カリフォルニア州ラグナセカで開催された第10戦アメリカGPから5週間、グランプリは再びアメリカ大陸に移動します。第12戦インディアナポリスGPは、8月26日から28日までの3日間、中西部に位置するインディアナ州・インディアナポリスで開催されます。
ラグナセカで行われたアメリカGPはMotoGPクラスのみの開催でしたが、インディアナポリスでは3クラスのレースが行われます。今年は、これまで選手たちに不評だったインフィールドのバンピーな路面が新しく舗装され、タイム短縮が期待されています。
インディアナポリス・モータースピードウェイは本来オーバルコース。そのインフィールドに新設したロードコースとオーバルのメインストレートを組み合わせた一周4.216kmのコースでMotoGPが開催されます。左コーナーが10、右コーナーが6と、低速と高速コーナーを組み合わせた独特なレイアウトとなっています。
昨年は、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)がインディアナポリス初優勝を達成しました。今年も優勝候補の筆頭。前戦チェコGPでは、PPからトップに立つも痛恨の転倒を喫しています。しかし、そのキレのある走りは、ケガからの完全復調を強烈にアピールしました。今大会は、今季3勝目とインディアナポリスGP2連勝に期待がかかります。
前戦チェコGPで今季6勝目を達成、総合首位のケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)も、インディアナポリスGP初制覇に闘志を燃やしています。ドゥカティ時代に唯一表彰台に立っていないのがインディアナポリス。Hondaに移籍した今年はどのサーキットでも優勝争いに加わっているだけに、ペドロサとともに優勝候補の筆頭に挙げられています。
その2人をピタリとマークしそうなのが、前戦チェコGPで今季5回目の表彰台に立ったアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)。過去3年は、表彰台にあと一歩の4位と5位。今年はインディアナポリスで初表彰台と今季初優勝を狙っているだけに、Repsol Honda Teamの表彰台独占も期待されます。
前戦チェコGPでMotoGPクラス初表彰台に立ったマルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)も、インディアナポリスを得意としています。250cc時代は、08年にPP獲得(決勝はハリケーンの影響により中止)。09年には優勝を達成しました。MotoGPクラス初挑戦となった昨年は7位でフィニッシュ。今年はチェコGPの勢いをインディアナポリスにも持ち込む意気込みで、2戦連続表彰台が期待されます。
ケガから回復し、前戦チェコGPで復調を感じさせる走りを見せた青山博一(Team San Carlo Honda Gresini)も、今大会は久しぶりに完全な体調で挑むことになります。昨年も、シーズン中盤戦をケガで欠場、インディアナポリスから復帰を果たしました。昨年は猛暑の中でコルセットを巻いて走るという苛酷な条件の中で12位でフィニッシュしました。今年は完全な体調で挑めるだけに、スペインGPの4位を目標に久しぶりの上位入賞を狙います。
今季、思うようなパフォーマンスを発揮できていないトニ・エリアス(LCR Honda MotoGP)もチェコGP後のテストで手応えを感じとっているだけに、今大会は今季ベストリザルトを狙っています。
11戦を終えて、2位に32点差をつけて総合首位のストーナー。ドヴィツィオーゾは2位のホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)に23点差の総合3位。以下、ペドロサ総合5位。シモンチェリ総合8位。青山が総合10位とトップ10にHonda勢が5台。ここからの後半戦はHonda勢が得意とするサーキットが続くだけに、さらに上位を狙うHonda勢の走りに注目されます。
Moto2クラスは、4勝を含む8回の表彰台に立っているステファン・ブラドル(Viessmann Kiefer Racing)が183点で総合首位。中盤戦に入って好調なマルク・マルケス(Team CatalunyaCaixa Repsol)が4勝を含む6回の表彰台で140点と、チャンピオン争いは、この2人に絞られてきました。
しかし、前戦チェコGPでは、この2人に総合4位のアンドレア・イアンノーネ(Speed Master)と総合3位のアレックス・デ・アンジェリス(JIR Moto2)が加わり、この4人が大接戦を繰り広げて、イアンノーネが今季2勝を挙げました。今大会も激しい優勝争いになることは必至の状況で、総合8位の高橋裕紀(Gresini Racing Moto2)も後半戦の巻き返しに気合を入れています。
ケーシー・ストーナー(MotoGP ランキング1位)「これまで、インディアナポリスは非常にバンピーで、ちょっと危なかった。だから新しい路面で走るのがすごく楽しみです。また、インディアナポリスをHondaで走れるのはとても楽しみです。ドゥカティでは、この独特のサーキットに合うセットアップを見つけるのがとても難しかったです。このサーキットは、2009年を欠場しているので、08年と10年しか走ったことがありません。昨年は結構いい戦いができていましたが、フロントを失って転んでしまいました。新しい路面で走れることと、自分のRC212Vでインディアナポリスを楽しく走るためのセットアップすることが待ち遠しいです」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング3位)「ブルノで表彰台に立ち、インディに向かうことになりました。この勢いをキープできることを願っています。インディアナポリスは、典型的なアメリカンスタイルのサーキットで、すばらしい設備や巨大なグランドスタンドがあります。サーキットは特に面白いわけではありませんが、とてもいいイベントだと思います。今年はサーキットの一部が再舗装されたので、より楽しく走れると思います。以前はとてもバンピーで、アスファルトもところにより違っていて、グリップが変わるので難しかったです。昨年は、フリーと予選では気持ちよく走れましたが、レースでは苦戦して5位でした。今年はいいレースをする自信があります。集中できているし、モチベーションはとても高いです」
ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング5位)「インディアナポリスに向かうのがとても楽しみです。昨年はいいレースができました。それがまた繰り返せることを願っています。アスファルトが変わったので、新しい路面に慣れなければなりません。タイヤがどう機能するのか、しっかりチェックして、できる限りベストなレースセットアップを見つけたいです。身体は少しずつよくなっています。ブルノでは、ここ数カ月の中でも一番いい状態でした。だから今大会も、いい状態で走れることを願っています。前回のレースの結果は、自分とチームにとってとても残念でした。でも、内容は悪くなかったし、今回はそれを結果につなげたいです」
マルコ・シモンチェリ(MotoGP ランキング8位)「ブルノではMotoGPで初めての表彰台に立つことができました。通算でも30回目の表彰台となり、肩の荷が下りた気分です。シーズンの開幕戦から追い続けてきた目標だったし、本当に満足しています。チーム、Honda、そして僕を信じてくれたすべての人にとってすばらしい表彰台になりました。シーズン後半はすべてがもっと楽になることを願っています。このポジティブな流れをキープして、アメリカに渡りたいです。インディアナポリスのサーキットは好きです。しかし、最終コーナーを1速で立ち上がって加速していくメインストレートは、僕のような身体の大きいライダーにはハンディキャップになります。インディアナポリスでは250ccで2009年に優勝しました。そしてハリケーンでレースがキャンセルとなった08年にはポールポジションを獲得しています。チームも僕もモチベーションは高い。ブルノで見つけた流れをキープしたいです」
青山博一(MotoGP ランキング10位)「ブルノの9位は、すばらしい結果とはいえませんが、自分にとっては、とてもポジティブでした。身体の状態が回復して、バイクに対する自信が戻ってきました。チェコのあと、モチベーションが上がり、シーズン後半へ向けて気合も入ってきました。この数戦とは違った気持ちでこれからインディアナポリスへ向かいます。2009年の250ccのレースでは、マルコ・シモンチェリの後ろの2位でフィニッシュしました。昨年はケガで6レースを欠場して、ここで復帰しました。楽な週末ではなかったけれど、完走することができました。インディアナポリスはとても楽しいサーキットでした。今週末は力強い走りを見せたいです」
トニ・エリアス(MotoGP ランキング13位)「インディアナポリスは長い歴史を誇り、アメリカ人のファンの温かさがとても気持ちよく、好きなサーキットです。路面はバンピーで舗装の種類が違うところがあって難しいサーキットですが、自分のライディングスタイルには合っていると思います。昨年はMoto2で優勝することができました。前戦チェコGPでは、ポジティブな結果を残せたし、そのあとのテストでは、いいパフォーマンスができました。モチベーションを高く保ってスペインを出発することができます。前のライダーたちとのギャップも縮められました。もう少し調整すれば、ヘイデン(ドゥカティ)やエドワーズ(ヤマハ)、青山についていけるでしょう」
ステファン・ブラドル(Moto2 ランキング1位)「インディアナポリスに行くのはうれしい。この伝説のサーキットは、走れるだけで何か特別な感じがします。好きなのは雰囲気だけではなくて、サーキットのレイアウトも好きです。新しいアスファルトがどんな感じなのか楽しみです。今、調子がいいので、楽しい週末になると思います。ベストを尽くしたいです。自分のベストは2008年の125ccクラスでの3位。今年はそれ以上を狙いたいです」
マルク・マルケス(Moto2 ランキング2位)「これまであまりいい結果を残せなかったチェコGPでいいレースができたし、気持ちよくインディアナポリスに向かえます。チェコGPは夏休み明けの大事なレースでした。激しい戦いでしたが、とても楽しかったです。いい走りができたし、だから、インディアナポリスでも早く戦いたい。インディアナポリスは雰囲気がとても独特で、アメリカは好きな国でもあります。レイアウトは平凡ですが、たくさんのバンプや路面の変化があります。新しい舗装がどうなっているのか、早く見てみたいです。125cc時代は悪くありませんでした。楽しいサーキットでした」
高橋裕紀(Moto2 ランキング8位)「前回のチェコGPは、今年になって、一番厳しいレースだったかもしれません。何をどうやってもマシンはいい状態にならなかったし、その原因もつかめませんでした。正直、インディアナポリスではどうなるのだろうという不安はありますが、嫌いなコースではないので、気持ちを新たに挑みたいです。インディアナポリス、サンマリノ、アラゴンとマシンの状態を仕上げていきたいです。最高の状態で日本GPを迎えるためにも、これまで抱えている問題を一つひとつ解決していきたいです」