第14戦アラゴンGPが、9月28日から30日までの3日間、バルセロナの南西200kmに位置するモーターランド・アラゴンで開催されます。アラゴンGPは今年で3度目の開催。スペインでは、ヘレス(スペインGP)、カタルニア(カタルニアGP)に続いて、今季3度目のグランプリ開催となります。アラゴンGPは、一昨年、開催が中止になったハンガリーGPの代替開催としてスタートしましたが、昨年からはレギュラー開催のグランプリとなりました。
モーターランド・アラゴンは、一周5.078kmで、マレーシアのセパン・サーキット、トルコのイスタンブール・パーク・サーキットを手がけたデザイナーが設計しました。自然の地形を利用したアップダウンとバリエーションに富んだコーナーが連続し、2本の長いストレートを組み合わせたレイアウトは、セパン、イスタンブール同様に、選手たちから高い評価を得ています。
しかし、サーキット周辺の宿泊施設が不足しているため、開催当初は集客に不安を残しました。それでも、バルセロナ、マドリード、バレンシアの大都市から日帰りでも駆けつけられる立地条件のため、過去2年は、7万人前後のファンが集まりました。スペイン人選手が3クラスで活躍しているため、今年も大勢のファンで賑わうことは間違いありません。
13戦を終えてMotoGPクラスで総合2位、バルセロナ出身のダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)にとっては、カタルニアGP同様、気合の入った大会となります。今大会もバルセロナから大勢のファンが駆けつけることは必至で、アラゴン初制覇と今季4勝目を狙う戦いになります。前戦サンマリノGPは、今季4度目のポールポジション(PP)から自身初の3連勝を狙いましたが、スタート直後に、ほかのマシンの接触を受けて転倒、今季初のリタイアとなりました。
今年は開幕戦から安定した走りを見せて、第12戦チェコGPまで3勝を含む11回の表彰台に立ってきました。念願の最高峰クラスのタイトル獲得に向けて、着実に前進してきたペドロサですが、前戦サンマリノGPでは不運のリタイアによるノーポイントで、総合首位のホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)と38ポイント差となりました。しかし、ここからの5戦は得意とするサーキットが続くだけに、全戦優勝を目標に逆転チャンピオンに挑みます。
アラゴンGPでは、過去2年、連続の2位。昨年の大会は、現在、ケガのために欠場しているチームメートのケーシー・ストーナーと1-2フィニッシュを達成。Repsol Honda Team100勝目に花を添えることになりました。今年は9月上旬に2日間のテストを行っています。このテストで大きな成果を残しているペドロサ。その成果を発揮すれば、今季4勝目に大きく前進することは間違いありません。
前戦サンマリノGPでMotoGPクラス初の表彰台を獲得したアルバロ・バウティスタ(Team San Carlo Honda Gresini)も今大会はホームGPとなります。前戦サンマリノGPでは、初表彰台を獲得して大きな自信を得ることに成功しました。さらに、マシンのセットアップも大きく前進、2戦連続表彰台の期待が寄せられています。また、前戦サンマリノGPで、フロントタイヤの空気圧が下がり、惜しくも表彰台争いから脱落したステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)も、今大会は、その雪辱に闘志を燃やしています。9月上旬の合同テストでは、アラゴンの苦手意識をぬぐい去ることに成功、すでにセッティングも決まっているだけに、今度こそ表彰台の期待が膨らんでいます。
ストーナーの代役としてこれが2戦目の出場となるジョナサン・レイ(Repsol Honda Team)も9月上旬のアラゴンテストに参加しています。先週のスーパーマシン世界選手権第13戦ポルトガル大会では2位になり、今季5度目の表彰台に立ちました。今大会も、スーパーマシンからMotoGPマシンの乗り換えに苦労することになりますが、アラゴンは経験値の高いサーキットだけに、MotoGPでの2戦目の走りに大きな注目が集まっています。
CRTマシンで出場のミケーレ・ピロ(Team San Carlo Honda Gresini)は、得意とするサーキットに気合満点。今季3度目のトップ10フィニッシュを狙います。
Moto2クラスは、前戦サンマリノGPで今季7勝目を達成し、2位以下に大きなリードを築いているマルク・マルケス(Team CatalunyaCaixa Repsol)が、今季8勝目を狙います。昨年の大会では、激しい優勝争いの集団から、レース終盤に抜け出しての独走優勝。今年も地元ファンの期待にこたえる意気込みです。125cc時代に5連勝を記録したことのあるマルケスですが、Moto2クラスでは、昨年、3連勝が2度。今大会に勝てば、Moto2クラスでは初の4連勝達成となります。
そのマルケスに勝負を挑むのが、一昨年の大会で優勝、昨年2位のアンドレア・イアンノーネ(Speed Master)。そして、総合2位で一昨年の大会で125ccクラスで優勝しているポル・エスパルガロ(Pons 40 HP Tuenti)が、Moto2クラスでは初のアラゴンGP制覇に闘志を燃やしています。アラゴンはスリップの使い合いとなるため、今年も大混戦が予想されます。
日本人選手は、第15戦日本GPが目前に迫っているだけに、気合満点で挑みます。表彰台、初優勝にあと一歩の中上貴晶(Italtrans Racing Team)は、初の表彰台獲得に闘志を燃やしています。高橋裕紀(NGM Mobile Forward Racing)も前戦サンマリノGPから調子を上げているだけに、今季初ポイントを獲得して日本GPに挑む意気込みです。今大会が2戦目になる小山知良(Technomag-CIP)も、ポイント獲得に気合を入れています。
Moto3クラスも大接戦は必至。総合2位のマーベリック・ビニャーレス(Blusens Avintia)は、ホームGPで今季6勝目を狙います。総合首位のサンドロ・コルテセ(KTM)とのポイント差は46点。逆転チャンピオンに向けて、残り5戦、全力で挑むことになります。総合4位のロマノ・フェナティ(Team Italia FMI)は、ホームGPとなった前戦サンマリノGPの表彰台獲得に続き、2戦連続表彰台と今季2勝目を狙います。シーズン中盤戦になって安定して上位を走れるようになったアレックス・リンス(Estrella Galicia 0,0)も、ホームGPで、今季2度目のPPと今季2度目の表彰台獲得に闘志を燃やしています。ルーキーの藤井謙汰(Technomag-CIP-TSR)も、日本GPに向けて今季ベストリザルトを狙います。
ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング2位)「アラゴンでは過去2年連続で2位と、まずまずいいレースができています。サーキットもすばらしく、とても楽しみです。アラゴンでは、今月の初めに2日間のテストを行い、すばらしい収穫を得ることができました。個人的には、スペインのファンの前でレースをすることを楽しみにしています。昨年同様に、たくさんの観客が来てくれたらうれしいですね。マシンは今とてもよく機能していますし、フィーリングもいいです。いつもと同じ気持ちでレースに挑み、うまく走れるようにモチベーションを上げて、またいいレースをしたいと思っています」
アルバロ・バウティスタ(MotoGP ランキング7位)「ミサノではドライコンディションで走れる時間が短かったですが、チームはすばらしい仕事をしてくれました。序盤は自分のリズムをつかむのに少し苦労しましたが、3位まで追い上げることができました。バレンティーノ・ロッシ(ドゥカティ)にアタックして2位に挑戦したかったのですが、フロントのフィーリングが100%ではなかったので、転倒のリスクを避け、確実に表彰台に上がりました。リザルトだけでなく、マシンの仕上がりに自信を持つことができたこともうれしいです。MotoGPでは初めての表彰台でしたので、今回は自信を持ってレースに挑むことができます。アラゴンは難しいサーキットですが、ベストを尽くします」
ステファン・ブラドル(MotoGP ランキング8位)「アラゴンでは、今月上旬に2日間のテストを行い、いいセットアップを見つけることができました。そのため、今大会はかなり自信があります。テストのアドバンテージを最大限利用できることを願っています。正直、アラゴンはあまり得意なサーキットではないので、今月上旬のテストは、参加してよかったと思います。ミサノでは、表彰台争いができましたし、集団の中で自分の走りを確認することができました。残り5戦となり、ここからはなるべく多くのポイントを獲得してトップ5で終えたいですね。そうなれば、僕やチームにとってすばらしい結果になると思います」
ミケーレ・ピロ(MotoGP ランキング16位)「ミサノでは今季2度目のトップ10フィニッシュを果たしましたし、とても自信を得ることができました。最高に楽しい週末でした。トップのCRTのライダーたちとのギャップを縮めることができましたし、今後は、彼らの前に出られる自信もつきました。アラゴンはとても好きなサーキットです。2年前、Moto2でGresini Racing Moto2からデビューしたのも、このサーキットなので、楽しみにしています」
ジョナサン・レイ(MotoGP ランキング23位)「SBKとMotoGPで5週連続になります。アラゴンでは、数週間前にRC213Vをテストしていますので、ミサノのときよりも今回のレースの方が自信があります。マシンに対する信頼感も生まれ始めていますので、今回は、テストの続きができることを願っています。アラゴンはとても長いストレートがあってHondaのパワーに合っています。Repsol Honda Teamのみんなと働けることが本当に楽しみです。いいレースができることを願っています」
マルク・マルケス(Moto2 ランキング1位)「モーターランド・アラゴンは、昨年いいレースができました。とても快適に走ることができましたし、今年もそうなることを願っています。地元のファンの前で、いいレースができるようにがんばりたいです。このサーキットは、前半がとてもテクニカルで、コース終盤はとてもトリッキーです。コーナリングがうまくなければ、速く走れないサーキットだと思います。このサーキットは僕の地元に近いので、友人や家族やサポーターがたくさん来てくれると思います。最高の結果を出せるように全力を尽くしたいです」
ポル・エスパルガロ(Moto2 ランキング2位)「チャンピオンシップは厳しいですが、重要なことは、総合2位をキープすることだと思っています。ミサノではさらに20ポイント獲得することができました。そして、(アンドレア)イアンノーネと(トーマス)ルティに少し差をつけることができました。今週はホームレースになります。このサーキットは好きなので、ベストを尽くして25ポイントを獲得したいです」
アンドレア・イアンノーネ(Moto2 ランキング3位)「前回のサンマリノGPは表彰台に立てましたし、今週のアラゴンGPは、優勝できるようにがんばります。このサーキットでは、一昨年に優勝、昨年は2位になっているので、楽しみにしています。アラゴンは、コーナーのバリエーションが多く、そして長いストレートとのコンビネーションがいいですね。ここはプラクティスでいいセッティングを見つけることがとても重要になります。それがうまくいけば、レースでアタックできると思います」
中上貴晶(Moto2 ランキング15位)「アラゴンは初めて走るサーキットなので、すごく楽しみにしています。前回のサンマリノGPは、予選まではいい感じでしたが、それを決勝につなげることができませんでした。レースが赤旗中断にならなくても、最初のヒートはトップグループについていくのがやっとだったと思います。赤旗中断してからの第2ヒートは、スタートに失敗して、まるでいいところがありませんでした。その悔しさを今回はぶつけたいです。初めてのサーキットなので、天気がいいことを願っています」
高橋裕紀(Moto2 ノーポイント)「前戦サンマリノGPは、転倒してしまいましたが、今年になって初めてポイント圏内を走ることができました。予選も今季ベストの11番手でしたし、マシンさえちゃんとすれば、普通に走れることを見せられたと思います。今大会は、前回よりも、予選も決勝もいい走りができると思います」
小山知良(Moto2 ノーポイント)「前戦サンマリノGPからの出場で、今回が2戦目になりますが、月曜日にバルセロナに近いアルカラスで一日テストをすることができました。このテストでスッターのマシンに慣れることができましたし、セッティングの方向性も見つけることができました。アラゴンはスペイン選手権で走っていますので、コースは知っています。サンマリノよりは確実に上を走れる自信がありますし、まずはポイントを獲得したいですね」
マーベリック・ビニャーレス(Moto3 ランキング2位)「チャンピオンシップは苦しい戦いになっています。ここから先は、自分が勝つことはもちろんのこと、ポイントリーダーのミスも願わなければならないかもしれません。アラゴンGPからは駆け引きなしで、とにかく勝ちだけを狙います。そして(サンドロ)コルテセを徹底的に追いつめられたらと思います。モーターランドはとても長いストレートがあるので、いいエンジンが必要になります。厳しい戦いになると思いますが、アラゴンは、とても好きなサーキットです。今週は表彰台の一番高いところへ戻りたいですね。ホームGPはモチベーションがとても上がりますし、ファンがすばらしい結果に向けて、きっと後押ししてくれるだろうと思っています」
ロマノ・フェナティ(Moto3 ランキング4位)「ホームサーキットのミサノで表彰台に上がることができて、とてもうれしかったです。金曜日の転倒のあとに処置してくれたメディカルスタッフに感謝しています。あれから10日が過ぎて体調は万全です。アラゴンはスペイン選手権でレースをしたことがあるので、うまく走れるだろうと思っています」
アレックス・リンス(Moto3 ランキング5位)「今大会は、とてもたくさんの人が僕の応援に来てくれるので、とても楽しみにしています。家族が住んでいる町もサーキットから近いので、家族のためにもいいレースをしたいと思っています。モーターランド・アラゴンは低速コーナーが少なく、レベルの高い走りが求められます。初めて走ったときはとても難しいサーキットでしたが、今は大好きになりました。前戦サンマリノで4位になっているのでモチベーションは上がっています」
藤井謙汰(Moto3 ノーポイント)「今大会を前にバルセロナに近いアルカラスで一日テストを行い、100周近く走ることができました。アラゴンは初めて走るサーキットですが、下見をした感じでは、かなりおもしろいサーキットだなという印象です。攻略するのは難しそうですが、日本GPに向けて、いい結果を残したいです」