2012年11月9日(金)・1日目フリー走行 会場:バレンシア・サーキット 天候:雨のち曇り 気温:16℃
コースコンディション:ウエットのちドライ
今シーズン最終戦となる第18戦バレンシアGPのフリー走行は、断続的に雨が降る不安定な天候の中で行われ、MotoGPクラスのセッションは、午前、午後ともにウエットコンディションの中で行われました。午前はセッション中にだんだんと雨が強くなり、午後はライン上が乾いていく微妙なコンディションとなりました。Honda勢は、午前は全選手が走行しましたが、午後のセッションは中途半端なコンディションとなったため、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)、ケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)、ステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)が走行を見送りました。
最終戦でシーズン7勝目を狙うペドロサは、舗装が新しくなった路面コンディションを確認するため、午前中に17ラップをこなしてセッション2番手となりました。バレンシアGPでの5年連続ポールポジション獲得と、3年連続優勝を狙うストーナーも、路面の状態を確認するために14ラップを消化してセッション10番手、最終戦でMotoGPクラス初表彰台を狙うブラドルも19周してセッション11番手で初日の走行を終えました。
ホームGPで今季3度目の表彰台を狙うアルバロ・バウティスタ(Team San Carlo Honda Gresini)は、午前中の走行で5番手。午後のセッションは5ラップをこなし、初日の走行を終了しました。チームメートでCRTマシンを駆るミケーレ・ピロは、午前中に17ラップ、午後は9ラップを走行し、総合タイムで2番手につけました。
こうして、不安定な天候となったバレンシアGPの1日目フリー走行は、路面のコンディションを確認するための一日となりました。本格的な走行は2日目からとなります。
Moto2クラスは、午前がウエット、午後がドライになり、前戦オーストラリアGPでタイトルを獲得したマルク・マルケス(Team Catalunya Caixa Repsol)がトップタイムをマークしました。しかし、セッション中に、コーナーでシモーネ・コルシ(Came lodaRacing Project)と接触し、コルシが転倒したことでペナルティーを科され、決勝レースは最後尾グリッドから挑むことになりました。
2番手にポル・エスパルガロ(Tuenti Movil HP 40)、3番手にスコット・レディング(Marc VDS Racing Team)が僅差で続き、マルケスから1秒差以内に10台という接戦となりました。
日本人勢は、中上貴晶(Italtrans Racing Team)が15番手、高橋裕紀(NGM Mobile Forward Racing)が18番手、小山知良(Technomag-CIP)は25番手でした。
Moto3クラスは、午前はウエット、午後の走行はウエットからドライに変化する微妙な路面コンディションとなり、ジョン・マクフィー(Caretta Technology)がトップタイム、続く2番手にジャック・ミラー(Caretta Technology)、アレックス・マルケス(Ambrogio Next Racing)が3番手と、Honda勢が上位を独占しました。総合2位を狙うマーベリック・ビニャーレス(Blusens Avintia)が僅差の6番手に入り、藤井謙汰(Technomag-CIP-TSR)は33番手でした。
ダニ・ペドロサ(MotoGP 午後は走行せず)「今日は難しいコンディションとなり、それほど多くは周回しませんでした。しかし、新しいアスファルトだったので、状態を確認するために午前中は走行しました。走った感じでは、まだ少しバンプがあり、特に1コーナーはあまりよくありませんでした。新しい路面のグリップレベルを判断するには、今日のようなコンディションでは分からないので、ドライコンディションになるまで待たなければなりません。今大会は、決勝日の天候が読めず、雨が降る可能性もあるので、ウエットコンディションで走行しておくことは、とても重要でした。明日は、少なくとも一度はドライコンディションで走れることを願っています。そして、サーキットの変化をしっかり理解して、ベストなセッティングにしたいと思います」
ケーシー・ストーナー(MotoGP 午後は走行せず)「ウエットコンディションの感触を得るために、午前中はコースに出ましたが、リスクが高い状態だったので、慎重に走りました。雨が強く降り始めてからは、特に気をつけました。午後のセッションは中途半端なコンディションとなり、コースに出る意味が全くありませんでした。セッションを通じて、ハーフウエット、ハーフドライだったので、走行しませんでした。今日は残念な一日になりました。明日は天気がよくなることを願っています。できれば、ドライコンディションで走って、新しい路面のフィーリングを確認したいと思います」
ステファン・ブラドル(MotoGP 午後は走行せず)「あまり有意義な一日ではありませんでした。ウエットコンディションとなった午前中は、新しい舗装のために非常に滑りやすく、自信を持って走れるようになるまで時間がかかりました。しかし、数周走ると、いつものようなフィーリングになり、いいスピードとリズムを見つけることができました。午後のセッションは、路面コンディションが悪く、セッション中ずっとピットで待機しました。明日は、ウエットでもドライでも、しっかりセットアップを進めたいと思います」
マルク・マルケス(Moto2 1番手)「今日は、比較的うまくいきました。午前中のウエットコンディションでは、感触がよかったですし、ドライコンディションだった午後のセッションも順調でした。ウエットでもドライでも、いいペースで走ることができました。まだ細かい部分を調整しなければなりませんが、路面のコンディションがすごくよかったので、気持ちよく走ることができました。コルシ選手との事故については、すでにほかのライダーたちを何度もオーバーテイクしていたコーナーで、同じように抜こうとしました。しかし、彼のブレーキが思っていたより深く、彼をインサイドからパスしたあとに接触しました。故意ではありませんでしたが、彼が転倒したのが見えたので、非常に心配でした。セッションが終わってから彼に謝りにいきました。ケガをしていなくてよかったですし、謝罪しました。その後、レースディレクションの裁定で最後尾グリッドが確定しましたが、それを受け入れたいと思います」
ポル・エスパルガロ(Moto2 2番手)「この時期のバレンシアはいつも少し天候が難しく、完ぺきなコンディションではありませんでした。しかし、明日に向けてタイヤテストもこなすことができました。新しいアスファルトは少しアグレッシブな感じで、最良のタイヤを選択するためには、もう少しテストをしなければなりません。バレンシアは、スペイン人ライダーにとって、いつもエキサイティングな場所です。今大会はチャンピオンシップの最終戦であり、ホームGPでもあるので、ベストを尽くさなければなりません。明日の天気は分かりませんが、全力で挑みます」
スコット・レディング(Moto2 3番手)「午前中は、ウエットコンディションで難しいセッションでした。しかし、前回ウエットで走ったときよりも、マシンの感触はよく、ポジティブな一日でした。ウエットでは、まだやらなければいけないことがたくさんあります。できることなら、ドライコンディションで土曜日、日曜日を走りたいと思います。午後のセッションは、1コーナーが濡れているので慎重に走りましたが、それ以外は、自信を持ってプッシュすることができました。トップとタイムが接近しているので、明日が楽しみです」
中上貴晶(Moto2 15番手)「ウエットコンディションだった午前中は、全く接地感がなくて走れませんでした。今まで使ったことのない、リアサスペンションのリンクを試したのが失敗でした。ドライになった午後は、これまでのリンクに戻して、普通に走れるようになりました。しかし、今日の路面コンディションではソフトタイヤの方がいいと思ったのですが、スライドが激しくて思うようにタイムを上げられませんでした。ハードタイヤを試す時間がなかったので、明日、ドライコンディションになったらトライしてみます。今日は難しいコンディションでした。明日、ドライコンディションでしっかり走りたいと思います」
高橋裕紀(Moto2 18番手)「前回のオーストラリアGPでベースのセッティングが決まり、今日は、午前中のウエット、午後のドライコンディションともに、走りに集中することができました。マシンのセッティングは、ほとんど変える必要がありませんでした。しかし、シフトペダルに問題があり、それが原因でピットに何度か戻り、調整しました。ここは左周りのサーキットなので、左足のステップワークがいつもと違ったためか、シフトペダルの問題が顕著になりました。今までも少しペダルの位置が遠かったのですが、今日はハッキリと問題になりました。明日はペダルの調整をして挑みます」
小山知良(Moto2 25番手)「ウエットコンディションはよかったのですが、路面が乾いていくにつれて、思うようにタイムを上げられず、ポジションを落としました。ドライコンディションでは、タイヤのバランスが狂ってしまい、振動が激しくなって、思うようにタイムを上げられませんでした。その後、新品のタイヤで走って1分37秒台に入れられると思ったのですが、転倒寸前のハイサイドで、結局、1分37秒台に入れることができませんでした。今日走った感じでは、ウエットの方がいい感じで、もし決勝もウエットならいいレースができるかもしれません。とりあえず、明日がドライであれば、しっかりセッティングを決めたいと思います」
ジョン・マクフィー(Moto3 1番手)「午前中はセットアップに苦しみ、転倒もしましたが、セッティングが決まっていなかったからだと思います。しかし、徐々にいいセットアップにすることができました。午後のセッションはライン上が乾いていたので、どんどんタイムを上げていくことができました。経験を積んで、マシンをよくして、さらに前進していきたいです」
アレックス・マルケス(Moto3 3番手)「午前中は路面が完全にウエットで、そのおかげで新しいアスファルトをチェックすることができました。新しく舗装された路面は、かなりよくなったと思います。セッティングは、徐々によくなりましたが、完全に満足することはできませんでした。午後も引き続きセッティングを続けました。セッション終盤は路面が乾き始めたので、スリックタイヤを装着することにしました。それがうまくいって、3番手になることができました」
マーベリック・ビニャーレス(Moto3 6番手)「ウエットコンディションでいい走りができました。今年は、ウエットであまりいい走りができていなかったので、とてもうれしい一日になりました。今日は難しいコンディションでしたが、ドライ、ウエットともにまずまずだったと思います。マシンのパフォーマンスを100%発揮できたこともうれしいです。モチベーションはとても高く、今までのことは忘れて、今大会は優勝を目指してがんばります」
藤井謙汰(Moto3 33番手)「バレンシアは海外のサーキットでは初めて走ったコースなので、思い出深いところです。午前中は、フロントの接地感が全くなく、思うようにタイムを上げられませんでした。午後は路面が乾いていく中で、レインタイヤのまま走りました。そのため、タイムを上げることができませんでした。明日、もしドライになったら、思いきり走りたいと思っています」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 14 | R.デ・ピュニエ | ART | 1:36.965 |
2 | 51 | M.ピロ | FTR | +0.119 |
3 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +0.424 |
4 | 17 | K.アブラハム | ドゥカティ | +0.817 |
5 | 46 | V.ロッシ | ドゥカティ | +1.150 |
6 | 9 | D.ペトルッチ | IODA-SUTER | +1.335 |
7 | 22 | I.シルバ | BQR | +1.339 |
8 | 84 | R.ロルフォ | ART | +1.940 |
9 | 77 | J.エリソン | ART | +2.872 |
10 | 73 | 青山博一 | BQR | +3.532 |
11 | 71 | C.コルティ | INMOTEC | +6.028 |
- | 35 | C.クラッチロー | ヤマハ | +7.419 |
- | 19 | アルバロ・バウティスタ | Honda | +7.599 |
- | 21 | 中須賀克行 | ヤマハ | +8.215 |
- | 41 | A.エスパルガロ | ART | +8.461 |
- | 26 | ダニ・ペドロサ | Honda | +8.525 |
- | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | +8.713 |
- | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +8.980 |
- | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ヤマハ | +9.056 |
- | 1 | ケーシー・ストーナー | Honda | +10.562 |
- | 6 | ステファン・ブラドル | Honda | +10.860 |
- | 5 | C.エドワーズ | SUTER | +12.783 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 93 | マルク・マルケス | SUTER | 1:36.090 |
2 | 40 | ポル・エスパルガロ | KALEX | +0.037 |
3 | 45 | スコット・レディング | KALEX | +0.258 |
4 | 29 | アンドレア・イアンノーネ | SPEED UP | +0.384 |
5 | 5 | ヨハン・ザルコ | MOTOBI | +0.611 |
6 | 12 | トーマス・ルティ | SUTER | +0.788 |
7 | 18 | ニコラス・テロール | SUTER | +0.789 |
8 | 60 | フリアン・シモン | SUTER | +0.798 |
9 | 77 | ドミニク・エージャーター | SUTER | +0.817 |
10 | 36 | ミカ・カリオ | KALEX | +0.842 |
11 | 4 | ランディ・クルメンナッハ | KALEX | +1.076 |
12 | 81 | ジョルディ・トレース | SUTER | +1.092 |
13 | 80 | エステベ・ラバト | KALEX | +1.205 |
14 | 19 | ザビエル・シメオン | TECH 3 | +1.229 |
15 | 30 | 中上貴晶 | KALEX | +1.406 |
16 | 24 | トニ・エリアス | KALEX | +1.439 |
17 | 88 | リカルド・カルダス | AJR | +1.481 |
18 | 72 | 高橋裕紀 | FTR | +1.489 |
19 | 8 | ジノ・レイ | SUTER | +1.699 |
20 | 63 | マイク・ディ・ミリオ | KALEX | +1.777 |
21 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | SUTER | +1.781 |
22 | 38 | ブラッドリー・スミス | TECH 3 | +1.888 |
23 | 23 | マルセル・シュローター | BIMOTA | +1.956 |
24 | 49 | アクセル・ポンス | KALEX | +2.138 |
25 | 75 | 小山知良 | SUTER | +2.142 |
26 | 3 | シモーネ・コルシ | FTR | +2.237 |
27 | 28 | ローマン・ラモス | FTR | +2.309 |
28 | 17 | ダニ・リバス | KALEX | +3.142 |
29 | 54 | マティア・パシーニ | FTR | +3.188 |
30 | 22 | アレッサンドロ・アンドレオッティ | SPEED UP | +3.691 |
31 | 97 | ラフィド・トパン・スキプト | SPEED UP | +3.789 |
32 | 82 | エレナ・ロセール | SPEED UP | +3.895 |
33 | 57 | エリック・グラナド | MOTOBI | +4.618 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 17 | ジョン・マクフィー | KRP Honda | 1:50.503 |
2 | 8 | ジャック・ミラー | Honda | +0.027 |
3 | 12 | アレックス・マルケス | SUTER Honda | +0.684 |
4 | 41 | B.バインダー | KALEX KTM | +0.690 |
5 | 94 | J.フォルガー | KALEX KTM | +0.835 |
6 | 25 | マーベリック・ビニャーレス | FTR Honda | +0.880 |
7 | 63 | Z.カイルディン | KTM | +1.207 |
8 | 11 | S.コルテセ | KTM | +1.285 |
9 | 96 | ルイス・ロッシ | FTR Honda | +1.352 |
10 | 52 | D.ケント | KTM | +1.647 |
11 | 26 | エイドリアン・マーティン | FTR Honda | +1.746 |
12 | 39 | L.サロン | KALEX KTM | +1.842 |
13 | 99 | D.ウェッブ | MAHINDRA | +1.998 |
14 | 44 | ミゲル・オリベイラ | SUTER Honda | +2.010 |
15 | 61 | A.シシス | KTM | +2.171 |
16 | 84 | ヤコブ・コーンフェール | FTR Honda | +2.420 |
17 | 89 | アラン・ティーチャー | TSR Honda | +2.433 |
18 | 7 | エフレン・バスケス | FTR Honda | +2.440 |
19 | 55 | ヘクトル・ファウベル | FTR Honda | +2.493 |
20 | 30 | ジュリアン・ペドネ | SUTER Honda | +2.559 |
21 | 19 | アレッサンドロ・トヌッチ | FTR Honda | +2.560 |
22 | 58 | ファン・フランシスコ・ゲバラ | FTR Honda | +2.630 |
23 | 5 | ロマノ・フェナティ | FTR Honda | +2.702 |
24 | 31 | N.アジョ | KTM | +2.966 |
25 | 42 | アレックス・リンス | SUTER Honda | +2.973 |
26 | 65 | P.エッテル | KALEX KTM | +3.541 |
27 | 28 | ジョセップ・ロドリゲス | FGR Honda | +3.853 |
28 | 27 | ニッコロ・アントネッリ | FTR Honda | +3.915 |
29 | 29 | L.アマート | KALEX KTM | +4.007 |
30 | 9 | トニ・フィンスターブッシュ | Honda | +4.156 |
31 | 3 | L.モルチャーノ | IODA | +4.959 |
32 | 95 | M.ポポフ | MAHINDRA | +5.106 |
33 | 51 | 藤井謙汰 | TSR Honda | +5.375 |
34 | 32 | アイザック・ビニャーレス | FTR Honda | +5.484 |
35 | 80 | A.ポントーン | IODA | +5.750 |