インディアナポリスGPからの2週連続の開催となる第13戦サンマリノGPが、9月2日から4日までの3日間、アドリア海に近いミサノ・サーキットで開催されます。ミサノ・サーキットがグランプリのカレンダーに復活して今年で5年目。インディアナポリスGPから2週連続となるのは09年から3年連続となります。
ミサノ・サーキットは、グランプリ開催のためにサーキットを大改修しました。従来、左回りだったサーキットを右回りに変更することで安全性を高め、さらに、08年にはサーキットの延長工事を行い、4.226kmのサーキットに生まれ変わりました。前半は低中速コーナーが続き、後半は高速コーナーが続くバラエティに富んだサーキット。グランプリが14年ぶりに復活した2007年は当時ドゥカティに所属していたケーシー・ストーナーが優勝。08年、09年はバレンティーノ・ロッシ(当時ヤマハ)が2連勝。昨年はダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)がサンマリノGP初優勝を達成しました。
前戦インディアナポリスGPでは、総合首位のストーナー(Repsol Honda Team)とペドロサが優勝争いを繰り広げ、今季7回目のPPからやや出遅れながらもペドロサをかわしてトップに立ったストーナーが優勝。ドイツ、チェコ、インディアナポリスと今季2回目の3連勝を達成しました。サンマリノGPでは07年に優勝して以来、表彰台に立っていないストーナー。Hondaに乗り換えた今年は、全レースで優勝争いに加わっているだけに優勝候補の筆頭。表彰台に立ったことがなかった前戦インディアナポリスGPでは、キャリア初の表彰台を優勝で飾っているだけに、今大会も07年以来の優勝と今季8勝目の期待がふくらみます。
インディアナポリスGPで優勝争いに加わったペドロサも、今大会は今季3勝目に気合を入れています。昨年は、インディアナポリスGP、サンマリノGPの2連戦で2連勝を達成しています。今年は後半戦のスタートとなった第11戦チェコGPですばらしい走りをするも、痛恨の転倒でリタイア。インディアナポリスGPでは新しい舗装とタイヤのマッチングにやや苦戦、ストーナーの後じんを拝しましたが、今週は大会2連覇に闘志を燃やしています。後半戦に入って、身体の状態はほぼ完治も、トレーニング不足が走りにやや影響しています。しかし、昨年のポール・トゥ・ウインに周囲の期待もふくらみ、今年は、ストーナーとの優勝争いと、2戦連続のRepsol Honda Teamの1-2フィニッシュが期待されます。
前戦インディアナポリスGPで、予選5番手から決勝5位と不本意なリザルトに終わったアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)は、ホームGPとなるサンマリノGPに闘志満々。MotoGPクラスにスイッチした08年は8位。Repsol Honda Team入りしてからの過去2年は、表彰台にあと一歩の4位に入っているだけに、今年は地元ファンの期待に応える意気込みにあふれています。ドヴィツィオーゾが優勝争いに加われば、戦前インディアナポリスGPで果たせなかったRepsol Honda Teamの表彰台独占も現実味を増すことになります。
ドヴィツィオーゾとともに、ホームGPとなるシモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)も、地元ファンの期待に応える意気込みにあふれています。昨年の大会は予選9番手。決勝では転倒を喫する悔しいレースでした。後半戦のスタートとなったチェコGPでは念願の初表彰台を獲得。前戦インディアナポリスGPでは表彰台争いに加わるもフロントタイヤの消耗で12位まで順位を落としています。今大会は、昨年の大会と前戦インディアナポリスGPの雪辱を期す大会。Repsol Honda Teamの3選手とシモンチェリの活躍で、今季2回目のHonda表彰台独占も期待されます。
体調がほぼ戻り、前戦インディアナポリスGPを9位でフィニッシュした青山博一(Team San Carlo Honda Gresini)は、さらに上位を目指す戦いとなります。昨年はケガから復帰して2戦目の大会。コルセットを巻いて走る厳しい状態で、予選13番手、決勝12位でした。250cc時代には表彰台に立ち、PPも獲得しているサーキット。今年は、シーズン中盤戦の遅れを取り戻す戦いになります。
Moto2クラスは、ステファン・ブラドル(Viessmann Kiefer Racing)とマルク・マルケス(Team CatalunyaCaixa Repsol)のチャンピオン争いをする2人の戦いに注目されます。前戦インディアナポリスGPでは、総合首位のブラドルが、予選で転倒を喫し22番手。厳しいグリッドから6位でフィニッシュ。一方、総合2位のマルケスは、5回目のPPから5勝目を挙げて、2人のポイント差は28点へと縮まりました。3位以下は大きく遅れているだけに、事実上、この2人のタイトル争いの様相。ここからはお互いミスの許されない厳しい戦いとなりそうです。
ミサノ・サーキットは、グリッドがとても重要になるだけに、予選から厳しい戦いが繰り広げられることになります。前戦インディアナポリスGPで予選20番手、決勝25位と不本意なリザルトに終わっている高橋裕紀(Gresini Racing Moto2)は、チームのホームGPでの雪辱に気合満点。また、今大会は、小山知良(Technomag-CIP)がインディアナポリスGPで負傷したケナン・ソフォーグルの代役として出場します。
ケーシー・ストーナー(MotoGP ランキング1位)「2週連続となるサンマリノで、どれだけがんばれるのかが楽しみです。2007年は優勝。08年はトップを走っていて転んでしまいました。そして09年は欠場、昨年は少し苦戦して5位。表彰台争いにも加われませんでした。しかし、今年は3連勝している状態でレースに挑めるし、いいレースをする自信があります。ミサノは、いいサーキット。バックストレートエンドの2つの高速コーナーが好きです。とても速くて楽しい。ミサノは、ダニとホルヘもとても速いので、厳しいレースになると思います。とにかく、全力を尽くしたいです」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング3位)「インディアナポリスは残念なレースだったので、気持ちを切り替えてサンマリノに挑みたいです。インディアナポリスは、コンディションがとても難しいレースでした。でも最終ラップに自己ベストタイムを出せたことは自信になりました。ミサノは、高いモチベーションで挑みたいです。12戦を終えて総合3位。引き続きがんばって、すべてのレースでベストを尽くします。チャンピオンシップ2位も不可能ではありません。昨年は、バレンティーノの後ろの4位でフィニッシュしました。今年は次のステップに進んで、表彰台に上がりたいです。今年得た経験があれば、ミサノでいいレースができるはず。ムジェロでは表彰台に上がれました。大勢のイタリア人の前で、またいい結果を残したいです」
ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング4位)「インディアナポリスGPでいいレースをしたので、気持ちよくサンマリノGPを迎えることができます。サーキットのレイアウトは、インディアナポリスとは全く違いますが、昨年は、この2つのサーキットで、とてもいいレースをすることができました。インディアナポリスでは勝てませんでしたが、ここでは、昨年のレースを繰り返したいです。とにかく、ここはグリッドが重要なので、土曜日の予選でいい走りをしたいです。そして、最高のレースができるように準備をしたい。ミサノはいいアクセレーションが必要になるし、ハードブレーキングのポイントもあります。その2つをよくすることを最優先に、マシンのセッティングを進めたいです。引き続きチームといい仕事をして、また一歩前に進みたいです」
マルコ・シモンチェリ(MotoGP ランキング9位)「インディアナポリスは厳しいレースでした。ウオームアップのあとは、フロントの問題が改善されたと思いましたが、それは気温が低かったためにいいパフォーマンスができただけのことでした。午後の決勝では路面温度が50℃に戻り、再び、厳しいレースになってしまいました。5周は楽しかったけれど、それからはまるでダメでした。ミサノでは、その5周の時のような走りを最後までしたいです。ミサノではあまりいい思い出はありませんが、すべてのことに、初めての経験があります。得意なサーキットではないけれど、モチベーションは高いです。全力を尽くします。サーキットから数キロのところに住んでいるし、地元ファンの期待に応えたいです。その声援が大きな力になると思います」
青山博一(MotoGP ランキング10位)「インディアナポリスは、中盤以降の走りはよかったのですが、オープニングラップで最下位に落ちてしまったことが悔やまれます。今年は、スタートをよくすること。序盤のペースを上げることという2つの課題がありましたが、インディアナポリスでは、スタートはよかったです。今回はもう1つの、序盤のペースを上げることを成功させたいです。インディアナポリスではレースの感覚を取り戻せたし、身体の調子もよかったです。このサーキットはインディアナポリスに比べると狭くてテクニカルですが、いいコンディションでレースができるはずです。インディアナポリスでのポジティブな気持ちを力に、ミサノでもがんばりたいです。今回はチームのホームGP。チームのためにいい結果を残したいです」
ステファン・ブラドル(Moto2 ランキング1位)「アメリカから戻って、そのまままっすぐ次のイタリアに行かなければならないのは、楽なことではありません。でも少なくとも、クルマを運転して行けるので、飛行機の日付を気にしなくていいのがうれしいです。ミサノは2010年に5位になれたし、いい走りができました。初めてMoto2で表彰台近くでフィニッシュしたレースでした。昨年はそれからどんどんよくなりました。インディアナポリスでは予選グリッドが悪かったのですが、そこから追い上げたパワーある走りを今回も見せたいです」
マルク・マルケス(Moto2 ランキング2位)「ミサノでは、昨年125ccで優勝しています。好きなサーキットですが、今回はイアンノーネ、パシーニ、そしてデ・アンジェリスやすべてのイタリア人ライダーが速いので、厳しいレースになると思います。しかし、インディアナポリスですばらしいレースができたし、チームのモチベーションはとても高いです。激しく変わる路面コンディションに合わせることができたので、今回も、インディアナポリスのようにマシンをセットアップしたいです。Moto2マシンでは初めて走るサーキットが続いていますが、今回もコースに早く慣れることに集中したいです」
アレックス・デ・アンジェリス(Moto2 ランキング4位)「インディアナポリスは予選10位、決勝15位と厳しいレースだったので、今回はいいレースにしたいです。ミサノはとても好きなサーキットです。そして、なんたってホームサーキットですからね。数週間前にここでテストしていい結果を得ています。そのデータを生かしたいです。トップとのギャップは縮まっているので、優勝も手の届くところにあると思います。今大会は、自分の走りの写真がGPのシンボルとして使われています。その期待に応えたいです」
高橋裕紀(Moto2 ランキング8位)「インディアナポリスGPは、今年になって、最も厳しい戦いになりました。フリー、予選とフィーリングは悪くなかったのですが、それがタイムと結果に結びつきませんでした。決勝はタイヤに厳しいレースになると思っていたし、そうなればチャンスもあるんじゃないかと思いましたが、フロントのフィーリングがなくて、まったく追い上げられませんでした。チェコ、インディアナポリスといいレースができていないので、チームのホームGPとなる今大会は、この数戦の遅れを取り戻したいです。チェコGPの前にテストしたときはすごくよかったので、その走りができることを願っています」