第8戦オランダGPのフリー走行は、午前は雲が多かったものの、午後は青空が広がる絶好のコンディションとなりました。ヨーロッパラウンドに入って、まだ優勝のないマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、前戦カタルニアGP後の公式テストで、ニューシャシーのテストを行いました。今大会は、それをモデファイした車体でセッションに挑み、順調にラップを刻みました。午前はセットアップに時間を費やして11番手でしたが、午後のセッションでは一気にタイムを短縮。終始トップタイムをキープしていましたが、最終的に3番手で一日を終えました。
マルク・マルケス
マルク・マルケス
トップタイムをマークしたのはアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)。以下、1秒差以内に14台がひしめく大混戦となり、マルケスはその中で、1分33秒台のハイペースでラップを刻んで3番手。十分に優勝を狙える内容だけに、今季3勝目に向けて好調なスタートを切ったと言えます。
ダニ・ペドロサ
ダニ・ペドロサ
チームメートのダニ・ペドロサは、午前のセッションでは13番手、午後のセッションでは大接戦の中で11番手へとポジションを上げました。今季最もタイムが接近した初日のセッション。セットアップに集中したペドロサは、2日目のフリー走行ではQ2進出のためにトップ10入りを目指し、予選ではタイムの短縮とポジションアップを狙います。
カル・クラッチロー
前戦カタルニアGPで6位。今季ベストリザルトとなったカル・クラッチロー(LCR Honda)は、1回目のセッションで12番手、2回目のセッションでは転倒を喫して、最終的に13番手。2日目のフリー走行では、ペドロサと同様にQ2進出に挑みます。
前戦カタルニアGPにおいて、ベストリザルトの10位でフィニッシュしたジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は16番手、チームメートのティト・ラバトは21番手。ともに、2日目でのタイムの短縮とポジションアップが期待されます。
Moto2クラスは、午前のセッションで7番手だったトーマス・ルティ(Garage Plus Interwetten)が、午後のセッションで大きくタイムを更新し、トップに浮上しました。開幕から7戦を終えて総合4位につけるルティは、今シーズン、安定したリザルトを残してきました。チャンピオン争いを視野に入れるベテランの走りに注目です。
トーマス・ルティ
中上貴晶
前戦カタルニアGPで3位になり、今季初の表彰台を獲得した中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)が、2番手と好調なスタートを切りました。午前のセッションではトップタイムをマーク。午後もトップタイムを狙いましたが、セッション終盤に転倒を喫し、2番手へとポジションを落としました。しかし、ここ数戦で調子を上げている中上だけに、2日目の予選では今季2度目のフロントローと、今季初のポールポジション(PP)が期待されます。
サム・ロース
3番手にはサム・ロース(Federal Oil Gresini Moto2)、4番手にアレックス・マルケス(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)、5番手にフランコ・モルビデリ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)、6番手にヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)が僅差で続きました。今大会は、トップから1秒差以内に15台という接戦。2日目のフリー走行と予選に注目が集まります。
Moto3クラスは、小雨がぱらつく微妙なコンディションで午前のセッションが始まりましたが、午後のセッションは青空が広がる絶好のコンディションとなりました。トップタイムをマークしたのはルーキーのアーロン・カネット(Estrella Galicia 0,0)で、キャリア初のことです。カネットは、第5戦フランスGP以来のフロントローと初のPPを目指します。
アーロン・カネット
ニッコロ・アントネッリ
2番手にはニッコロ・アントネッリ(Ongetta-Rivacold)、4番手にはリビオ・ロイ(RW Racing GP BV)、7番手にエネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Moto3)、9番手にジュール・ダニーロ(Ongetta-Rivacold)が僅差で続きました。カイルール・イダム・パウィ(Honda Team Asia)は、初めて経験するサーキットで21番手。2日目はタイムの短縮に挑みます。
リビオ・ロイ
エネア・バスティアニーニ
今大会は、総合2位につけるホルヘ・ナバロ(Estrella Galicia 0,0)がケガのため欠場しています。その代役として出場のロレンツォ・ダラ・ポルタは22番手でした。また、尾野弘樹(Honda Team Asia)もケガのため、今大会を欠場しました。
トーマス・ルティ(Moto2 1番手)
「1回目のセッションは思うようには走れませんでしたが、2回目のセッションではトップタイムをマークできました。とてもいい一日でした。アッセンは天候が不安定なので、明日がどうなるかは分かりません。しかし、どんなコンディションになっても、決勝に向けて準備を進めたいです。初日をトップタイムで終えられて、とてもいい気持ちです」
中上貴晶(Moto2 2番手)
「今季もいいスタートを切れました。第6戦イタリアGPからマシンの状態はとてもよく、今回もアジャストする程度でいい走りができています。前戦カタルニアGPよりもいい状態で、タイムも安定しています。今年になって最もいい状態だと思います。今日はハードとミディアムの2種類のタイヤをテストしました。レースはおそらく、ミディアムで走ることになると思います。明日の予選では、フロントローを狙っていきます。チャンスがあればポールポジションも獲得したいです。最後に転倒したのは残念でしたが、原因は分かっているので影響はありません。明日がとても楽しみです」
サム・ロース(Moto2 3番手)
「午後のセッションは、ユーズドタイヤで大きなステップを刻めたので、明日に向けてとてもポジティブな一日でした。まだベストのセッティングではないし、改善しなければいけない部分があるにもかかわらず、フィーリングはよかったし、リラックスして走れました。明日もこの調子でセットアップを進めていきたいです。フロントのフィーリングの改善、そしてリアのグリップの向上に集中します。今日はとても楽しんで走れました。明日に向けて、とても自信があります」
アーロン・カネット(Moto3 1番手)
「今日はベストリザルトを獲得できました。しかし、明日も引き続き、この調子でがんばらなければいけません。午前のセッションは路面コンディションがよくなかったので、コースを覚えることに集中しました。それでも思ったよりも気持ちよく走ることができ、大きな自信になりました。午後のセッションではコンディションがよくなり、グリップもよかったので順調にラップを刻めました。明日も引き続き、タイムを短縮できるようにがんばります」
ニッコロ・アントネッリ(Moto3 2番手)
「今日は天気がよくなり、ドライコンディションで走れてよかったです。明日の予選、そして決勝も、ドライコンディションで走りたいです。今日はフロントにニューパーツを入れたのですが、それがよかったです。今年は予選の走りを決勝につなげられていないので、今回は予選でも決勝でもいい結果を残したいです」
リビオ・ロイ(Moto3 4番手)
「セッション序盤は、あまりにも大きなグループに入ってしまい、自分のリズムで走れなくなったので、グループから離れることにしました。そして、残り2分になってからアタックしようと思っていました。アーロン・カネット選手も同じことを考えていたようで、彼と一緒にいいタイムを出せました。途中、遅いライダーに引っかかってタイムを少しだけロスしましたが、今日の結果に満足しています。今大会はいいスタートを切れました」
エネア・バスティアニーニ(Moto3 7番手)
「今日はフロントのフィーリングに問題を抱え、思うように走れませんでした。特に高速区間で苦労しました。いつも得意とするパートだけに、とても残念です。それでも、タイムは接近しており、それほど悪くありません。明日はこの問題を解決するために全力を尽くします」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 29 | A.イアンノーネ | ドゥカティ | 1'33.591 |
2 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.004 |
3 | 93 | マルク・マルケス | ![]() | +0.133 |
4 | 25 | M.ビニャーレス | スズキ | +0.301 |
5 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.400 |
6 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | +0.420 |
7 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | +0.474 |
8 | 41 | A.エスパルガロ | スズキ | +0.496 |
9 | 44 | P.エスパルガロ | ヤマハ | +0.572 |
10 | 45 | S.レディング | ドゥカティ | +0.581 |
11 | 26 | ダニ・ペドロサ | ![]() | +0.615 |
12 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | +0.813 |
13 | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | +0.889 |
14 | 38 | B.スミス | ヤマハ | +0.940 |
15 | 50 | E.ラバティ | ドゥカティ | +1.198 |
16 | 43 | ジャック・ミラー | ![]() | +1.417 |
17 | 6 | S.ブラドル | アプリリア | +1.465 |
18 | 68 | Y.ヘルナンデス | ドゥカティ | +1.534 |
19 | 51 | M.ピロ | ドゥカティ | +1.629 |
20 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +1.693 |
21 | 53 | ティト・ラバト | ![]() | +2.991 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 12 | トーマス・ルティ | KALEX | 1'37.962 |
2 | 30 | 中上貴晶 | KALEX | +0.267 |
3 | 22 | サム・ロース | KALEX | +0.358 |
4 | 73 | アレックス・マルケス | KALEX | +0.409 |
5 | 21 | フランコ・モルビデリ | KALEX | +0.444 |
6 | 5 | ヨハン・ザルコ | KALEX | +0.445 |
7 | 7 | ロレンソ・バルダッサーリ | KALEX | +0.477 |
8 | 11 | サンドロ・コルテセ | KALEX | +0.521 |
9 | 40 | アレックス・リンス | KALEX | +0.574 |
10 | 94 | ジョナス・フォルガー | KALEX | +0.716 |
11 | 24 | シモーネ・コルシ | SPEED UP | +0.798 |
12 | 44 | ミゲル・オリベイラ | KALEX | +0.831 |
13 | 77 | ドミニク・エガーター | KALEX | +0.858 |
14 | 52 | ダニー・ケント | KALEX | +0.913 |
15 | 55 | ハフィズ・シャーリン | KALEX | +0.998 |
16 | 23 | マルセル・シュローター | KALEX | +1.021 |
17 | 60 | フリアン・シモン | SPEED UP | +1.273 |
18 | 2 | イェスコ・ラフィン | KALEX | +1.402 |
19 | 10 | ルカ・マリーニ | KALEX | +1.406 |
20 | 54 | マティア・パシーニ | KALEX | +1.492 |
21 | 49 | アクセル・ポンス | KALEX | +1.492 |
22 | 87 | レミー・ガードナー | KALEX | +1.602 |
23 | 19 | ザビエル・シメオン | SPEED UP | +1.702 |
24 | 97 | チャビ・ビエルゲ | TECH 3 | +1.988 |
25 | 57 | エドガー・ポンス | KALEX | +2.260 |
26 | 70 | ロビン・マルホウザー | KALEX | +2.980 |
27 | 32 | アイザック・ビニャーレス | TECH 3 | +3.689 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 44 | アーロン・カネット | ![]() | 1'43.031 |
2 | 23 | ニッコロ・アントネッリ | ![]() | +0.113 |
3 | 8 | N.ブレガ | KTM | +0.171 |
4 | 11 | リビオ・ロイ | ![]() | +0.177 |
5 | 19 | G.ロドリゴ | KTM | +0.198 |
6 | 5 | R.フェナティ | KTM | +0.234 |
7 | 33 | エネア・バスティアニーニ | ![]() | +0.262 |
8 | 36 | J.ミル | KTM | +0.343 |
9 | 95 | ジュール・ダニーロ | ![]() | +0.385 |
10 | 21 | F.バグナイア | マヒンドラ | +0.433 |
11 | 64 | B.ベンドスナイダー | KTM | +0.437 |
12 | 58 | J.ゲバラ | KTM | +0.530 |
13 | 4 | ファビオ・ディ・ジャンアントニオ | ![]() | +0.548 |
14 | 41 | B.ビンダー | KTM | +0.581 |
15 | 17 | J.マクフィー | プジョー | +0.587 |
16 | 16 | A.ミニョ | KTM | +0.695 |
17 | 84 | ヤコブ・コーンフェール | ![]() | +0.896 |
18 | 20 | F.クアルタラロ | KTM | +1.146 |
19 | 40 | D.ビンダー | マヒンドラ | +1.152 |
20 | 65 | P.エッテル | KTM | +1.345 |
21 | 89 | カイルール・イダム・パウィ | ![]() | +1.404 |
22 | 48 | ロレンツォ・ダラ・ポルタ | ![]() | +1.477 |
23 | 7 | アダム・ノロディン | ![]() | +1.514 |
24 | 6 | M.エレーラ | KTM | +1.686 |
25 | 10 | A.マスボー | プジョー | +1.822 |
26 | 88 | J.マルティン | マヒンドラ | +1.876 |
27 | 24 | 鈴木竜生 | マヒンドラ | +1.934 |
28 | 55 | A.ロカテリ | KTM | +2.189 |
29 | 43 | S.バルトリーニ | マヒンドラ | +2.401 |
30 | 77 | L.ペトラルカ | マヒンドラ | +3.085 |
31 | 22 | D.ウェッブ | マヒンドラ | +3.094 |
32 | 3 | F.スピラネッリ | マヒンドラ | +3.463 |
マルク・マルケス(MotoGP 3番手)
「午前のセッションは、やらなければいけないことがたくさんあり、気持ちよく乗ることができませんでした。しかし、全力でセットアップに集中し、午後のセッションに向けて解決策を見いだせました。その結果、午後のセッションではいいペースで走れました。午後の走行では、セッションを通じてトップグループにいました。そして、明日に向けて有意義なテストができました。アッセンは、コースに出るたびに路面コンディションが変わります。そのため、タイムがいつも接近しますが、明日も前進できるようにがんばります」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 11番手)
「午前、午後のセッションともに、とても厳しい状態でした。タイヤのテストを行いながら、セットアップを変更しましたが、いい状態にはできませんでした。ここは天候が変わりやすいので、いろんなことにトライするのは、あまりにもリスクが大きいです。今日はタイムが接近していて、とても難しい一日になりました。明日のフリー走行では、Q2に進出していいグリッドを得るために、トップ10を目指します」
カル・クラッチロー(MotoGP 13番手)
「今日は、いくつかのコーナーでチャタリングがひどかったですが、マシンのフィーリングは全体的によかったと思います。しかし、最後に転倒してトップ10を逃しました。再スタートを切って、転んだマシンでベストタイムをマークしました。最後のアタックでは、クリアラップが取れなかったことも影響しました。明日のフリー走行ではトップ10を目標にQ2を目指します。雨が降らないことを願っています」
ジャック・ミラー(MotoGP 16番手)
「午前のセッションではいくつか問題を抱えていました。しかし、午後のセッションではそれを解決して前進できました。1回目のセッションが終わったときは、天候がどうなるのかと心配しましたが、午後もドライコンディションで走れました。新しいタイヤを装着したときは、ブレーキに問題を抱えていて、思うようにタイムを出せませんでした。最後のアタックでは、高速セクションで大きく振られ、危うく転ぶところでした。それで最後のアタックを台無しにしてしまいましたが、全体的には今日のスピードに満足しています」
ティト・ラバト(MotoGP 21番手)
「思うようにセットアップを進められませんでした。攻められるようにするには、まだまだやらなければいけないことがたくさんあります。アッセンはアベレージの高いサーキットなので、少しでも不安があると、思うように攻められません。今晩、チームとともにデータを分析し、明日に向けて準備したいです」