、総合3位のホルヘ・ナバロ(Estrella Galicia 0,0)が9番手でした。
アーロン・カネット
尾野弘樹(Honda Team Asia)は12番手、ジュール・ダニーロ(Ongetta-Rivacold)が17番手、ニッコロ・アントネッリ(Ongetta-Rivacold)が20番手。負傷欠場となった総合2位のエネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Moto3)の代役として出場した佐々木歩夢は23番手で初日を終えました。
フランコ・モルビデリ(Moto2 1番手)
「とてもいいかたちでレースウイークをスタートすることができてとてもうれしいです。悪いスタートよりいいスタートを切れる方がいいに決まっています。今日のプラクティスは雨のために完ぺきなセッションにはなりませんでした。世界中で雨が僕たちを追っているような気持ちになります。でも、微妙なコンディションの中でいくつか試すことができました。初日にファステストタイムを出すことができると、勢いもつくし、ポジティブなレースウイークになります。週末はいい天気になりフィリップアイランドのときのように優勝争いができることを願っています」
中上貴晶(Moto2 2番手)
「トリッキーなコンディションとなりましたが、FP2の終盤はかなりいい状態になりました。でも、コースのあちこちにウエットパッチがあって、攻めづらい状況には変わりありませんでした。セッション序盤は様子をみながら着実に走りました。新しいアスファルトは、こういうコンディションになると、路面の状況が分かりにくく、とても走りづらいです。しかし、全体的にはいいスタートが切れたと思います。新しくなった最終コーナーは、逆バンクになっているのでフロントが抜けやすく、リアのグリップも今までと違う走りが要求されます。明日はドライでしっかり走りたいです」
アレックス・マルケス(Moto2 3番手)
「オーストラリアの予選では大きな転倒を喫しましたが、こうしてタイムシートでトップ3に入るところまで戻ってくることができてとてもうれしいです。3連戦をポジティブに終えるためにも、モチベーションはかなり上がっています。FP2は路面に水たまりがたくさんあって、スリックタイヤで走るのはとてもリスキーでしたが、3番手タイムを出すことができました。今日の結果にはとても満足しています。どこを改善すればいいのか、なにをするべきなのか分かりました。もしドライになったらラップタイムはかなりよくなると思います」
カイルール・イダム・パウィ(Moto3 2番手)
「フィーリングはいいです。ホームレースなのでとにかくベストを尽くします。FP1もFP2も悪くありませんでした。新しいアスファルトなので、どう変わったのかを確認しながら走行しています。最終コーナーは少し難しくなりました。ホームレースなので今週末はもっといい走りができることを願っています」
リビオ・ロイ(Moto3 5番手)
「ドライコンディションではまずまずの走りができました。しかし、ウエットコンディションになった午後の走行は15番手と残念な結果でした。しかし、全体的にはよかったし、ペースも悪くはありませんでした。午後のセッションは最後の周回でミスをしなければ、おそらくトップ10には入れたと思います。明日はミスをしないようにしっかりタイムを出したいです」
尾野弘樹(Moto3 12番手)
「ドライコンディションはまずまずでしたが、ウエットでは全くフィーリングがつかめませんでした。路面が乾いてくるとすごくいい感じになるのですが、水しぶきが上がるくらいのウエットコンディションではマシンをうまく寝かせられませんでした。ドイツGPではウエットで攻められる走りができていたので、そういう状態にしたいです。今回は雨が多い天候になりそうなので、ウエットでしっかり走れるようにセットアップしたいです」
佐々木歩夢(Moto3 22番手)
「FIMCEVレプソルインターナショナル選手権で乗っているNSF250RWと基本的に同じマシンなのですが、GP仕様のRWは、車体もエンジンもフィーリングが違って、それに慣れる必要がありました。セパンはアジアタレントカップで走っていて、すごく好きなサーキットですが、新しいアスファルトになり、最終コーナーもマシンのつきかたが変わり、初めて走るサーキットのようでした。今日は、ウエット、ドライともに22番手でしたが、2日目はシングルを目指し、最低でも3列目までに並べるようにがんばります」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 93 | マルク・マルケス | ![]() | 2'01.210 |
2 | 25 | M.ビニャーレス | スズキ | +0.268 |
3 | 45 | S.レディング | ドゥカティ | +0.297 |
4 | 29 | A.イアンノーネ | ドゥカティ | +0.311 |
5 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.401 |
6 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | +0.457 |
7 | 41 | A.エスパルガロ | スズキ | +0.564 |
8 | 68 | Y.ヘルナンデス | ドゥカティ | +0.605 |
9 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +0.801 |
10 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.803 |
11 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | +0.826 |
12 | 6 | S.ブラドル | アプリリア | +0.954 |
13 | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | +1.124 |
14 | 38 | B.スミス | ヤマハ | +1.274 |
15 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | +1.351 |
16 | 43 | ジャック・ミラー | ![]() | +1.390 |
17 | 44 | P.エスパルガロ | ヤマハ | +1.522 |
18 | 50 | E.ラバティ | ドゥカティ | +1.803 |
19 | 53 | ティト・ラバト | ![]() | +1.898 |
20 | 7 | 青山博一 | ![]() |
+2.691 |
21 | 76 | L.バズ | ドゥカティ | +3.413 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 21 | フランコ・モルビデリ | KALEX | 2'08.816 |
2 | 30 | 中上貴晶 | KALEX | +0.089 |
3 | 73 | アレックス・マルケス | KALEX | +0.100 |
4 | 94 | ジョナス・フォルガー | KALEX | +0.212 |
5 | 5 | ヨハン・ザルコ | KALEX | +0.217 |
6 | 11 | サンドロ・コルテセ | KALEX | +0.620 |
7 | 12 | トーマス・ルティ | KALEX | +0.665 |
8 | 55 | ハフィズ・シャーリン | KALEX | +0.767 |
9 | 22 | サム・ロース | KALEX | +0.986 |
10 | 97 | チャビ・ビエルゲ | TECH 3 | +1.123 |
11 | 49 | アクセル・ポンス | KALEX | +1.131 |
12 | 87 | レミー・ガードナー | KALEX | +1.137 |
13 | 19 | ザビエル・シメオン | SPEED UP | +1.140 |
14 | 23 | マルセル・シュローター | KALEX | +1.169 |
15 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | KALEX | +1.627 |
16 | 54 | マティア・パシーニ | KALEX | +1.807 |
17 | 40 | アレックス・リンス | KALEX | +2.112 |
18 | 32 | アイザック・ビニャーレス | TECH 3 | +2.127 |
19 | 7 | ロレンソ・バルダッサーリ | KALEX | +2.207 |
20 | 24 | シモーネ・コルシ | SPEED UP | +2.281 |
21 | 10 | ルカ・マリーニ | KALEX | +2.353 |
22 | 52 | ダニー・ケント | KALEX | +2.574 |
23 | 2 | イェスコ・ラフィン | KALEX | +3.257 |
24 | 27 | イケル・レクオナ | KALEX | +3.297 |
25 | 57 | エドガー・ポンス | KALEX | +4.012 |
26 | 20 | アレッサンドロ・ノッコ | KALEX | +4.702 |
27 | 70 | ロビン・マルホウザー | KALEX | +4.919 |
28 | 93 | ラムダン・ロスリ | KALEX | +6.919 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 41 | B.ビンダー | KTM | 2'15.520 |
2 | 89 | カイルール・イダム・パウィ | ![]() | +0.851 |
3 | 21 | F.バグナイア | マヒンドラ | +1.014 |
4 | 42 | M.ラミレス | マヒンドラ | +1.314 |
5 | 11 | リビオ・ロイ | ![]() | +1.378 |
6 | 44 | アーロン・カネット | ![]() | +1.380 |
7 | 88 | J.マルティン | マヒンドラ | +1.382 |
8 | 36 | J.ミル | KTM | +1.621 |
9 | 9 | ホルヘ・ナバロ | ![]() | +1.651 |
10 | 20 | F.クアルタラロ | KTM | +1.665 |
11 | 84 | ヤコブ・コーンフェール | ![]() | +1.904 |
12 | 76 | 尾野弘樹 | ![]() | +1.928 |
13 | 55 | A.ロカテリ | KTM | +2.316 |
14 | 16 | A.ミニョ | KTM | +2.422 |
15 | 64 | B.ベンドスナイダー | KTM | +2.506 |
16 | 65 | P.エッテル | KTM | +2.592 |
17 | 95 | ジュール・ダニーロ | ![]() | +2.759 |
18 | 12 | A.アレナス | プジョー | +2.771 |
19 | 40 | D.ビンダー | マヒンドラ | +2.855 |
20 | 23 | ニッコロ・アントネッリ | ![]() | +2.927 |
21 | 19 | G.ロドリゴ | KTM | +2.971 |
22 | 71 | 佐々木歩夢 | ![]() | +3.439 |
23 | 48 | L.ダラ・ポルタ | KTM | +3.461 |
24 | 7 | アダム・ノロディン | ![]() | +3.476 |
25 | 8 | N.ブレガ | KTM | +3.482 |
26 | 24 | 鈴木竜生 | マヒンドラ | +3.701 |
27 | 58 | J.ゲバラ | KTM | +4.024 |
28 | 38 | H.アズミ | プジョー | +4.208 |
29 | 4 | ファビオ・ディ・ジャンアントニオ | ![]() | +4.640 |
30 | 77 | L.ペトラルカ | マヒンドラ | +5.352 |
31 | 6 | M.エレーラ | KTM | +5.567 |
32 | 43 | S.バルトリーニ | マヒンドラ | +6.743 |
3 | F.スピラネッリ | マヒンドラ | +9.704 |
マルク・マルケス(MotoGP 1番手)
「ここ2日間、胃腸炎になっていて、今朝は体調があまりよくありませんでした。体調は100%ではありませんでしたが、コースに出て走ることができました。しかし、セッション終了後は、気分が悪くなりました。胃腸炎で脱水症状になったためでした。そのため、午後のセッションは、路面コンディションがよくなかったので走らないことにしました。明日は前進できるようにがんばります。土曜日と、特に日曜日に向けて体力をセーブしたいので、今日は走らなくて正解たっだと思います」
カル・クラッチロー(MotoGP 13番手)
「トップ3に入るペースがあったと思うのですが、今日はトップ10にも入ることができませんでした。午前中はタイヤを変えずに走りました。これはHondaと話し合って、あるテストをしていたからです。午後はウエットになりました。プッシュできるかどうかを見るためにスリックタイヤでコースに出ましたが、十分に乾いていませんでした。明日の午前中もウエットになりそうなのでQ2へそのまま進むのは難しいかも知れません。明日どうなるか様子を見たいです。引き続き、マシンを改善できるようにチームと話し合い、予選に挑みたいです」
ジャック・ミラー(MotoGP 16番手)
「セッションでは、路面がベストコンディションのときにスリックタイヤを使うことができました。ラッキーでした。どんなコンディションでもコースに出て仕事をしなければいけません。タイムシートのトップに自分の名前を見るのはうれしいことです。また路面が新しいため、濡れているのか乾いているのかが分かりづらく、注意深く走らなければなりませんでした。新しい路面は前ほど早くは乾かない感じがします。しかし、バンプがなくなったので、とてもスムーズです。午前中のドライコンディションもかなり快適でしたが、最後のアタックの最終コーナーで転倒してしまいました。最終コーナーはこれまでとかなり違って逆バンクになっているので転倒してしまったのだと思います。午前中のポテンシャルは16番手よりもっとよかったと思うので残念です」
ティト・ラバト(MotoGP 19番手)
「FP1では安定した走りができました。とてもいい仕事ができたと思います。新しい路面のパフォーマンスを確認しました。午後はウエットとなり、あまりいい感触ではありませんでしたが、最後にスリックタイヤで自己ベストタイムを出すことができました。また、新しい路面がどのように乾いていくかを把握することができました。ここ2レースは、自分のライディングにかなり取り組んできました。そして今日は正しい方向へ進んでいる感じがしたのでドライとなることを願っています。今日は本当に大きな違いを感じることができました。もし天気がよくなればもっと前進できると思います」
青山博一(MotoGP 20番手)
「思っていたようなコンディションにはならず、残念でした。午前中は2台のマシンを使って違うセットアップを試しました。午後は雨になったのですが、新しいアスファルトは、濡れているかどうかの見極めができず、攻めきれませんでした。しかし、インターミディエイトを初めて試せたし、ソフトとミディアムの両方のタイヤも試すことができました。路面が変更された最終コーナーは、これまでより、しっかり減速していかないとラインをキープできないようです。行きすぎると大回りになるので難しいです。今まで以上に勝負所になると思うし、しっかりつめていきたいです。決勝ではトップ10を目標にしているので、その目標に向けてセットアップをつめていきたいです」