round 01

April 5/6/7/8 2012 MotoGP Commercialbank Grand Prix of Qatar 第1戦 カタールGP

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カタールGPプレビュー

ロードレース世界選手権(WGP)第1戦カタールGPが、4月5日、ドーハ郊外のロサイル・インターナショナル・サーキットで開幕します。カタールGPは、2004年に第1回大会が行われ、08年からはグランプリ史上初のナイトレースとして開催されています。昨年は3月中旬のシーズン開幕でしたが、今年は4月前半の開催と半月ほど遅くなりました。そのため、長期予報では日中の最高気温が30℃前後、夜間でも23℃前後と、好タイムが期待されるコンディションになりそうです。

カタールGPプレビュー

今年は従来のMotoGPマシン12台と、量産車のエンジンを搭載するCRTマシン9台が、MotoGPクラスのグリッドに並びます。CRTは、燃料タンクが24リッター(MotoGPマシンは21リッター)、エンジンがシーズン12基(MotoGPマシンは6基)と大幅に緩和されたルールになっています。こうした緩和されたルールを採用することで、エントリーを促進しようというのが最大の目的となっていますが、ルールを超えたエンジン作りができないように、MotoGPマシンを製造しているHondaなど3メーカーが、CRTチームのエンジンを買い取れるシステムになっています。こういったシステムをクレーミングといい、クレーミング・ルール・チームという言葉が「CRT」の語源となっています。

昨年までは排気量の上限が800ccでしたが、今年はCRTマシンの参加にあわせて1000ccへと排気量の上限が上がっています。この新しいルールに対応した2012年型マシンのRC213Vは、昨年のシーズン中にシェイクダウンされて、開発が続けられてきました。

昨年の最終戦バレンシアGP終了後に行われた1000cc初の合同テストでは、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)がトップタイムをマーク、年明け1月下旬から2月下旬にかけて行われた2回のマレーシア・セパン合同テストでは、ディフェンディングチャンピオンのケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)がトップタイムをマーク。3月下旬にスペイン・ヘレスで行われた合同テストではストーナーが再びトップタイムを記録するなど、4回の合同テストでRepsol Honda Teamの2人は好調な走りを見せました。

こうして、2年連続タイトル獲得に向けてウインターテストで圧倒的な速さをアピールしたストーナーですが、タイヤと車体のマッチングが完全ではなく、RC213Vのポテンシャルを十分に引き出すには至っていません。開幕戦カタールGPのフリー走行では、引き続きセットアップに取り組むことになりますが、カタールGP5回目の優勝に期待が膨らんでいます。

昨年のバレンシアテストで好調なスタートを切ったペドロサは、年明けのテストではストーナーとともに好タイムをマークしました。今年からマシンの最低重量が引き上げられたことで、ペドロサはブレーキングの安定性で課題を抱えました。ペドロサも開幕戦カタールGPのフリー走行でこの問題の解消に取り組むことになりますが、この数年では初めて万全な体調でシーズン開幕戦に挑むだけに、カタールGP初制覇に期待がよせられています。

今年は、ライバル勢も好調でこれまで以上に熱い戦いになりそうですが、ウインターテストで好調な走りを見せたストーナーとペドロサの2人が、MotoGPクラスを盛り上げてくれるに違いありません。

サテライト勢では、Team San Carlo Honda Gresiniからアルバロ・バウティスタが参戦します。カタールGPでは、125cc時代の06年にPPを獲得、250cc時代は3年連続でフロントローを獲得しています。MotoGPクラスは、過去2年、スズキチームから出場しています。10年は転倒リタイア。昨年はウインターテストで負傷して開幕戦を欠場しています。バウティスタにとっては、2年ぶりのカタールGPとなりますが、RC213Vでのデビュー戦に大きな注目が集まっています。

また、昨年のMoto2クラスのチャンピオン、ステファン・ブラドルがLCR Honda MotoGPからMotoGPクラスのデビュー戦に挑みます。ウインターテストでは、テストを重ねるごとに速さに磨きをかけてきました。Moto2時代は速さと安定性でライバルを圧倒しました。今年はニューチャレンジのシーズンとなりますが、開幕戦から周囲の期待の応える走りを見せてくれそうです。

CRTでは、Team San Carlo Honda Gresiniからミケーレ・ピロが出場します。車体はFTR製。エンジンはCBR1000RR。開幕に向けて最後の合同テストとなったスペイン・ヘレスから本格的なテストを行いました。まだ、できたばかりのマシンですが、これからの進化に注目されます。

Moto2クラスは、CBR600RRのエンジンをベースに、Moto2クラス用にチューニングされたスペックで競われています。Hondaは、過去2年にわたってMoto2クラスにレベルの高いエンジンを供給し、選手、チームからは高い評価を得ています。今年は3年目のシーズン。今年もMoto2クラスのバトルを支えていきます。

ウインターテストでは、昨年総合2位のマルク・マルケス(Team CatalunyaCaixa Repsol)を筆頭に厳しい接戦となっています。また、一昨年のチャンピオンのトニ・エリアス(Mapfre Aspar Team)がMoto2クラスに復帰して、注目を集めています。日本人勢では、Moto2クラス3年目の高橋裕紀(NGM Mobile Forward Racing)、昨年の全日本選手権J-GP2クラスのチャンピオンで3年ぶりにGP復帰を果たす中上貴晶(Italtrans Racing Team)が、日本人としては初のMoto2クラスのタイトルを狙います。

今年は、125ccクラスに代わり、4ストロークの単気筒エンジンを使用するMoto3クラスがスタートします。注目は、FTR-Hondaで出場するマーベリック・ビニャーレス(Blusens Avintia)で、昨年はルーキーながら4勝を挙げて総合3位。開幕前のスペイン・ヘレステストでは、FTR-Hondaで最速タイムを刻み、チャンピオン候補の筆頭に挙げられています。日本からは昨年の全日本選手権J-GP3チャンピオンの藤井謙汰(Technomag-CIP-TSR)が出場します。

コメント

ケーシー・ストーナー(MotoGP)「セパンとヘレスでいいプレシーズンテストを過ごし、ポジティブな気持ちでカタールへ向かうことができます。しかし、このマシンでカタールを走るのは初めてですし、まだまだやらなければいけないことはたくさんあります。最高の結果を出すためには、セットアップに時間をかけなくてはいけません。ロサイルサーキットでは、これまでいつもいい結果を出してきたし、レースも楽しむことができました。でも、今年は新しいマシンで行う最初のレースです。ライバルは大勢いますが、開幕するのが待ちきれません。世界チャンピオン獲得に向けて全力を尽くします」

ダニ・ペドロサ(MotoGP)「シーズンがスタートすると、シーズン中にいろんな問題が出てきます。過去にはいいシーズンもそうでないシーズンもありますが、その多くは、冬の間にどれだけ準備ができたかで決まっていました。そういう意味で今年はしっかりと準備することができました。マシンのセットアップも進んだし、自分のトレーニングもしっかりとできました。あとは、運がついてくることを願っています。そうすればいいチャンピオン争いができると思います。カタールはシーズン最初のレースなのでとても重要です。その半面、リスクは最小限にしなければなりません。このレースで優勝しなくてもチャンピオンになれる可能性はあります。しかし、ミスをするとシーズンが複雑になるのでしっかりと走りたいです。準備はできています。みんながどんな走りをするのか見てみたいです」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP)「セパンとヘレスのプレシーズンテストを終えて、ついに最初のレースのためにサーキットへ向かいます。テストはストレスがたまるのでつらいときもありますが、それだけにレースをできることが本当に楽しみです。今年は、ピットの中でも外でもやることがたくさんあって、終わりがありませんでした。これからは、目標に向かって全力を尽くし、レースでしか味わえないアドレナリンを感じたいです。今回がTeam San Carlo Honda Gresiniでのはじめてのレースになるので楽しみです。みんな、いい仕事をしてくれています。自分のポテンシャルを引き出すために、このカタールで必要な関係を築きたいと思います。ロサイルサーキットは高速で流れるようなコーナーが続きます。長いストレートもあって好きです。ただ、残念ながら夜にレースをするのはまだあまり好きではありません。照明が十分だったとしても、日中にレースをするのとはやはり違います。そして、湿度があるので路面が滑りやすいですね。とにかく、前で戦えるマシンがありますし、ベストを尽くしたいです」

ステファン・ブラドル(MotoGP)「ウインターテストを終えて、いよいよ開幕戦なんだと興奮しています。MotoGPクラスでは最初のレースなので、とても楽しみにしています。このサーキットは大好き。デビュー戦の目標は、7位から10位の間でフィニッシュすることです。予選ではトップ7に入りたいですね。そしてトップから1秒以上は落としたくありません。最初の走行が待ちきれません」

ミケーレ・ピロ(MotoGP)「とてもナーバスになっています。でも新しいチャレンジなので、興奮もしています。現状では、トップグループと一緒に走れないのは分かっているので、CRTの中で最高位になれるようにベストを尽くします。残念ながら、まだこのマシンでは500kmしか走っていないので、やることはたくさんあります。ポテンシャルはあると思うので、できる限りベストを尽くしたいです。チームは熱意を持って一生懸命がんばっています。みんなとうまくやっているので、ヘレステストから大きく前進できるでしょう」

マルク・マルケス(Moto2)「開幕戦をずっと待っていました。火曜日にドーハへ向かいます。そして、新しいMoto2シーズンのスタートを切って、昨年よりいい結果を出したいです。この冬、チーム全体が一生懸命がんばってきました。彼らとスポンサーにはただ感謝の言葉しかありません。ケガはどんどん回復しています。これはチャンピオンシップのスタートにおいて、ポジティブなことです。ここ数カ月大変だったけれど、カタールに着いたら、もううしろを振り向かず、ただ楽しみたいですね。ロサイルサーキットは好きなサーキットです。高速でとてもユニーク。僕の乗るスッターが、最大限のチカラを発揮できることを願っています」

高橋裕紀(Moto2)「今年はチームもマシンも変わり、一からのスタートになりました。ウインターテストでは車体に問題を抱え、思うようにセットアップできませんでしたが、スペイン・ヘレステストで原因がわかり、開幕戦に向けてギリギリ間に合ったという感じがします。カタールでは、ベースのセッティングを見つける作業から始まりますが、落ち着いて確実に前進したいです。過去2年、日本のファンの期待に応えられなかったので、今年はみんなに喜んでもらえるようなシーズンにしたいです」

中上貴晶(Moto2)「グランプリに復帰できてすごくうれしいです。ウインターテストでは、マシンのセットアップも進み、タイムも悪くありませんでした。しかし、最後のヘレステストで転倒してしまい、いい形で終えられなかったのが残念でした。しかし、今年は開幕戦からいいレースをしたいと思っています。自信もあります。Moto2クラスではルーキーですが、今年は1年目から結果を求められるシーズンなのでがんばりたいです。カタールは3年ぶりになりますが、どちらかといえば好きなコースなので、開幕戦からみんなを驚かせるようなレースをしたいです」

マーベリック・ビニャーレス(Moto3)「ワールドチャンピオンシップが始まるのをとても楽しみにしています。最初のレースは、チームとライダーたちのポテンシャルが本当に分かるときなので、少しナーバスになります。でも今年は、ナーバスというより興味の方が大きいかもしれません。125ccの時のようなバトルがMoto3でも見られるのか、またどのライダーがこのカテゴリーに一番順応できるのか、早く知りたいです。このカテゴリーのマシンはとても乗りやすいので、125ccより集団のレースになるかもしれません。接近戦になることは間違いないでしょう。プレシーズンはよかったので、落ち着いた気持ちでカタールに向かうことができます。ポテンシャルのあるマシンなので、最初のレースからいいリザルトを狙っていきたいです。サーキットは好きだし、夜のレースは特別な感じがします」

藤井謙汰(Moto3)「昨年の暮れにスペイン選手権を経験して、Moto3クラスの合同テストにもすべて参加してきたので、雰囲気には慣れたと思います。開幕に向けて最後のテストになったヘレスでは、TSR3の車体で本格的なテストに入りました。走り始めたばかりですが、ポテンシャルはあると思います。開幕戦の前には全日本選手権にも出場して、レースの感覚を磨いてきました。いい状態でグランプリの開幕戦に挑めます。まだまだ勉強している段階ですが、1つでも上のポジションをねらっていきたいです」