round 07

June 28/29/30 2012 MotoGP Iveco TT Assen 第7戦 オランダGP

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オランダGPプレビュー

第7戦オランダGPが、6月28日(木)から30日(土)までの3日間、オランダ北東部に位置するアッセン・サーキットで開催されます。オートバイのグランプリは、1949年にスタートしました。長い歴史の中で、唯一、アッセンで開催されるオランダGPだけは、同じサーキットで、休むことなく続けられてきました。グランプリの歴史の中で、もっとも長い歴史を誇る大会。6月最終週の土曜日に決勝レースが行われるのが伝統で、今大会で64回目を迎えます。

オランダGPプレビュー

今年は、オランダGPから、第8戦ドイツGP、第9戦イタリアGPと続く、過酷なスケジュールになっています。シーズン中盤戦の最大の山場でもあり、チャンピオンシップを大きく左右する3連戦となります。今年は、第2戦スペインGP、第3戦ポルトガルGPでケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)が優勝しています。しかし、第4戦フランスGP、第5戦カタルニアGP、第6戦イギリスGPとホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)が優勝、Honda勢は3連敗を喫しているだけに、オランダからの3連戦は、その雪辱と逆転に挑む戦いになります。

今季6戦を終えて、2勝を含む5回の表彰台に立ち、総合2位につけるストーナーは、ここからの3連戦でロレンソとの25点差を縮める意気込みです。フランス、カタルニア、イギリスと、フリー走行と予選では、十分に優勝を狙える状態を作り上げましたが、不安定な天候に翻ろうされて勝利を逃しました。

アッセンは、天候が変わりやすく、昨年の大会では、土曜日のフリー走行で冷えた路面に足元をすくわれて転倒、左肩を痛めました。それが影響して決勝は2位でした。さらに、そのときに痛めた左肩は、シーズン終盤戦までライディングに影響しました。アッセンでは、08年に優勝、07年と昨年の大会で2位表彰台に立っています。今年は高速コーナーのウイークポイントを改善して、2回目のオランダGP制覇と、今季3勝目を狙います。

チームメートで総合3位のダニ・ペドロサは、昨年、ケガのために欠場しているので、第5戦カタルニアGP、第6戦イギリスGP同様、2年ぶりの大会となります。過去、オランダでは、125ccクラスで優勝、250ccクラスでは2度の表彰台。最高峰クラスでは、06年、08年、10年と3度の表彰台に立っています。今年は6戦を終えて5度の表彰台に立つも、まだ優勝がないだけに、アッセン初制覇と今季初優勝に闘志を燃やしています。6戦を終えて、総合首位のロレンソと39点差の総合3位。チームメートで2位のストーナーとは14点差。念願のタイトル獲得のためにも、ストーナー同様、この3連戦が重要な戦いになります。

前戦イギリスGPで初のポールポジションを獲得、決勝では表彰台にあと一歩に迫ったアルバロ・バウティスタ(Team San Carlo Honda Gresini)が、今大会は初表彰台を狙う戦いになります。これまで、125ccクラスでは06年に3位、250ccクラスでは、07年に3位、08年に優勝しています。MotoGPクラスにスイッチして3年目。Honda RC213Vに乗る今年は、レースをこなすごとにトップグループとの差を縮めています。前戦イギリスGPでは、ペドロサとし烈な3位争い。「PPを獲得して表彰台争いをして、すばらしい経験だった」とモチベーションも高いだけに、今大会の走りに注目されます。

ルーキーのステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)も、レースをこなすごとにスキルを上げて、RC213Vのパフォーマンスを引き出しています。今年は、第4戦フランスGPの5位が最高位。その他のレースは、随所で光る走りを見せるも、不安定な天候に苦戦しています。今大会は隣国ドイツから大勢のファンが駆けつけてきます。ホームGPとなる次戦ドイツGPに向けて、手応えあるレースをする意気込みです。

CRTマシンで総合14位につけるミケーレ・ピロ(Team San Carlo Honda Gresini)は、ポルトガル、フランス、カタルニア、そしてイギリスと4戦連続でポイントを獲得、着実にマシンのポテンシャルが上がっているだけに、今回はCRTマシンでトップを狙います。

初めてグランプリが開催された当時のアッセンは、公道を使用するロングコース(16.536km)でした。その後、マシンやタイヤの進化に合わせ、これまで何度もコースの改修を受けてきました。2006年には、コース前半の高速セクションが大幅に改修されて、それまでの5.997kmから4.555kmへと短縮されました。コーナーの数も23から18へ。今年にも小さな改修があり、全長4.542kmとなっています。近代的なサーキットに生まれ変わりましたが、フィリップアイランド(オーストラリアGP)、シルバーストーン(イギリスGP)、ムジェロ(イタリアGP)に次ぐ高速サーキット。そして、パッシングポイントが多いサーキットだけに、今年も熱いバトルが期待されます。

最高峰クラスでは、1966年にジム・レッドマンが初優勝、以来、Hondaは、アッセンで17勝を挙げてきました。今年は06年のニッキー・ヘイデン(現ドゥカティ)以来、6年ぶりのオランダGP制覇に一丸となって挑みます。

Moto2クラスは、大接戦が続いています。6戦を終えて総合首位のマルク・マルケス(Team CatalunyaCaixa Repsol)は102点。2位のポル・エスパルガロ(Pons 40 HP Tuenti)と3位のトーマス・ルティ(Interwetten-Paddock)が96点で並んでいます。以下、総合4位のアンドレア・イアンノーネ(Speed Master)が84点、総合5位のスコット・レディング(Marc VDS Racing Team)が70点と、チャンピオン争いでは、この5選手が抜け出した格好になっています。

ここまでの6戦では、この5選手が表彰台をほぼ独占していますが、ここからの3連戦は一段と厳しい戦いになりそうです。昨年は雨の決勝レースとなり、マルケスが優勝しています。過去3戦、フランス、カタルニア、イギリスと優勝を逃しているマルケスですが、今大会は、オランダGP2連覇と今季3勝目を狙う戦いになります。

日本人勢は、総合14位の中上貴晶(Italtrans Racing Team)が第2戦スペインGPの5位を超えるベストリザルトに闘志。6戦を終えて依然としてポイントを獲得していない高橋裕紀(NGM Mobile Forward Racing)も、ポイント獲得に気合を入れています。

Moto3クラスは、前戦イギリスGPで今季3勝目を挙げたマーベリック・ビニャーレス(Blusens Avintia)が、オランダGP2連覇に挑みます。今年は、開幕戦カタールGPで優勝しますが、不安定な天候の中で優勝を逃してきました。しかし、第5戦カタルニアGPと第6戦イギリスGPの大接戦を制して総合首位に浮上。Honda勢のエースとして、今大会は3連勝と今季4勝目の期待が膨らみます。

総合4位にロマノ・フェナティ(Team Italia FMI)、以下、ルイス・ロッシ(Racing Team Germany)、アレックス・リンス(Estrella Galicia 0,0)と続き、総合8位にアレクシ・マスボー(Caretta Technology)、総合9位にニッコロ・アントネッリ(San Carlo Gresini Moto3)と、トップ10に6台のHonda勢が名前を連ねています。ルーキー藤井謙汰(Technomag-CIP-TSR)は、まだ、ポイントを獲得していませんが、今大会ベストリザルトを狙います。

コメント

ケーシー・ストーナー(MotoGP ランキング2位)「アッセンでは、これまですばらしいリザルトを何度か残してきました。でも悪いときもありました。だから今週末は、優勝争いをできるように、そして、ケガをしないようにがんばりたいです。昨年は首を痛めて、しばらく痛みが続きました。今でもその後遺症があります。アッセンは、タイヤのエッジを長い時間使いますが、これが今の課題になっているので、木曜日と金曜日はこの問題を改善できるようにがんばります。いま、抱えているいくつかの問題を解決するためにも、できる限り多くの時間を走りたいです。そのためにも天気がよくなることを願っています。ここからの3連戦は、とても重要になります。アッセン、ザクセンリンク、そしてムジェロと、集中力を維持しなければなりません」

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング3位)「昨年はケガのためにアッセンを走ることができませんでした。でも、よく知っているサーキットなので心配はしていません。アッセンの天気は変わりやすいので、マシンのセットアップに集中したいです。もっと乗りやすいマシンに仕上げたいです。そのためにも、いい天気になってほしい。前回のイギリスは、新しいフロントタイヤに苦労しました。もっと経験が必要ですが、今週は、一歩前進できることを願っています。アッセンは、高速コーナーがいくつもあるので、タイヤのフィーリングが重要になります。アッセンは、いつも楽しみなサーキット。ベストを尽くしたいです」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP ランキング7位)「シルバーストーンはとてもポジティブでした。バルセロナからマシンの感触はよくなっているし、それを確認することができました。スタートから快適で、そして楽しむことができました。土曜日にはMotoGPで初めてのポールポジションも獲得しました。決勝ではトップグループと走ることもでき、とても重要なレースとなりました。彼らと走ることで多くのことを学べましたし、すばらしい4位となりました。ここからの3連戦は、体調が非常に重要なので、トレーニングをがんばってきました。アッセンでは、シルバーストーンのいい走りを確認したいです。次の目標は表彰台に立つことです。しかし、これまでのように集中していけば、遅かれ早かれ表彰台に上がれると思います。だから、あまり表彰台にこだわらないように全力を尽くしたいです。アッセンは歴史的なサーキットで、高速コーナーや低速コーナーがミックスしていて、切り返しも多い。アッセンの雰囲気はいつもすばらしいです。モーターサイクルのお祭りのようです」

ステファン・ブラドル(MotoGP ランキング8位)「アッセンは、いい天気になることを願っています。そして、マシンをいい状態に仕上げてレースに挑みたいです。アッセンはあまり得意ではありません。とくに前半部分は苦手でしたが、MotoGPマシンは全く違うと思うので、いい走りができるようにがんばりたいです」

ミケーレ・ピロ(MotoGP ランキング14位)「シルバーストーンでは正しい方向に向かっていることを確認することができました。バルセロナとアラゴンのテストで前進することができ、その成果を感じています。イギリスでは上位のCRT勢と、いいレースをすることができました。もう一歩前進することができたら、トップのCRTにチャレンジできると思います。1週間の休暇はプーリアの家に戻り、友達や家族と過ごしました。そして、アッセンに向けて準備をしました。このサーキットは大好きなサーキット。また、いいレースができると確信しています」

マルク・マルケス(Moto2 ランキング1位)「シルバーストーンと同じような高速サーキットですが、どちらかといえば、アッセンの方が僕には向いているかもしれません。決勝に向けて、いいセッティングを見つけられるように集中したいです。前回のイギリスは、セッティングが難しくて少し苦労しました。今回も不安定な天気になる可能性があるので、落ち着いて100%の力を出したいです。昨年、このサーキットではとても快適でした。決勝はウエットレースになりましたが、優勝することができました。今年は全く違うマシンなので、一生懸命がんばらなければなりません」

ポル・エスパルガロ(Moto2 ランキング2位)「昨年のアッセンは、シーズン序盤の悪い状態が続いていて、ポイントを獲得することができませんでした。マシンがまだ100%ではなかったし、フィーリングもあまりよくなかったです。でもそれは昨年のこと。今年はすばらしいマシンとセッティングがあるので、自信はあります。カレックスが一生懸命がんばってくれています。今年は優勝争いできると思っています」

トーマス・ルティ(Moto2 ランキング3位)「イギリスGPは、レース序盤にハイサイドを喫し、かなり時間をロスしてしまいました。それで、トップグループから離れてしまいました。でもマルケスが3位だったので、総合1位から3位に落ちたけれど、それほどポイントが離れなかったのはよかったです。今回は、チャンピオンシップでトップ3にいられるようにがんばりたいです。アッセンの目標は、最初のセッションから、前にいられるようにすることです」

中上貴晶(Moto2 ランキング14位)「前回のイギリスGPは、フリー、予選でマシンのセットアップがちゃんとできなかったことが決勝に影響してしまいました。今回も天候が不安定なアッセンなので、イギリスの失敗を繰り返さないように、ドライでもウエットでもしっかりマシンを作っていきたいです。アッセンは、125cc時代は、嫌いではないけれど転倒したりで結果を残せませんでした。今回はみんなが喜んでもらえるようなリザルトを残したいです」

高橋裕紀(Moto2 ノーポイント)「雨になった昨年は、いいペースで追い上げることができて、2番手まで浮上しました。終盤、転倒してしまいましたが、それまでの苦手意識を克服することができました。今年は、ここまでポイントを獲得できていないので、なんとしてもポイントは獲得したいです」

マーベリック・ビニャーレス(Moto3 ランキング1位)「アッセンは自分のライディングスタイルにとても合うサーキットです。いい思い出もあります。昨年は4勝して、アッセンは2番目に勝てたサーキットでした。だから、アッセンを楽しみにしています。高速セクションは、僕が最もうまく走れるところです。今年のマシンでは初めて走ることになりますが、エンジンとシャシーのセットアップに取り組んで、すべてのセクションで全力で走れるようにがんばりたいです」

ロマノ・フェナティ(Moto3 ランキング4位)「シルバーストーンは、すごくおもしろかったです。テレビで見てくれた人たちも楽しんでくれたんじゃないかと思っています。いいスタートが切れたし、トップグループからも、それほど離されませんでした。チームワークがよかったし、マシンが戦闘的になってきていることを感じさせてくれました。次のアッセンは、ライダーたちにとって神聖な場所。歴史的なサーキットでレースをするのをとても楽しみにしています」

アレックス・リンス(Moto3 ランキング6位)「オランダへ行くのがとても楽しみです。アッセンはだれもが走りたいクラシカルなサーキットですからね。前戦シルバーストーンで転倒して、体調は100%ではないですが、この数日、かなり回復してきています。モチベーションも高まっています。アッセンを走るのは初めてですが、最近の不運を忘れて、いい結果を出すためにチームとともに全力を尽くしたいです。ここからは3連戦。ハードな3週間ですが、モチベーションはとても高いです」

藤井謙汰(Moto3 ノーポイント)「6戦を終えて、まだポイントを獲得していないので、今回もポイント獲得を目標にがんばりたいです。アッセンは、難しいサーキットだと聞いているので、いい天気になってほしいです。前回のシルバーストーンは、高速サーキットでしたがトップとのタイム差が一番縮まった大会でした。今回もシルバーストーンと同じで高速サーキットですが、トップとの差をさらに縮めたいです」