round 08

July 6/7/8 2012 MotoGP eni Motorrad Grand Prix Deutschland 第8戦 ドイツGP

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ドイツGPプレビュー

オランダGPからの連戦となる第8戦ドイツGPが、7月6日(金)から8日(日)までの3日間、ドレスデン近郊のザクセンリンクで開催されます。ザクセンリンクは、前戦オランダGPの舞台であるアッセン同様、長い伝統と歴史を誇ります。初めてレースが開催されたのは1927年。61年から72年にかけては「東ドイツGP」として開催されました。その後、東西緊張の中で「東ドイツGP」は長い間中止となりますが、90年に東西ドイツが統合され、それから8年後の98年、全面改修を受けたザクセンリンクで「ドイツGP」が開催されることになりました。

ドイツGPプレビュー

グランプリが復活した当初は、一周3.508km。最高峰クラスの500ccクラスがレースを行うには、タイトなコーナーが連続し、直線部分も短く、エンジンパワーをほとんど発揮できないため、選手たちから不満の声が上がりました。そのため、2001年にコース後半部分のストレート部分を延長するなど、全長で196m長くなる3.704kmになりました。さらに、03年には、コース幅を広げるなど改修し、そのため全長で33m短くなり、現在の3.671kmになりました。

グランプリが復活した98年の大会で優勝したミック・ドゥーハン選手の優勝タイムのアベレージは141.800km/h。全長が伸びた01年以降は、150km/h台へと平均時速は上がります。そして、昨年優勝したダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、160.352km/hを記録。低速サーキットといわれたザクセンリンクですが、現在はポルトガルGPの開催されるエストリル、フランスGPの開催されるル・マンとほぼ同じアベレージを記録しています。しかし、アップダウンとコーナーが連続するため、身体を休めるポイントがありません。ライダーにとっては過酷なサーキットの一つ。MotoGPクラスの決勝レースは30ラップ。周回数も多く、高い集中力を要求されます。

ザクセンリンクでグランプリが復活して、これまで14回行われましたが、Honda勢は8回の優勝を達成しています。過去2年はペドロサが優勝しており、今年は自身3年連続、Honda勢は9回目の優勝を狙います。

前戦オランダGPで今季3勝目を達成し、総合2位は変わらずも、総合首位のホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)と同ポイントで並んだケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)は、今大会で逆転首位を狙います。ザクセンリンクでは、ドゥカティ時代の08年に優勝、10年に3位。そして、Repsol Honda Teamに移籍した昨年も3位。今年はオランダGPからの2連勝を狙います。前戦オランダGPでは、難しいコンディションにセットアップを合わせて、4戦ぶりに優勝。フランス、カタルニア、イギリスと不安定な天候にほんろうされて、勝てるレースを逃してきただけに、そのうっぷんを晴らしました。この勢いで、今年はドイツGP2勝目と今季4勝目を狙います。

チームメートのペドロサは、ザクセンリンクは最も得意とするサーキット。250cc時代に2勝、最高峰クラスでは07年に優勝し、10年には2度目の優勝。そして昨年はドイツGP2連覇を達成。これまで通算5回の優勝を経験しています。前戦オランダGPでは、終盤にチームメートのストーナーに逆転されて2位でしたが、今大会はその雪辱に燃えています。7戦を終えて6回の表彰台で総合3位。勝てそうで勝てないレースが続いているだけに、ザクセンリンク3連覇と今季初優勝に闘志を燃やしています。

前戦オランダGPでスタート直後の1コーナーで転倒し、他車を巻き込んでしまったアルバロ・バウティスタ(Team San Carlo Honda Gresini)は、その接触事故でペナルティを科せられ、今大会は最後尾グリッドから決勝に挑むことになります。2戦前のイギリスGPで初PPを獲得し、決勝では4位と自己ベストリザルトを更新。オランダGPでは念願の初表彰台に闘志を燃やしていました。その意気込みがミスを招くことになりましたが、今大会から心機一転、表彰台を目指す戦いに挑みます。

ホームGPを迎えるルーキーのステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)も、前戦オランダGPの雪辱に闘志を燃やしています。オランダGPではベストグリッドの4番手を獲得。決勝では好スタートからトップグループにつけますが、2周目に痛恨の転倒を喫し、悔しいレースに終わっていました。今大会は、予選では初のフロントロー、決勝では初表彰台を目標に全力を尽くします。125cc時代の08年に2位、昨年のMoto2クラスで2位。これまでザクセンリンクでは2度の表彰台に立ってきました。今年は最高峰クラスで、地元ファンの大声援の期待に応える意気込みです。

CRTマシンのミケーレ・ピロ(Team San Carlo Honda Gresini)は、昨年のMoto2クラスでは予選4番手と相性のいいサーキット。この数戦、CRTマシンのトップとの差を着実に縮めているだけに、今大会は予選、決勝でCRT勢のトップを狙います。

Moto2クラスは、シーズンを通じて最も接近戦になることが予想されます。昨年の予選では、PPを獲得したマルク・マルケス(Team CatalunyaCaixa Repsol)から1秒差以内に24台がひしめきあう接近戦となりました。決勝では、マルケスと、今季MotoGPクラスに参戦しているブラドル、アレックス・デ・アンジェリス(NGM Mobile Forward Racing)の優勝争いとなり、マルケスが僅差で優勝しています。今年も、マルケスが優勝候補の筆頭。前戦オランダGPからの2連勝と今季4勝目に期待が集まります。

前戦オランダGPで2位になり総合ポイントでも2位に浮上したアンドレア・イアンノーネ(Speed Master)、オランダGPで3位になり総合5位のスコット・レディング(Marc VDS Racing Team)は連続表彰台に挑みます。オランダGPで転倒リタイアに終わり、総合2位から3位にポジションを落としたポル・エスパルガロ(Pons 40 HP Tuenti)、同じく転倒リタイアで総合3位から4位へポジションを落としたトーマス・ルティ(Interwetten-Paddock)が、巻き返しに闘志を燃やしています。

総合15位の中上貴晶(Italtrans Racing Team)は、第2戦スペインGPの5位を上回るリザルトに気合を見せています。前戦オランダGPで20位の高橋裕紀(NGM Mobile Forward Racing)は、250cc時代に優勝経験のあるザクセンリンクでポイント獲得を果たす意気込みです。

Moto3クラスは、カタルニア、イギリス、オランダと3連勝を達成し、今季4勝目を挙げた総合首位のマーベリック・ビニャーレス(Blusens Avintia)がドイツGP初制覇に挑みます。昨年の大会は3位。今大会は優勝候補の筆頭で、自身の連勝記録更新に挑みます。前戦オランダGP予選は、PPから1秒差以内に17台という大接戦となり、決勝も大混戦となりました。今大会は、さらに接戦になる要素が高いだけに、予選、決勝ともに厳しい戦いになりそうです。ルーキーの藤井謙汰(Technomag-CIP-TSR)は、ポイント獲得を目標に挑みます。

コメント

ケーシー・ストーナー(MotoGP ランキング2位) 「アッセンは厳しい3日間でしたが、決勝に向けて努力したことが報われました。今週のザクセンリンクも、いい結果を残したいです。昨年、ここではかなりいい走りができましたが、ロングコーナーで少し苦戦しました。今年は、その課題を克服するために、金曜日と土曜日の走行で、タイヤのエッジグリップを見つけることに集中したいです。また、フロントのチャタリングを減らすことにも取り組みたいです。ザクセンリンクは、とてもおもしろいサーキットです。すばらしいサーキットの一つとまではいきませんが、ダウンヒルに続くコーナーは、最高のコーナーの一つだと思います。ただ、左コーナーがあまりにも長く続いたあとの右への切り返しのコーナーなので、少し怖いですけどね。全体的に観客席がコースにとても近くて、雰囲気はいいです。まるでコロッセオのようです。昨年のようにおもしろいレースになると思います。今週末が楽しみです」

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング3位) 「ザクセンリンクでは、これまでいい成績を収めてきました。とても楽しいサーキットですし、ここでも全力を尽くさなければなりません。そうすればいつか、僕の時代が来るんじゃないかと思っています。アッセンはとてもいい週末となりました。ドイツでもこれを繰り返さなければなりません。できれば、今年まだ達成できていない優勝を狙いたいです。ザクセンリンクは短いサーキットで、ここもまた、タイヤパフォーマンスが大きな部分を担います。左コーナーが連続してから、右の高速コーナーになるので、とても難しいです。今回もセットアップに集中して、できる限りベストの状態にしたいです。全てのレースが重要になります。日曜日はベストを尽くさなければなりません」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP ランキング8位) 「アッセンの1コーナーでのクラッシュは本当に残念でした。ブレーキングのポイントを間違えてしまい、フロントをなくしてしまったため、ほかのライダーも巻き添えにしてしまいました。こんなことは初めてです。ほかのライダーを巻き込み、大事なチャンピオンシップポイントを落とさせてしまい、本当に申し訳ないです。幸い深刻なケガがなくてよかったです。一つだけ確かなことは、こうしたことはもう二度と起きないということです。オランダGPは、100%以上のことをしてくれたチームに申し訳ないと思っています。ザクセンリンクでは、グリッド後方からのスタートとなります。すでに言ったように、レーシングアクシデントとしては、このペナルティは重いですが、受け入れたいと思います。目標は、これまでと同様に全力で仕事を続けることです。そして、できる限り多くのポイントを獲得することです。ザクセンリンクは短く、難しいサーキットで、長いストレートがありません。左コーナーが多く、レースは厳しいです。しかし、雰囲気はフェスティバルのようです。グランドスタンドの観客が多くて最高です」

ステファン・ブラドル(MotoGP ランキング9位) 「今週末は、とても特別な週末になるでしょう。僕の家族や友人、そしてファンがサポートに来てくれます。そのおかげで、モチベーションは上がっています。観客は、とても多いと思いますし、とても楽しみです。MotoGPのマシンには、このサーキットは少し小さいですが、いい部分もあります。特に後半部分はすばらしいです。前回のアッセンを終えて、セカンドグループで戦えることがわかりました。ザクセンリンクを含め、今後のレースの目標にしたいです」

ミケーレ・ピロ(MotoGP ランキング14位) 「ここまでは、全体的に満足しています。CRTのトップでフィニッシュできるチャンスがあると思っていますし、アッセンのレースではまた一歩前進することができました。いつもようにみんな一生懸命がんばってくれています。レースごとに進展しています。ザクセンリンクのようなユニークなサーキットで、マシンがどう機能するか楽しみです。このサーキットは好きです。昨年のMoto2では予選で4番手になりました。とても短くて休む暇もないですが、ベストを尽くしたいです。そして、いい結果を出してホームGPのムジェロに向かいたいです」

マルク・マルケス(Moto2 ランキング1位) 「ザクセンリンクは少し変わったサーキットです。特に最初のセクションは難しいです。でも、昨年は優勝できましたし、いい思い出があります。今年もオランダGPで優勝したあとなので、楽しみにしています。 今回も落ち着いてレースに取り組みたいです。サーキットの最初の低速区間を攻略するために、いいセッティングを見つけなければなりません。高速セクションも重要で、ハードブレーキングポイントもあります。いいバランスを見つけたいです」

中上貴晶(Moto2 ランキング15位) 「イギリスGPとオランダGPは、なかなかセッティングが決まらず、そのため、予選グリッドが悪く、それが決勝に影響しました。イギリスは天候が悪く、初めて走るサーキットだったこともあって厳しかったのですが、オランダはコンディションがそれほど悪くなかったのに、セッティングを詰めきれなかったのが残念でした。ザクセンリンクでは、初日にセッティングを決めて、2日目の予選では攻める走りができるようにしたいです」

高橋裕紀(Moto2 ノーポイント) 「前回のオランダからFTRに替わりましたが、ブレーキングからクリップまで思いきり攻められませんでした。FTRに換えても、スッターの時と同じような問題が出ているので、車体だけの問題ではないのかもしれません。ザクセンリンクは、今抱えている問題を解決しないと厳しいサーキットなので、いい状態にしたいです」

マーベリック・ビニャーレス(Moto3 ランキング1位) 「とても好きなサーキットです。ここ数戦、戦ってきたサーキットよりも、ここのレイアウトは好きです。昨年はここで3度目のポールポジションを獲得しました。またザクセンリンクに戻って走ることができて、うれしいです。ここのレイアウトは自分のスタイルに合います。とてもうまくいくでしょう。ここはテクニックが必要で、スローセクションに合わせたセットアップが必要になります。高速コーナーでは気合でアクセルを開けなければなりません。そういう走りをするつもりです」

ロマノ・フェナティ(Moto3 ランキング4位) 「初めてのシーズンなのに、こうして、チャンピオンシップ4位でドイツへ向かうことができます。前回のオランダでは背中を痛めていたので、チャンスを生かすことができず、12位でした。ザクセンリンクでは、もっといい結果を残したいです」

ルイス・ロッシ(Moto3 ランキング5位) 「チームにとってのホームGPになるので、がんばりたいです。僕だけではなく、ドイツにベースがあるチームにとっては、とても重要なレースになります。アッセンではいいレースができたのですが、表彰台に立てませんでした。今回は、表彰台には立てるようにがんばりたいです。雨が降ったル・マンでは初優勝することができました。次はドライコンディションで優勝したいです」

藤井謙汰(Moto3 ノーポイント) 「初めてのコースが続いていますが、どのサーキットも個性があって、すごく勉強になっています。ザクセンリンクは難しいサーキットだと聞いていますので、早く攻略できるようにがんばりたいです。オランダGPは、順位は悪かったですが、集団の中でレースができて楽しかったです。今回もグループの中で戦えるようにがんばりたいです」