2011年7月24日(日)・決勝 会場:ラグナセカ・レースウェイ 天候:晴れ
気温:23℃ コースコンディション:ドライ 観客:5万2670人(3日間:13万6285人)
シーズン前半戦を締めくくるアメリカGP決勝は、予選で大接戦を繰り広げたケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)とダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)、そしてホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)の3選手の優勝争いとなり、終盤ロレンソをかわしてトップに浮上したストーナーが優勝、中盤まで2番手を走行したペドロサが3位でフィニッシュしました。
4戦ぶり今季5勝目を達成したストーナーは、予選2番手から慎重なスタートを切ると、ロレンソ、ペドロサに続いて3番手を走行。中盤にペドロサをかわして2番手へ。さらにラスト6周でロレンソをかわすと、一気にペースを上げて2番手以下を突き放しました。
今大会のストーナーは、金曜日、土曜日のセッションで思うようにセッティングが決まらず苦悩しました。しかし、ウオームアップでいい状態を見つけることに成功し、決勝では周囲の走りをじっくりと見て、後半にペースを上げるという完ぺきなレース展開で勝利しました。シーズン前半戦のレースを見事、優勝で締めくくったストーナー。総合2位のロレンソとのポイント差を20点に広げることに成功して、しばしの夏休みを迎えます。これでHonda勢は、前半10戦中7勝というすばらしい結果を残しました。
予選3番手から好スタートを切り、中盤まで2番手を走行したペドロサは、体力が消耗した終盤にペースを上げられず、3位でフィニッシュしました。右鎖骨の骨折で3戦を欠場。復帰してこれが3戦目となりますが、身体に厳しいコースレイアウトと、負傷のためにトレーニング不足だったことが影響し、厳しい走りを強いられました。しかし、前戦ドイツGPで優勝しているペドロサは、今大会も優勝争いに加わっての3位。体調が戻れば優勝争いの常連になることを強烈にアピールしました。今大会の表彰台で、総合ランキングでも4位に浮上。後半戦の巻き返しに大きな期待が寄せられます。
予選6番手から決勝に挑んだアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)は、表彰台に立った3選手を追いましたが、終盤はペースが上がらず、追い上げてきたベン・スピーズ(ヤマハ)にかわされて5位でチェッカーを受けました。この日のドヴィツィオーゾは、いくつかの右コーナーでトップの3台からわずかに遅れ、その遅れを取り戻すためにほかのコーナーでプッシュしたことから、後半は厳しい走りになりました。これで2戦連続で表彰台を逃しましたが、総合3位をキープして前半戦を終了。後半戦では今季初優勝を目標に、ランキングアップを目指します。
予選5番手からトップ4を追ったマルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)は、好スタートから5番手を走行しますが、7周目の8コーナーで痛恨の転倒を喫しリタイア。予選14番手から決勝に挑んだ青山博一(Team San Carlo Honda Gresini)は、オープニングラップの混戦の中で16番手に順位を落としましたが、その後、トニ・エリアス(LCR Honda MotoGP)やロリス・カピロッシ(ドゥカティ)をかわし、最終ラップにカレル・アブラハム(ドゥカティ)を抜いて10位でフィニッシュしました。予選17番手のエリアスは、序盤にコースアウトを喫し大きく遅れて13位。ワイルドカードで出場したベン・ボストロム(LCR Honda MotoGP)も序盤にコースアウトを喫し、その後、コースに復帰するもマシンの状態が完ぺきではなく、リタイアしました。
今大会はランディ・デ・ピュニエ(ドゥカティ)が予選で負傷して欠場。17台が出場し、完走13台でした。
ケーシー・ストーナー(MotoGP 優勝)「今週はあまりうまくいかず、決勝レースでダニとホルヘと戦えるかどうか自信がありませんでした。しかし、ウオームアップで試したセッティングがよくて、ペースを上げることに成功しました。いい状態になったこともあって、自信も生まれ、スタート前はすごく冷静でした。フルタンクの時はあまりフィーリングはよくありませんでしたが、序盤はタイヤをゆっくり温めようと思っていたので、ペースを抑えました。ホルヘとダニに、あまり離されないようにペースをコントロールして、がまん強い走りに撤しました。その後、ペースを上げられるようになった時も、後ろで様子を見ることにしました。そのうち、ダニのペースが上がらず苦戦しているので、ダニを抜いてホルヘを追いかけました。ホルヘに追いついてからは彼にプレッシャーをかけました。彼を抜いたあとはペースを上げられたし、それから引き離すことができました。厳しいレースでしたが、こうして優勝できて本当にうれしい。チームに感謝しています」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 3位)「ケガから復帰して、こうして2回目の表彰台に立てて、とてもうれしいです。ラグナセカはフィジカル面でとても厳しいサーキットなので、難しいレースになるだろうと思っていました。その通りのレースになったし、中盤を迎えたころにはとても疲れていました。右腕をかばうことで左腕の負担が大きく、しかもこのサーキットは休むところがないので、ペースを落とすことになってしまいました。しかし、中盤までホルヘとストーナーについていけたし、この2戦は大きな自信になりました。今回は全体的にグリップを出すのが大変でした。しかし、チームはすばらしい仕事をしてくれました。後半戦のブルノまでしばらく休みになるので、しっかりと身体を治して、後半戦はいい状態でスタートしたいです」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 5位)「ラグナセカは、ハードブレーキングを要求されるサーキットなので、とても厳しいレースになるだろうと思っていました。スタートはよくて、4番手につけることができました。序盤はケーシー、ダニ、そしてロレンソについていこうと全力を尽くしました。しかし、3コーナー、11コーナーで少し差をつけられて、その遅れを取り戻すためにほかのコーナーでプッシュしなければならず、体力を使い果たしてしまいました。そのため、終盤はペースを落としてしまいました。今回はいいレースができると思っていたので残念です。スピーズに負けたのも残念でした。今年初めてバトルで負けました。表彰台に立てませんでしたが、総合3位をキープしています。これから夏休み。3週間後のブルノはリフレッシュして挑みたいです」
青山博一(MotoGP 10位)「スタートしてから、エリアスとカピロッシを抜くのに時間がかかり、その間に前との間隔が開いてしまいました。それから単独走行になってしまいましたが、最後までペースをキープできました。前回のドイツは後半、ペースを落としたので、その点ではよかったと思います。しかし、32周は長く感じました。体力的にも厳しかったです。今日はフロントにハード、リアにソフトを選択しましたが、タイヤはよく機能していました。ラグナセカは初めてのサーキットで難しかったです。路面がバンピーだったことで、攻略に時間がかかってしまいました。チェコGPまで2週間休めるので、身体をしっかり直して後半戦に挑みたいです」
トニ・エリアス(MotoGP 13位)「ウオームアップでリアのセッティングを変更して、とてもフィーリングがよくなりました。スタートもよかったです。しかし、グリッドが後ろだったので、苦しいレースになりました。序盤は混戦の中でワイドになって遅れ、そのあと、フロントを失ってグラベルに飛び出してさらに遅れてしまいました。幸いにも再びコース上に戻ることができましたが、思うようにペースを上げることができませんでした」
ベン・ボストロム(MotoGP リタイア)「スタートはよく、そのあとも気持ちよく走ることができました。実際にプラクティスよりも1秒速いタイムを刻めたし、いいレースができると思いました。しかし、フロントのフィーリングが悪くなり始めて、グラベルに飛び出してしまいました。それでコースに復帰するのに30秒ロスしてしまいました。再び走り始めましたが、1コーナーでフロントに同じ問題が出たので、ピットに戻ることにしました。残念な結果でしたが、すばらしい経験をさせてくれたチームに感謝したいです」
マルコ・シモンチェリ(MotoGP リタイア)「残念なレースでした。転ばなかったら、ペドロサに届いたかどうかは分かりませんが、少なくとも、ドヴィツィオーゾとスピーズとはバトルできたと思います。今回は3日間を通じてマシンの状態がどんどんよくなっていました。しかし、決勝ではフロントにちょっと不安があり、最初は7コーナーで転びそうになり、その数周後に、8コーナーで転んでしまいました。本当に悔しいレースでした。しかし、気持ちを切り替えて、後半戦のブルノに挑みたいです」
中本修平|HRCチーム代表「ケーシーは今回、あまりいい状態ではありませんでした。しかし、決勝に向けて試したことが悪くなく、それでペースを改善することができたようです。しかし、今日の優勝はライダーのがんばりがあったからこそ達成されたと思います。ダニは、マシンの状態はよかったのですが、さすがにこのコースはフィジカル面で厳しく、ケガの影響、そしてトレーニング不足が影響しました。腕上がりもあって、アクセルとブレーキのコントロールが完全ではありませんでした。後半戦までの数週間、しっかり身体を直して決勝に挑んで欲しいです。アンドレアも悪くありませんでしたが、いくつかのコーナーでうまく走れず、その遅れを取り戻すのに体力を消耗してしまったようです。今回はケーシーが優勝、ダニが2位になれなかったのは残念ですが、後半はこの2人で1-2のレースをしていきたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 27 | ケーシー・ストーナー | Honda | 43:52.145 |
2 | 1 | J.ロレンソ | ヤマハ | +5.634 |
3 | 26 | ダニ・ペドロサ | Honda | +9.467 |
4 | 11 | B.スピーズ | ヤマハ | +20.562 |
5 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +20.885 |
6 | 46 | V.ロッシ | ドゥカティ | +30.351 |
7 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +31.031 |
8 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +45.502 |
9 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | +51.549 |
10 | 7 | 青山博一 | Honda | +1:08.850 |
11 | 17 | K.アブラハム | ドゥカティ | +1:09.132 |
12 | 65 | L.カピロッシ | ドゥカティ | +1Lap |
13 | 24 | トニ・エリアス | Honda | +1Lap |
RT | 19 | A.バウティスタ | スズキ | +19Laps |
RT | 23 | ベン・ボストロム | Honda | +24Laps |
RT | 58 | マルコ・シモンチェリ | Honda | +26Laps |
RT | 35 | C.クラッチロー | ヤマハ | +29Laps |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | ケーシー・ストーナー | Honda | 193 |
2 | J.ロレンソ | ヤマハ | 173 |
3 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | 143 |
4 | ダニ・ペドロサ | Honda | 110 |
5 | V.ロッシ | ドゥカティ | 108 |
6 | B.スピーズ | ヤマハ | 98 |
7 | N.ヘイデン | ドゥカティ | 94 |
8 | C.エドワーズ | ヤマハ | 67 |
9 | 青山博一 | Honda | 63 |
10 | マルコ・シモンチェリ | Honda | 60 |
11 | H.バルベラ | ドゥカティ | 56 |
12 | K.アブラハム | ドゥカティ | 46 |
13 | A.バウティスタ | スズキ | 39 |
14 | トニ・エリアス | Honda | 38 |
15 | C.クラッチロー | ヤマハ | 34 |
16 | L.カピロッシ | ドゥカティ | 26 |
17 | R.デ・ピュニエ | ドゥカティ | 15 |
18 | J.ホプキンス | スズキ | 6 |
19 | 秋吉耕佑 | Honda | 3 |
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 235 |
2 | ヤマハ | 204 |
3 | ドゥカティ | 117 |
4 | スズキ | 45 |