昨年、グランプリのカレンダーに加わった第14戦アラゴンGPが、9月16日から18日までの3日間、モーターランド・アラゴンで開催されます。モーターランド・アラゴンは、バルセロナの西約200kmに位置する都市・アルカニスの郊外にあり、ヘレス、カタルニア、バレンシアに続く、スペイン4番目のグランプリとして昨年から開催されています。
モーターランド・アラゴンは、一周5.077km。マレーシアのセパン・サーキット、トルコのイスタンブール・パーク・サーキットなどを手がけたデザイナーが設計しました。アップダウンの豊かな自然の地形を利用した左回りのコースは、バリエーションに富んだ16のコーナーが続き、選手たちにはとても好評です。昨年は初開催ながら7万人を超える観客が集まり、国際ロードレーシングチーム協会(IRTA)のベストサーキットに輝きました。
昨年の大会では、ケーシー・ストーナー(当時ドゥカティ)が優勝、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が2位になっています。今季Repsol Honda Teamに移籍、Hondaに乗り換えたストーナーは、アラゴンGP2連勝と今季8勝目に挑みます。
ストーナーは、インディアナポリスGPから大陸移動しての連戦となった前戦サンマリノGPでは、シーズン中盤に首を痛め、トレーニング不足が続いていた影響で体力を消耗、3位に終わりました。今大会は一週間のインターバルを置いての大会。十分に休養を取ったストーナーが、再び、優勝争いに加わることは間違いありません。
昨年2位のペドロサは、今年は優勝を狙う大会となります。後半戦のスタートになった第11戦チェコGPでは痛恨の転倒を喫してリタイアしていますが、インディアナポリスGP、サンマリノGPでは連続2位。シーズン中盤の右肩の負傷で、ペドロサもトレーニング不足が続いていましたが、今大会は、体調もかなり回復、ベストな状態で挑むことになります。
ペドロサは、ケガのためにホームGPとなる第5戦カタルニアGPを欠場しました。今大会はペドロサの出身地バルセロナから近いこともあり、大勢のファンがアラゴンに駆けつけることになります。ストーナーとともに優勝を狙うペドロサの走りに大きな注目が集まっています。
昨年の大会で痛恨の転倒を喫してリタイアに終わっているアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)が、今年はアラゴンGP初表彰台を狙います。後半戦に入って、第11戦チェコGPで2位表彰台に立ちましたが、インディアナポリスGP、サンマリノGPでは連続5位と表彰台を逃しています。今大会は、ストーナー、ペドロサとともに優勝争いに加わり、表彰台に立つ意気込み。ランキング2位のホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)に39点差、5位のペドロサに35点のリードを築いていますが、今大会は総合3位をキープし、ロレンソとの差を縮めることを目指す大会となります。
第11戦チェコGPで3位、念願のMotoGP初表彰台に立ったマルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)は、インディアナポリスGPではタイヤの消耗に苦しんで表彰台争いから12位にポジションを落としました。しかし、前戦サンマリノGPでは、ドヴィツィオーゾ、ベン・スピーズ(ヤマハ)とのし烈な4位争いを制し、地元ファンの大声援を浴びることになりました。レースこなすごとに着実に力をつけているシモンチェリ。初開催となった昨年の大会では7位。アラゴンGPでは、今季2回目の表彰台を狙います。
バルセロナをホームとする青山博一(Team San Carlo Honda Gresini)も、カタルニアGP同様、アラゴンGPは第2のホームGPとなります。そして次戦はいよいよ自身のホームGPとなる第15戦日本GP。ここで好リザルトを獲得して、その勢いをツインリンクもてぎの戦いにつなげる意気込みです。この数戦、今年の課題となっていたスタートの悪さと序盤のペースの遅さのウイークポイントを克服して上り調子となっているだけに、今大会の戦いに注目されます。
トニ・エリアス(LCR Honda MotoGP)もホームGPとなるアラゴンGPに闘志を燃やしています。今季は、第6戦イギリスGPの8位が最高位。それを超えるリザルトを狙います。
Moto2クラスは、ランキング首位のステファン・ブラドル(Viessmann Kiefer Racing)と2位のマルク・マルケス(CatalunyaCaixa Repsol)のチャンピオン争いが大きな注目を集めています。シーズン前半に4勝を挙げて、以後も着実に表彰台に立ってきたブラドル。前半ノーポイントのレースが続きましたが、中盤戦に入って6勝を挙げて猛列に追い上げるマルケスは、前戦サンマリノGPでブラドルに23点差に迫りました。
今大会、ホームGPとなるマルケスは、地元の声援を受けて今季7勝目を狙うことになります。また、昨年の大会で優勝しているアンドレア・イアンノーネ(Speed Master)が、アラゴンGP2連覇を狙います。前戦サンマリノGPでトップグループに加わり7位と、調子を上げてきた高橋裕紀(Gresini Racing Moto2)も今季3回目の表彰台に気合満点。前戦サンマリノGPで代役出場を果たした小山知良(Technomag-CIP)が、今大会も負傷欠場のケナン・ソフォーグルの代役として出場します。
ケーシー・ストーナー(MotoGP ランキング1位)「ミサノのレースは、体力を完全に消耗したので、今大会まで少しでも身体を休ませるようにしました。ハードなスケジュールで完全に疲れきっていたし、エネルギーを使い果たしてしまいましたからね。だからリラックスした時間を過ごし、身体の状態を見ながらトレーニングをしました。アラゴンは得意なサーキットではありません。しかし、昨年よりは、もう少し速く走れると思っています。昨年は、マシンのセットアップで大きく前進したので、いい走りができました。今年は全く違うマシンなので最初のフリー走行では学ぶことがたくさんあると思います。ギアボックスを正しくセットアップしたり、初めてのマシンで初めて走るサーキットで行ういつもの作業をしなければなりません。アラゴンをHondaで走るのはおもしろいと思います。ダニは昨年強かったです。僕もいい仕事をして、いい結果を残したいです」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング3位)「チャンピオンシップ3位でアラゴンを迎えることができます。今大会は、ロレンソとのギャップを縮めたいけれど、4位のダニからも順位を守らなければなりません。厳しいレースになります。モーターランド・アラゴンは楽しくて好きなサーキットです。特徴はダウンヒルのブレーキングエリアが多いこと。コーナーは、イスタンブールのサーキットに似ている部分がいくつかあります。アベレージの速いサーキットではないけれど、全体的におもしろいです。昨年は初めて走るサーキットだったけれど、1年経験したのでもっといい走りができるでしょう。昨年はベン・スピーズと4番手争いをしていて、最終ラップで転倒してしまいました。今年は力強いレースをしたいです」
ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング4位)「アラゴンにはとてもいい思い出があります。昨年はいいスタートをして、レース内容もよかったです。ここ数週間のパフォーマンスには満足しています。毎日状態はよくなっています。今週は休むことができたし、エネルギーをたくわえることができました。今はレースが本当に楽しみです。スペイン中のファンがアラゴンGPにやって来ます。雰囲気は最高。サーキットはすばらしくてとてもテクニカルです。高速と低速コーナーがあり、複雑なコーナーやブラインドコーナーもあります。このサーキットは、マシンのセットアップがとても重要になるので、プラクティスからがんばらなければなりません。昨年のデータが役に立つでしょう。カタルニアGPに出られなかったので、今大会はスペインのファンに会えるのが楽しみです。地元の声援が力になるでしょう。そしてレースを一緒に楽しみたいです」
マルコ・シモンチェリ(MotoGP ランキング8位)「ミサノの最終ラップは自分にとってすばらしい時間でした。ドヴィツィオーゾやスピーズと2、3回やりあって先着することができたのは、自分にとってはもちろんのこと、ファンにとって、すばらしいことでした。この勢いをシーズン最後までキープしたいです。毎戦、前進しているし、最近のレースは安定しています。ミサノでは興奮するようなレースができましたが、次は表彰台争いに加わらなければなりません。昨年のアラゴンは悪くはなかったです。サーキットも好きなのでいいレースがしたいです。プラクティスでもう少しペースを上げ、シーズン序盤のようないいグリッドを獲得したいです。チームとのフィーリングはとてもいい。これがモチベーションを上げてくれます」
青山博一(MotoGP ランキング10位)「ミサノではもっといい結果を残すことができたかもしれません。しかし、序盤の混戦で順位を落として、追い上げのレースになりました。でも、マシンと自分の体力に自信を取り戻せたのでうれしいです。アラゴンからのファイナルステージでは、いい結果を残せるでしょう。昨年、アラゴンではあまりいい結果を残すことができなかったけれど、ミサノよりいい結果を残せる気がします。バルセロナに住んでいるので、自分にとってはここもホームレースの1つ。だからいいレースにしたいです。調子はいいので、チームのサポートがあればうまくいくでしょう。よくなってきているので、シーズンの序盤のような力を取り戻したいです」
トニ・エリアス(MotoGP ランキング14位)「アラゴンはすばらしいサーキットですが、その半面、タイムを短縮するのが非常に厳しいサーキットです。コンマ1秒を削り取るためにも、マシンをいい状態にセットアップしたいです。アラゴンは自分が住んでいるマンレサに近く、友人も多く、地元のファンが大勢来てくれるのでがんばりたいです。正直、この大会をもっといい状態で迎えられることを予想していましたが、現実は厳しいです。しかし、今大会もベストを尽くします」
ステファン・ブラドル(Moto2 ランキング1位)「昨年、アラゴンはとても難しいサーキットだということを痛感しました。でも、今年はすべてのレースでいい走りができているので、今回も優勝争いをしたいです。インディアナポリスでカゼをひいてサンマリノGPまで影響しました。しかし、ミサノのあとに少し休みがあったのでよかったです。また大変なレースになるでしょう。マシンをもう少しよくしなければなりません。残り5戦となりました。1戦ずつベストを尽くしていきたいです」
マルク・マルケス(Moto2 ランキング2位)「アラゴンが楽しみです。サーキットは好きだし、地元のファンが大勢、見に来てくれます。レースに集中して、これまでのメンタリティをキープしていきたいです。この数戦で、チャンピオンシップでかなりポイントを詰めましたが、チャンピオンシップのことは考えずに、これから5戦を一戦一戦がんばりたいです。ミサノでは予選で速かったブラドルに勝てたので、とてもうれしかったです。また大変なレースになるけれど、僕もチームも準備はできています」
アンドレア・イアンノーネ(Moto2 3位)「昨年のアラゴンではすばらしいレースができました。でも、どんなことも起こり得るのがレースだし、今年も全力を尽くしたいです。この数戦、いい状態でレースができているので、自信を持って今大会に挑めます。昨年のような結果を残せるようにしたいです」
高橋裕紀(Moto2 8位)「後半に入ってあまりいいレースができませんでしたが、前回のサンマリノは、久しぶりにトップグループに加われてペースもよかったです。今大会の前にはバレンシアで一日テストができて、モリワキのニューシャシーのテストをしました。今回、それを使うことになるので、すごく楽しみです。セットアップに集中して、いいレースにしたいです。ここでいい結果を残して、勢いをつけて次の日本GPに挑みたいです」